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ラオスにいったい何があるというんですか?|旅エッセイの醍醐味

本を読むのが好きです。小説でも新書でも、専門書でも。割と「雑食」でいろいろ好んで読みます。

そんな中でも、ここ数年ハマっているのが「旅エッセイ」です。

もともと旅行好きなのですが、近年は気軽に旅行ができなくなったので、せめてもの心慰めに……と思って読み始めました。


実は昔はあまり他の人の旅行記に興味が無かったんです。どちらかと言えば、自分で体験したい派。そんなに関心がありませんでした。


でも、いざ読み始めてみると、これが実におもしろい

もちろん書き手の力量も関係しているのでしょうが、別の人の視点から旅跡を辿るのも新鮮でおもしろいことに気づきました。

自分が訪れたことのある場所であれば「なるほど、こんな感じ方をこの人はしたのか」と自分との違いを発見することもできますし、未知の場所でも「こんな楽しみ方があるのか」と想像が膨らみます。


旅のスタイルって本当に人それぞれで、同じ旅先でもだいぶ違います。その人の性質や価値観が如実に出ますよね(だからこそ、旅先で喧嘩しやすいのかもしれない…)。

旅エッセイは、そうした個性の一端に触れることができるので、読んでいるとすごく新鮮な気持ちになります。


お気に入りの作品はいくつかありますが、特に気に入っていて、時折読み返すのが、村上春樹さんの『ラオスにいったい何があるというんですか?』です。

ラオスだけでなく、いろいろな旅エッセイがたくさん詰まった一冊。これを読むだけで世界各地を旅した気分になれます。


ここだけの話……小説のいわゆる「村上節」が個人的にちょっと苦手だったのですが、エッセイだと不思議なことに気になりません。その土地の空気感がフワッと伝わってくる感じがして、爽やかで軽やかな読後感が楽しめます。

特に、ラオスのルアンパバーンの静かで穏やかな雰囲気が行間にも漂っていて、またラオスに行きたいなという気持ちが高まってきました。

2017年、ルアンパバーンにて

旅エッセイは、当然ながら文章のみ(たまに写真付きもありますが)。

だからこそ、頭の中で想像が広がります。海外旅行なんて気軽に行けなかった昔の人たちも、こうして遠い異国の景色を思い描いていたのかもしれませんね。

たしかに想像の景色は、自分なりに脚色が加わってだいぶ美化されている部分もあるかもしれないけれど、でも「旅」ってそれくらい浪漫があってもいいんじゃないかと思います。


「旅エッセイ」はそんな非日常を手軽に楽しめる魔法のアイテム。

ちょっとした隙間時間や息抜きで読めるので、重宝しています。たまには本棚から世界旅行に出掛けてみるのもいいかもしれませんね。


みな

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