スマイル一級品~vol.2~運命の瞬間
運命の瞬間
ドラム生活に慣れてきた魅八。あっという間に3ヶ月が過ぎ去った。初ライブを目前に控え魅八はライブ衣装を探し求めていた。
「何かカッコいい服、ないかなぁ~。」
店内を歩きながら四方八方見渡す魅八は今まで見たことのない何かを見つけた。
「ん!!カッコいい!!」
それは、長袖タイプの革ジャンだった。
「10000円かぁ…😓」
魅八の予算は3000円。高い代物には手が届かない。でも諦めきれない魅八。
もうしばらく店内を歩いていると掘り出し物を見つけることになる。
「ん!!カッコいい。」
「2980円」
「やったぁ~!😄」
それは、今まで魅八が一度も見たことのない洋服。タンクトップタイプの革製の洋服だった。
「これで、来週のライブは上手く出来そうだ!楽しみだなぁ~😃」
~ライブ当日がやってきた。~
「ジャ~ン」
ライブハウス内から聴こえてくるサウンドに興奮を隠せない魅八。すると見慣れた金髪男子に気付く。
(サトウくんだぁ…。)
(懐かしいなぁ。)
中学生時代の同級生に気付いたのだ。
魅八の義務教育時代は暗黒だった。友達という友達を作る事が出来ない引っ込み思案の人見知り生活。彼は中学二年生の時にすぐ後ろの席に座っていたやんちゃな少年だった。
(やっぱりバンドやってたんだなぁ…。)
魅八の中学生時代の隣のクラスには地元で有名になっていたチキンチャイルドというTHE BOOMのコピーバンドのメンバーが生徒にいた。
当時、テレビで流行っていた音楽番組。【BS ヤングバトル】にエントリーしたバンドだと地元では有名だったと後から知ることになる。そして、そのチキンチャイルドとの共演を実現した魅八であった。
~ライブ演奏が始まる~
「魅八くん。いくよ!」
【カッカッカッカッ】
夢中で演奏する魅八は心臓の鼓動に合わせて自然とリズムキープが出来ていなかった。
コーラスパートはお手のもの。歌には自信があった。
~ライブ終了~
「キミ~ドラム。どのくらいやってるの?」
ライブハウスのオーナーに呼び止められ隣の椅子に招かれた魅八。
「3ヶ月です!」
「え!!」
ライブハウスのオーナーは驚きを隠せない様子で話を続けた。
【音楽というのはコピーが大事って訳ではないんだ】
【キミのドラム好きだよ】
【頑張りな】
~魅八ライブ三昧~
BOOWYのコピーから始まったドラム活動はJUDY AND MARYに移行し、D'ERLANGERになりLUNA SEAと渡り歩く。
「魅八くん。X JAPANやりたいんだよね。やってくれない?☺️」
「聴いてみて?」
「どれどれ?」
このあと、魅八の耳に衝撃が走る。
「ん!!」
聴きなれない音に気が付いた魅八は何度も何度もウォークマンの再生を繰り返していた。
「カッコいい!!」
調べてみるとX JAPANのドラマーYOSHIKIはツーバス(ツインペダル)を使う音楽だと知る。
母親に許されお小遣いをもらいツインペダルを買ってきた魅八だが、何度も繰り返しやっても上手くいかない。それを繰り返していたら今まで抱えたことのなかった心の傷みを感じ始めていた。
「なんだよ!チクショー!」
今まで一年間近くドラムに触れてきて楽しめた感情が急激冷めた始めたのだ。
これが魅八の初めての挫折だった。
あの日、ドキドキして買ってきたタンクトップの革製の洋服を眺めながら魅八は次の夢に向かうことを決めていた。
~魅八。歌を始める~
小学生時代ののど自慢大会優勝🏆
この成果で魅八は歌にはかなりの自信を持っていたのだ。
「何か募集してないかなぁ~。」
楽器屋の募集用紙を眺めているとひとつの言葉に目が止まった。
【CHAGE and ASKAやりたいです!】
魅八は電話番号の書いたメモをひとつ持ち公衆電話に向かっていた。
女神降臨
「トゥルルルル」
「トゥルルルル」
「はい!スマです。」
「あの~」
電話に出たのはスマという2学年下の女子学生だった。
「はい!ぜひお願いします!😄」
「あっ…はい。」
魅八は冷静だった。
しかし、この出会いが今後の人生に大きなドラマを作るのだ。
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