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週刊金融日記 第547号 また東大生は高値掴みをしたのか?米IT企業で大リストラはじまる、Twitter社員50%クビ、香港のラマ島に行ってきました、留学中にやるべきこと、他

// 週刊金融日記
// 2022年11月7日 第547号
// また東大生は高値掴みをしたのか?米IT企業で大リストラはじまる
// Twitter社員50%クビ
// 香港のラマ島に行ってきました
// 留学中にやるべきこと
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 イーロン・マスクさんが、Twitterを買収し、さっそく余剰人員を大胆にリストラしており、この話でTwitterは大変に盛り上がっておりました。日本支社でも広報が部署ごと解雇されるなど、いろいろ慌ただしいようですね。

★Twitterなどの米国の大手テック企業は、かなりの余剰人員を抱えているようですね。

 今週の火曜日には米国で中間選挙がありますが、トランプ元大統領のアカウントをバンしたTwitterの法務の人たちもまとめて解雇されており、トランプさんもまたTwitterに戻ってくるかもしれません。

●米中間選挙 バイデン大統領とトランプ前大統領 東部の激戦州に
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221106/k10013882511000.html

週刊金融日記 第235号 トランプ大統領候補が大炎上の"Locker Room Talk"で教えてくれたこと

★アメリカの資本市場は正常に機能しており羨ましいです。

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 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- イギリスの大学院生ですが留学中にやるべきことをご教示ください
- 出会いアプリでトラブルを避けるために気をつけるべきこと
- 所長は麻布競馬場さんをご存知ですか

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.また東大生は高値掴みをしたのか?米IT企業で大リストラはじまる

 日本では優秀な理系の高校生は将来の社会的地位と高い年収が確約される医学部を目指すのだが、この数年は、最優秀層のかなりの割合が情報工学へと進んでいた。東大は進振りというのがあり、1、2年生は教養学部に所属し、そこでの成績が良くないと希望の学科に進めないことから、最初から情報工学への進学が決まる京大の情報学科の偏差値は東大理系と同等以上になっていたし、東工大の情報工学はおそらく東大より難しくなっていた。東工大は受験生は第3志望まで書けて、第1志望の情報工学で合格が出なくても、第2志望、第3志望で拾われて合格するので、そこで予備校が推定する合格難易度の偏差値が計算され、見かけ上はそれほどの難関になっていなかったが(それでも東大理系に次ぐ難易度だが)、合格最低点などから筆者が推定すると、東工大の情報工学院に合格するには東大理1・理2以上の偏差値が必要であったと思われる。

★東工大の情報工学院への合格は東大理1・理2より難易度が高い。

 もちろん、依然として、ほぼ全員が東大の医学部に進める東大理3が大学受験最難関である。しかし、医師になってしまえば待遇はどこの大学出身でも同じなので、昔と比べて下位の医学部の難易度は大幅に上昇しているのだが、東大理3の難易度はむしろ東大理1に比べて相対的には低下してきている。実際、東大理1と理3の合格最低点の差は年々縮まっていた。2022年3月の東大入試では、理3合格者数ではじめて女子校である桜蔭がトップになったが、これは灘や筑駒のトップ層が情報系学科を目指し東大理1に流れたからだと言われている。

●灘高生が東大理3離れ 医学部志向に異変の兆し?
https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM021XI0S1A101C2000000/

●東大理3合格トップは女子校 桜蔭が灘高超えのわけ
https://style.nikkei.com/article/DGXZQOLM0746S0X00C22A4000000/

 前述のように、東大は進振りで所属学科が決まるので、入った後に情報系学科へ進学するための学内での競争は熾烈を極める。東大のいわゆるコンピューター・サイエンスは理学部情報科学科になり、ここが最難関である。工学部電子情報学科はハード寄りだが、ソフト関係も充実しておりやはり非常に難関だ。工学部計数工学科は制御工学分野や応用物理関連の寄せ集め的な学科で、昔は人気の東大の物理学科や航空宇宙工学科に落ちた学生が行くところであったが、有名なAIの研究室などもあり最近は極めて難しくなっている。
 どれぐらい難しいかというと、進振りで概ね85点以上が要求される。ここで東大の進振り制度を簡単に説明しよう。東大は各科目の成績に100点満点の点数が付けられる。その平均点が85点以上必要だということだ。優上(A+)、優(A)、良(B)、可(C)、不可(=単位が取れない)も付けられるのだが、80点以上で優である。50点未満だと不可になる。ここで、東大は厳格な優3割規定というものがあり、相対評価で上位3割以内の人数しか80点以上をつけられないことになっている。それで、結論から言うと、85点以上というのは、東大生の中で成績上位5%以内を意味する。
 東大は1年生全員が駒場の教養学部に所属し、駒場外国語大学と揶揄されるほど語学の授業が厳しい。もし、情報工学関連の学科に行きたかったら、駒場で英語はもちろん、「配点」が非常に大きい第二外国語で高得点を叩き出すことが必須である。死にものぐるいでスペイン語や中国語などの第二外国語を勉強しないといけない。他の大学と違って、東大は第二外国語でも容赦ない。1年間勉強して、英語でいうところの英検2級レベルぐらいには到達しないと、そもそも進級すらできなかったりする。それで、困ったことにコンピュータが大好きな理系の学生は、こうした第二外国語や他の教養科目がぜんぜん得意ではない。だから、彼らは情報工学関係の学科に進むことができないのだ。

 そもそもなぜこんなに情報関係が人気になっているかというと、この数年、GoogleやFacebookなどに採用されるITエンジニアの初任給が1000万円だ、時に2000万円だ、中堅社員はふつうに3000万円ぐらいもらっているぞ、などとメディアでよく報じられていたからだ。実際に、本当にもらっており、こうした東大の情報系の研究室からGoogleなどの東京オフィスに就職した「先輩」たちの羽振りのいい暮らしぶりが、東大に行くのが当たり前の進学校の生徒たちにも漏れ伝わってきていた。そして、外資系証券会社のように突然クビにされたりすることもないようだった。かっこいい頭脳労働で、これだけまとまった金を稼げて、世間からも羨望の眼差しを向けられる。こうして、日本の偏差値トップ層の一部が、医学部ではなく、情報系学科に向かっていたのだ。

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