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週刊金融日記 第590号 なぜ日本の司法はこうも日本経済の足を引っ張るのか、メガバンク株高でTOPIX33年ぶり高値更新、東京で安くて美味しかったランチを二店ほど紹介、中国が処理水問題で大騒ぎした理由、他

// 週刊金融日記
// 2023年9月4日 第590号
// なぜ日本の司法はこうも日本経済の足を引っ張るのか
// メガバンク株高でTOPIX33年ぶり高値更新
// 東京で安くて美味しかったランチを二店ほど紹介
// 中国が処理水問題で大騒ぎした理由
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 香港に台風が直撃しておりました。東京証券取引所は台風ぐらいで休場はありえず、どんな大災害でも営業するんですが(2011年の東日本大震災の時もめちゃくちゃ揺れてもふつうに動いていました)、香港証券取引所は、日本の学校のように、一定レベル以上の台風が直撃するとふつうに閉まります。まあ、それでいいような気もしますね。台風で出勤とかおかしいですからね。
 さて、中国政府が福島原発からの処理水海洋放出を受けて、日本からの海産物を全面輸入停止にしましたが、香港の方は、中国の外交方針に合わせて輸入規制はするものの福島県とその近県だけで、実効的にはあんまり関係ないようで、スシローなどは連日大人気だそうです。香港のスシローはまだ行ったことないんですけど、台風が去ったら、ちょっと行ってみたいと思います。その際にはレポートします。

●台風サオラー接近で香港厳戒、台風警報T8発令
https://www.cnn.co.jp/world/35208545.html

●香港株式市場、超大型台風接近で午前の取引見合わせ 終日休場も
https://jp.reuters.com/article/hongkong-markets-idJPKBN307269

●香港、すし店に連日行列 反日感情盛り上がらず
https://nordot.app/1069902623434834162

 香港がゼロコロナ政策していたころ、もちろん海外旅行は気楽に行けませんから、みな狭い香港に籠もっていて、逆に香港内でのアクティビティが盛り上がっていました。そのひとつがウエイクサーフィンです。走るボートが作る引き波に乗るサーフィンです。ふつうのサーフィンと違って、いつでも理想的な波が作れるので、ちょっと練習したら誰でも波に乗れて楽しいわけです。僕は、これは日本でも流行るんじゃないかな、と思っていたのですが、先日、鹿児島の錦江湾で桜島を見ながら船釣りしていて、やっぱり流行んねぇな、と思いました。
 というのも、ウエイクサーフィンって、ボートで大きな波を水面に作るわけで、船釣りしてる人にはめちゃくちゃ迷惑なんですよね。あと、漁師にもめちゃくちゃ迷惑。ということで、この湾はぜんぶマリンスポーツ用に開放します、みたいなことをやらないといけないわけで、日本は釣りとかのほうが人気だし、漁師がそんなもんいいというわけないので、無理ですな。まあ、一部の湖とかそいうところで、例外的にできるみたいな感じでしょうか。

●船釣りとウエイクサーフィンみたいなマリンスポーツは共存できませんね。

 サーフィンですが、小泉進次郎元環境相が福島の海でさっそくサーフィンして、その後にヒラメの刺身を食って、処理水は安全だよというアピールをしていました。政治家で最初に福島の海に入る辺り、なかなか政治センスがありますね。僕も秋まで日本にいたら、福島の温泉でもまた行きたかったなあ、と思います。

●小泉進次郎氏 サーフィン教室で処理水の安全性アピール 福島・南相馬市
https://www.fnn.jp/articles/-/580660

 というか、こんな処理水は議論するのもバカらしいほどのもので、むしろこんなに長いこと貯め込んでいたことを激しく非難した方がいいわけで、いまさらこんなんで安全アピールかよ、おめでてぇな、という気がします。僕なんか2011年の原発事故の割りとすぐあとに、福島に旅行に行って、温泉に入って、酒蔵で日本酒飲んで、福島牛とか食べてきましたからね。懐かしいですわ。

