見出し画像

鉄道の駅舎を改修し、地元民と観光客が混ざり合うスペースへ。【チェコ・プルゼニ州】

とある事情でチェコ西部・プルゼニ州に寄るタイミングがあり。興味深いスポットに遭遇したため、まとめてみます。

首都のプラハから西にあります。

プルゼニ州の州都は、そのままプルゼニ。チェコの都市では四番目くらいの規模で、工業で栄えています。有名なピルスナーウルケルのビールが生まれたのも、この地域ですね。

アサヒグループホールディグス株式会社より。

この地域に、Zbiroh (ズビロー)という駅庁舎が立っていました。1910年に創業され、約100年間、首都のプラハと州都ピルゼニをつなぐ交通の要として使われ続けたといいます。

チェコの首都と州都を結ぶ、Zbiroh駅舎。
筆者撮影(以下同様)。

2012年にレールが廃止されたのですが、とあるチェコ在住・オーストラリア人の方が、鉄道会社の管轄にあったこの駅舎を買い取りました。

"The station was very inexpensive, and I decided to buy it for the warehouse. At that moment I did not expect that I would soon settle in it and begin to restore it," says Jamison.

「駅はとても手頃な価格で売られていたので、倉庫用として買おうと思いました。その頃は、まさか自分がすぐに住みついて、改修することになるとは考えてもいませんでしたね。」ジャミソン氏は言う。

上記ウェブサイト 'People Love Spaces' (2016)より。 

元々ソングライターとして活躍していた中、アンティーク家具の修復・販売に興味を抱くようになり。まとめて保管できる場所を探していたら、鉄道会社のホームページにたどり着き、古駅舎の販売告知を見かけたといいます。

駅のプラットフォームであったろうスペース。
今はデスクにチェアも置かれて、談話できるオープンな空間に。
Zeny(女性)にMuzi(男性)。
公共トイレだったところ。現在も改修中。
鉄道のレールもがっつりそのまま残されています。

実は自分も短期のボランティアとしてここに滞在していました。改修を手伝う代わりに滞在費なしで住まわせてもらう、workawayというプラットフォームを利用したのですが、夏季休暇の間にちょうど良い過ごし方になったと思います…!

各国からのボランティア同士で食事を囲む。(同上workawayホスト写真より)
私のときは、アルゼンチンやフランス、チリやスウェーデンなどの旅人と一緒でした。

駅舎の中にはいくつものフラット(階)があり、元々ここで働いていた労働者が住み着いていたとか。往年の、電信技師の作業場なんかがそのまま残っています。

出発・到着時刻などを電信で知らせ合っていた、1900年代の名残の部屋。
あちこちにアンティークなものが。
古い映画にも登場するような、タイプライターが置いてある。

この駅舎、地元の文化遺産として保護されつつも。買い取ったジャミソンさんの意向で、政府の補助なしで独自に発展させていきたいとか。

若い現代アーティストや音楽家を呼んでコンサートを何度か開いたり、映画やミュージックビデオの舞台としてレンタルしたり。はたまた、広大な地下施設があることから、コーヒーの廃棄物からキノコを育てたり….など、ひとつの駅舎を活用した、多様なアイデアに包まれています。

ボランティアたちに充てられていた共有スペース。
毎朝、ここで朝食をみんなで準備していました。
一仕事終えたあとのティータイムも、
この100年前から続いたプラットフォームにて。

とある事情により、現在ではボランティア募集を停止しているそうなのですが、Airbnbからの宿泊は可能だと思われます。チェコを回る旅をしたい方は、ぜひその経由地として、かつての駅舎に触れる体験をしてみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?