やさしくありたい
かずみちゃん
50歳おめでとう
Rちゃんがてれたように
「うちにあった本なんだけどね」とリュックから取り出した
『ソナチネの木』
本屋さんに置いてあるよりも
もっとつやつやで美しい表紙だから
どのページもなめらかだから
彼女のことだから気を遣ってそう言ったのかなと思ったけれど
閉じたその本の重なったページは
しっかりと陽に焼けていた
なんてすてきな贈り物
長くあなたの手元にあった宝物を
届けてくれてありがとう
本を愛するRちゃん
わたしが最近書いた図書館の話を
読んでくれていた
かの図書館の素晴らしさを語るわたしに
「糸島の図書館もいいよ。とても本が綺麗なんだよ」と
ほほえんだ
いつから身近にあるものに
足りないものを探すようになったのだろう
できたことより、できないことを
あるものより、たりないものを
Rちゃんは
いつもすこしだけ
てれている
やさしさを籠につめて散歩してるようなひとだ
彼女にふれるたび
彼女のことばにふれるたび
思い出す
わたしもやさしくありたいと
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