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週刊金融日記 第416号 新型コロナウイルス撲滅の実現性とグリーンゾーン経済圏、新コロ禍でアメリカ社会は瓦解しつつあるが株価は好調、政府要請によりレストラン紹介コーナーは休止、新コロ制圧のためのミクロ戦術とマクロ戦術、他

// 週刊金融日記
// 2020年4月21日 第416号
// 新型コロナウイルス撲滅の実現性とグリーンゾーン経済圏
// 新コロ禍でアメリカ社会は瓦解しつつあるが株価は好調
// 政府要請によりレストラン紹介コーナーは休止
// 新コロ制圧のためのミクロ戦術とマクロ戦術
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 先週から積極的に経済や社会の未来予想を書くことにしたので、今週も大胆な予想を書きました。以前書いた世界がグリーンゾーンとレッドゾーンに分かれるかもしれないという話の続きです。

★今週号はこの辺に関係ある話です。


★そんなバカな…、と思われたことがいよいよ現実になる可能性が出てきました。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

- コロナが収束したとして陽キャは復権しますか
- 妻に慰謝料500万円を請求されましたが弁護士を雇ったほうがいいでしょうか
- アラサーバリキャリ肉食女子ですがコロナの影響で男性が誘ってきません
- いい大学を出たのに自己啓発にそそのかされ就職せずに実家で底辺ブロガーでくすぶっています
- Post COVID-19における働き方と住まい
- Post COVID-19の育児について
-中小企業様向けに資金繰りの仕事をしていますがみなさん新コロ禍に対する認識が甘いです

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.新型コロナウイルス撲滅の実現性とグリーンゾーン経済圏

 本日の香港の新型コロナウイルスの新規感染者数はゼロでした。まあ、たまたまでこれからもまだポツポツと出てくるでしょうが、SARSと同じように香港での撲滅に王手がかかったのかもしれません。

★香港は欧米ロックダウンに伴う帰国ラッシュを喰らって、感染者数が大幅増加していたのですが、全員PCR検査と2週間隔離で入国のハードルを引き上げ、三密業種のバーやクラブを営業禁止にして、とうとう6週間ぶりの新規感染者数0にまで来ました。

 今週は2月ぐらいに疫学者や感染症に詳しい医学者など専門性が高い人たちと、僕のような新コロ戦争のフロントラインに立っていた評論家の間で非常にホットだった話題を再び論じたいと思います。封じ込め(Containment)か抑制(医療崩壊しないようにピークカット、Mitigation)か、という議論です。これは3月の最初に書いたメルマガに解説しましたので興味のある方は読んでみるといいでしょう。

週刊金融日記 第409号 新型コロナウイルス(COVID-19)問題の最新の論点を解説する

 すでに何度か書きましたが、僕は1月の最初から武漢のニュースに注目していました。なぜかわからないのですが、他のことを忘れて、いつの間にかこの最初期の頃から新型コロナウイルスに関するニュースを夢中になって次から次へとずっと読んでいたのです。そして、1月下旬に予定していた香港ディズニーランドの旅行が、香港政府によりディズニーランドが突然閉鎖されてしまい、まだ日本人のほとんどにとって対岸の火事であまり注目されていなかったころに僕は実際に新型コロナウイルス禍に巻き込まれていきました。
 1月下旬の時点では、僕もまだ新型コロナウイルスは致死率こそ高いものの毎年流行するインフルエンザなどと比べれば自分への健康被害としては大したものではない、という認識でした。そして、中国政府もあんな都市封鎖をして、さらに中国全土も外出制限など厳しいロックダウンをはじめて何という大げさなことをしているんだ、と思っていました。香港も中国本土との国境を閉じ、ディズニーランドを閉鎖し、いったい何を大げさにやっているんだ、と。率直に言って、中国政府は過剰対策をして経済で大きな損失を出す、失策をしていると思っていたのです。しかし、その後、いろいろ勉強して、中国の研究機関やWHOの資料を読み、自分で計算をしていてことの重大さに気づいた、というのはすでに何度か書きましたね。

●新型コロナウイルス(COVID-19)の次の感染爆発の地は東京になりそうだ 2020年2月15日
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52168377.html

週刊金融日記 第407号 手のひら返しと一貫性について』2020年2月17日

●新型コロナウイルス感染拡大で株価指数ショートの"Window of Opportunity"か? 2020年2月24日
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52168758.html

週刊金融日記 第413号 多くの識者や専門家が新コロ禍を過小評価した理由と反中国イデオロギーの人たちが正しく予想できた理由』2020年3月31日

 それで僕は中国政府の都市封鎖や香港やシンガポール政府の防疫作戦を見ていてどうにもわからなかったことがあります。彼らがやっていることは、完全にウイルスの撲滅を目指していて、常識的に考えてそんなことできるわけないじゃん、バカなのか、と思っていたのです。そういう疑問を持ちつつ、2月の最初ごろから僕はWHOのデイリーブリーフィングを毎日見ていました。すべて英語で生放送されていました。
 そこでは事務局長のテドロス博士が本当に毎日、毎日、新型コロナウイルスは封じ込めできる、いま各国が対策を講じて叩けば封じ込めできる、新型コロナウイルスは封じ込め可能(=Containable)なウイルスだと繰り返し言っていたのです。そんなバカな!できるわけない、と僕は思ったのですが、テドロス博士は生物学の学位を持ち公衆衛生の分野でPhDを取り、なんといってもWHOでトップになった人です。中国のCDCも、香港政府もシンガポール政府も当然ですがバカではありません。それどころか、この分野の世界的なエキスパートたちが揃っています。こういう場合は、当然ですが自分の常識や直感を疑うべきでしょう。バカなのはほぼ100%僕自身のはずです。
 いろいろ調べていると、あのSARSもちゃんと世界は封じ込めていることを知りました。SARSは新型コロナウイルスと同様にコロナウイルスの一種ですが、香港などひとつのマンションで300人以上の感染者を出すというとんでもない感染力のウイルスです。しかも致死率は10%近くあります。この殺人ウイルスは感染経路を一つひとつ地道に追跡して、感染連鎖をすべて断ち切り、なんと数ヶ月の期間で香港などSARSの感染が拡大した国は封じ込めに成功したのです。恐るべきことです。
 ちなみに、このときWHO西太平洋事務局の責任者として、いま日本のクラスタ対策班で活躍しおられる押谷仁氏が陣頭指揮に当たりました。幸運なことに、いま日本国政府に助言している日本の専門家は、押谷教授をはじめ一流ばかりです。

●【SARS速報】香港のSARSマンション集団感染、下水から浴室へのエア逆流が主因か 2003年4月21日
https://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/243013.html

●新型コロナウイルスに我々はどう対峙すべきなのか 東北大学大学院医学系研究科 押谷仁教授 2020年2月4日
https://www.med.tohoku.ac.jp/feature/pages/topics_214.html

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