令和の鬼平①・血闘(ネタばれあり)
令和の『鬼平犯科帳』が幕を開けました。
五代目の長谷川平蔵には、十代目松本幸四郎さん。
今回は劇場版の『血闘』を観てきました。
正直なところ、先代・中村吉右衛門の鬼平が完成しきっていただけに、あまり期待値は高くなかったのですが、それはいい意味で大きく裏切られることになります。
感想
もうね、素晴らしかったですよ!
『血闘』は平蔵のピンチがあったり、『過去』と『現在』がテーマになっていたり(オーバーラップする演出が随所にありました)、おまさが初登場する物語であったり。
映画向きではあると感じていましたが…いいですね!
何より松本幸四郎はじめ、製作陣のみなさんから、中村吉右衛門さんへのリスペクトをひしひしと感じます。
大規模な殺陣のシーンは3回だったかな?
どれもよかったですが、特にクライマックス。
平蔵が一人で戦い、絶体絶命の状況に追い込まれていく場面は迫力がありました。BGMも最高でしたね。
「悪を知って外道に堕ちるか」
「悪を知って外道を憎むか」
考えさせられますね。
往年のファンでも間違いなく楽しめますので、
『迷っているなら観に行くべし!』と強くお勧めします。
シリーズは今後も続いていくようなので
今後の展開がとても楽しみです。
時系列的に『血闘』前の作品
事実上の第一作、『本所・桜屋敷』がTverで配信中です。
映画を迷っている方は、まずこちらからご覧になるのはいかがでしょう?
ハマるようであれば、映画も楽しめること間違いなしです!
長谷川平蔵
平蔵の話し方や着物の着こなしが、吉右衛門さんと重なるんですよね。
幸四郎さんがあえてそうしているのか?演出なのか?はわからないのですが、全く違和感がないんです。
それでいて、「火付盗賊改方、長谷川平蔵!」と名乗りをあげるところ。
吉右衛門さんは、「~である!」まで言っていたのですが、名前で止めることによって強さを打ち出していたんですね。
まだ火付盗賊改方の長官に就任して日が浅いので、率先して自ら現場に足を運んでいる状態ですが、ここから円熟味を増していくにつれ、どのように変化していくのか?いまから楽しみです。
長谷川銕三郎
吉右衛門版ではご自身が若かりし頃の銕三郎も兼任してましたが
今回は幸四郎さんのご長男・八代目市川染五郎さんが演じられてます。
ご子息ということで面影もあり
若いので血気盛んなところも表現できる。
これ以上ない配役でしょう。
今後も出番はありそうな気がします
木村忠吾
尾美としのりさんからバトンを受けて
浅利陽介さんが演じられてます。
忠吾がめちゃくちゃよかったです!
平蔵からのいじられっぷりが板についていて面白い!
捕物の物語なので全体的に重苦しい雰囲気になりがちですが、忠吾の軽いキャラで、『緩和』の部分を見事に表現してました。
これは浅利さんの当たり役になるんじゃないかなあ。
グルメの解説役は今後も忠吾が務めるのかな?
おいしい食事の紹介もひそかな楽しみだったりします。
おまさ
お見事でした。
揺り戻った心情、そして平蔵でも見破れなかった強い想いを見せる描写はとても心に刺さりました。
絶体絶命の状況になることがわかっていたとしても、平蔵のために自分を犠牲にする姿は感動しましたね。最終的に平蔵を救うことになる『勘』も冴えわたっていました。
中村ゆりさんは存じ上げなかったのですが
こちらもいい配役でしたね。
網切の甚五郎
個人的に今回のMVPは甚五郎役、北村有起哉さんの怪演です。
とにかく憎たらしい。そして小ずるい。
一度で捕縛されず二度目も逃げる。
それは過去の浅からぬ因縁から来る執念だったのですが
怒りと、ずるさと、圧力と、恐怖と…
ザ・悪党という感じで唸りました。
北村さんは悪役やらせたら絶品ですね!
願わくば別の役でもう一度出演してもらいたいです。
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