●福島旅行にいってきました。
https://agora-web.jp/archives/1416160.html

●福島・東北旅行にいってきました。その2
https://agora-web.jp/archives/1418123.html

『反原発の不都合な真実』
https://amzn.to/3OI26UK

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- 日本の抱える問題の元凶は司法・法曹にあるのでは
- 中国の一部のバカが処理水問題を騒いでいるのは中国からのインバウンド観光に影響しますか
- 中国が処理水問題で大騒ぎして日本を攻撃する理由について
- 日本のグレートリセットについて
- 有事の際の預金封鎖などに備えるという観点であればスイス系プライベートバンクもアリですか

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.なぜ日本の司法はこうも日本経済の足を引っ張るのか

 少し前のメルマガに、日本の性犯罪に関する量刑がおかしなことになっている、という話を書きました。なんせお母さんが自分の子供を殺しても男性裁判官にお涙頂戴の芝居のひとつやふたつを打てば、執行猶予が付くのに、不同意性交等罪は懲役5年以上の実刑です。もちろん性犯罪が良くないのは当たり前ですが、あきらかに量刑のバランスがおかしいです。

週刊金融日記 第586号 一部フェミニストの方々の力で日本の司法がおかしくなってきている

 その際に、関係を持った女性から後からあの性交は同意でなかったと言われ、その揉め事が週刊誌に売られてしまい世間に出ると、疑わしきは罰するということで、何度もホームラン王を取っている西武ライオンズの山川穂高選手が、いきなり試合に出場できなくなりました。報道によると相手の女性から示談金として1億円を請求されており、さらに、日本の捜査当局が起訴すれば実刑となりかねない、という窮地に追い込まれていることについて、メルマガに書きました。

●【西武】山川穂高、不起訴と和解金なしに選手として再起期待…選手会事務局長が声明発表
https://hochi.news/articles/20230830-OHT1T51203.html?page=1

 幸いなことに、無事に不起訴となり、和解金も一銭も払わなかったそうです。しかし、片方の言うことだけを載せた週刊誌の記事で、丸々1シーズンを棒に振ってしまったことはもう取り戻せないのです。酷い話ですね。
 ところで、山川氏が一銭も和解金を払わなかったのには、最近の性犯罪の厳罰化と関係があるので、このテクニカルな部分も今週のメルマガでは解説することにしましょう。

●性犯罪に関する刑法 〜110年ぶりの改正と残された課題
https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/128/

 性犯罪絡みは、疑わしきは罰せられ、メディアなどの「私刑」によって、著名人が社会的に抹殺されてしまうことは、日本だけではありません。たとえば、アメリカを代表する大俳優であったケビン・スペイシーは、当時14歳だった子役が性的な関係に誘われたと告発したことで一気にバッシングされ、2017年から現在まで俳優の仕事を続けられなくなっています。また、連続ドラマからの降板などで、多額の損害賠償請求をされています。しかし、2023年まで続いた裁判で、彼はすべての性的暴行の嫌疑で無罪を勝ち取りました。騒いで、彼をキャンセルした人たちは、いったいどう責任を取るのでしょうか。
 ジョニー・デップも元妻からDVを訴えられて裁判を戦っていましたが、これも元妻のアンバー・ハードの証言は虚偽と認定されました。

●米俳優スペイシー氏に無罪評決 男性4人への性的暴行疑惑で英裁判所
https://www.bbc.com/japanese/66321445

●ジョニー・デップさんが勝訴 元妻アンバー・ハードさんによるDV被害は虚偽と認定
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2022/06/02/kiji/20220602s00041000292000c.html

 あまりにもいろいろとバランス感覚に欠いているのではないでしょうか。
 今週は読者の方から日本の司法についての投稿があったので、この難しい問題についていろいろ議論したいと思います。

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- 日本の抱える問題の元凶は司法・法曹にあるのでは

藤沢先生、こんにちは。
私は、先生のご著書はどれも熟読しており、(とりわけグローバル経済の本は刮目せられました)、資本主義とグローバリズムが理論的にどれだけ素晴らしいか、他にまったく代替システムはないことなどは、一応は理解している者だと思っています。

『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』
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