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つながり

今年度、勤務する小学校の卒業文集に綴った、卒業生へのメッセージです。

とうとう、4人で会う最後の瞬間になりました。雨のバス停です。今から、30数年前の話です。

4人のメンバーは、それぞれの地元に戻り、就職することが決まっていたのです。

「またな。」と短くことばを交わしたのですが、実はその前後のことは、あまりよく覚えていません。何かを失ったようで、でも、そんなことはないと確信していました。

その後、4人がそろったのは、それぞれの結婚式です。
約束していたのです。式場で奏でる演奏に、懐かしさと嬉しさがこみ上げてきました。これは、ぜったいに譲れない、演出です。

今、彼らの連絡先は、携帯電話に入っています。しかし、連絡することはほとんどありません。やり取りは、近況を伝える年賀状だけです。

だけど…。

学生時代を思い出す時、テレビでバンドの演奏を聴いた時。考え事をする時、決まって思い出します。
彼らの顔を、声を。

日常的なやり取りはないのですが、なぜか「思い出す」のです。そんな友人に出会えたことは、私の財産であり誇りです。

皆さんが成人し、あなたたちが社会を支える時代は間もなくやってきます。いろいろな人との出会いもあるでしょう。SNSでのつながりも生まれるでしょう。もちろん、素晴らしいことです。

その中でも、何か自分にうれしいことがあった時、困った時に思い出せる知人を。友人に、楽しいことがあった時、何か考え事があった時、思い出してもらえる人でありたいですね。

そんな、つながりを、今も私は求めています。

ご卒業、おめでとう

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