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思い込みが覆されるとき

途中1年半のアメリカL.A暮らしがあったが、カナダ移住前までの50年余りを私は日本の文化、価値観にどっぷりつかって暮らして来た。

カナダ生活でそれまでの経験がベースの予測や当たり前のことが覆されるのは大変だったが、それはそれでおもしろかった。
今もある意味楽しんでいる。

夫の闘病で関わった病院や在宅緩和ケアを通して、私自身のそれまでの思い込みは完全に覆されたし、ハンターの夫を通しても、命に対しての価値観が大きく変わった。

しかし今回はそれとは違って
ちょっと些末な
日常生活での思い込み覆し体験談である。

だいたい夫ジェイと出会ったとき
自分で家を建てている
と言う言葉を私自身にしてもどこまで信じていただろう。

デザインしただけ?
業者さんに頼んで自分は希望を言うみたいな?

だって建築は専門家のすることって
思い込んでいましたから。

まさか基礎のコンクリート打ちから、家のデザイン、配管工事に電気配線(さすがに資格がないとできない作業はプロフェッショナルに頼んでいたけれど)家のサイディング、屋根貼り、室内はドライウォールにタイル張り・・

自分ひとりでやっていたとは。

親しい友人は夫ジェイのことも知っているが、又聞き情報の日本の友人からは

旦那さんログハウス作っているんですって?

と聞かれたことがある、それも何人からも。

誰もログハウスって言ったことないんですけど・・・

カナダ→自然→自分で家を建てる→ログハウス

ひげを伸ばして長い木を伐り丸太を運んでいる私の夫を勝手に想像していたにちがいない。
*夫はいっときひげを伸ばしていましたが、丸太は運んでいません。


さてここ湖畔は三万人ほどが住む小さな田舎町。
町主催のアクティビティ・オンラインヨガに参加してきた。
講師はインド系女性。ジェントル・ヨガと言うタイトルで講師の性格とも相まってか、穏やかでゆっくりしたヨガの時間。
スクリーン越しには白髪も混じって見えた彼女は、その様子から仕事をリタイアして余った時間を町のためにプロフェッショナルとしてのヨガを提供してくれているのだろうと思っていた。

ところがある時
今日は彼女が忙しいので僕が代わりにと
彼女の夫がスクリーンに現れた。

事情があって町の公的な仕事ができなくなりそうだというのである。
よくわからないまま、私たちのヨガクラスは彼女の夫が講師として受け継ぐことになった。

そして数か月後
朗報です!
その夫から受け取ったメールには
妻がオンタリオの裁判官になりました!

これにはびっくり!

裁判官の任命式の様子を動画で送ってくれた。

彼女の顔からは新しい人生が開かれているのを見て取れた。

次の話は昨日のこと。
家のヒーティングシステムの具合が悪い。
お湯は出るが床暖房が十分に効いていない(こちらまだ床暖の必要な季節です)
友人に話すと知り合いを送りこんでくれることになった。

そしてやってきた修理の人は
子連れのママだった!

ごめんなさ~い、今日学校がキャンセルになって。

と子供を連れてきた理由を告げ早速修理を始めてくれた。

この配管見た時きゃあ私にできるかなって思ったけど!と修理後談。
何とかうまく働くようになった。

日本に長く住んで配管や電気関係の修理で女性を見かけたことはなかった。
彼女が来て驚いた私は、勝手に女性の職業ではないと思い込んでいたのかもしれない。
ゴミの収集もそうだ。
東京では(?)体力がいるため(収集の人がいつもトラックの後を走っている!)ハードルが高いのかもしれないが、この辺りでは女性を見かけることがあって、結構給料いいんだぜと夫が言っていた。

周りを見ていると、意外なその職業選択!と思い込みを覆されることがある。仕事選択の自由度が高いのかもしれない。
あるいは
移住して経済的な安定を確保するために、色々な仕事の選択を余儀なくされるとことがベースにあるのかもしれない。
でもそれがかえって、違う職種への門戸を開いている。

さて何より、私がカナダに移住して最初に驚いたのは訪問したモンテソーリプリスクールの園長ミス・ヘガーである。

初日の私は緊張し、かしこまった服装で訪れたそのスクールは、農家を改装して造られた園舎。
園長が中々現れないと思ったら
外遊び中の子どもたちにトラクターの上から手を振っている。
私を見つけて
今行くわ~。

園長はスーツを着たちょっと厳しそうなモンテソーリの教師に違いないと思い込んでいた私である。

そして何より彼女から学んだのは
信頼して任せるという姿勢である。
それはそもそもモンテソーリ教育の基本にある。

日本から突然やってきた私が、あるサマーキャンプでのイベントで好きにやっていいよと任された時は驚いた。
手巻き寿司を子供たちと一緒に作りたいんです、と言った時のことである。
スケジュールとか材料とかプログラムの進め方とか、園長と一緒に綿密に予定を立てるつもりでいたから。
助言も注意も一切なし。ほんとに何もなかったのである。
はいではどうぞって。
この園のことを私はほとんど何も知らないのに!
もちろん私に国際モンテソーリ教師の資格があるという前提だったのかもしれないが、それにしても。

のりまきは英語で”Maki”

好きな野菜を入れて
海苔の食べられない子供が何人かいた

その後も、1か月あるサマーキャンプを丸々二人の学生に任せていた時も驚いた。もちろん資格のあるレギュラーの先生も来るのだが、すべては学生たちの手で進められていく。
すごく勇気がありますね
そうミス・ヘガーに言ったことがあった。
そうね、でも若い彼女たちにはそういう経験が必要なのよ。

絵本を読んでいる彼女は大学の数学科の学生さん

保護者と子供たちという視点のみに固定されていた私。それらをないがしろにするわけではないが、これから社会に出る若い人たちへの視点もあることに気づかされた。

トラクターで思い出したが
カナダで野菜作りをしていることをある日本の知り合いに話したことがあった。

カナダ→野菜作り→広大な畑→トラクター

私がトラクターに乗って農作業をしていると思い込んだらしい。

そんな広大な土地があるといいんですけど・・
裏庭で野菜手作りしているだけなんです・・・。

外植えを待つ野菜の苗たち

人の思い込みとはそれぞれに面白い。

さて最後は思い込みを覆されるというより
度肝を抜かれた話。
私の友人の元妻は
友人との間の子どもを含めて三人の子どもがいるが
父親が全て違う。
これを知った時もそこそこ驚いたが先日、
ある知り合いの女性には7人の子どもがいて
子どもたちの父親はなんと5人。

いったい子どもたちがどんな生活を送っているのか
私には想像もつかない。





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