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週刊金融日記 第624号 円安で日本経済は復活する、ゴールデンウィークでハワイ便予約過去最高、ビザなしで中国本土を旅行する方法がわかりました、頂き女子りりちゃん実刑9年は妥当か、他

// 週刊金融日記
// 2024年4月30日 第624号
// 円安で日本経済は復活する
// ゴールデンウィークでハワイ便予約過去最高
// ビザなしで中国本土を旅行する方法がわかりました
// 頂き女子りりちゃん実刑9年は妥当か
// 他

 こんにちは。藤沢数希です。
 月曜日には一時1ドル=160円台になって、まさに海外旅行中の日本人を直撃しました。僕もちょうど海外旅行に出かけていたので、神田財務官が介入してくれねぇかな、と心の中で思っておりました。

★GWが始まるこのタイミングでこんなに円安になるとは酷いですね。

★無事に中国本土にビザなしで上陸できました!

 新潮新書の拙著2冊が期間限定でKindleのUnlimitedに加わりました。この機会にぜひダウンロードしましょう。特にエネルギー政策の本は、良くも悪くも、当時からな何も変わっていないというか、悪いシナリオ通りになったと思います。

『反原発の不都合な真実』
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『コスパで考える学歴攻略法』
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★円安の強みを活かすためにも、原発再稼働は非常に重要でしょう。

 今週も読者から興味深い投稿がいくつもあります。見どころは以下のとおりです。

-胃・大腸内視鏡検査を受けたらポリープ(ガンの前兆)が3つ見つかりました
-人材紹介業はおいしいと思うのですがいかがでしょうか
-頂き女子りりちゃんに女性たちは同情的すぎませんか

 それでは今週もよろしくお願いします。

1.円安で日本経済は復活する

 1ドル=160円台にまで達し、日本を旅行する外国人が日本は安い、安いと歓喜しております。一方で、ハワイなんかを旅行する日本人は物価が高くて大変だ、大変だ、と嘆いております。ゴールデンウィークに、自国通貨が安くなっている悲哀を味わっている方も多いことでしょう。
 円安にも円高にも当然にメリット、デメリットがあるんでしょうが、メディアはやたら円安で日本はもうダメだ、という論調が多いように思います。僕も基本的には自国通貨は高い方がいい派ではありますが、円安で日本はもうダメだ、という一方的な意見にも首を傾げるところはあります。だったら、2009年から2011年にかけての民主党政権時代は、1ドル=70円台まで行っていたのですが、その時の日本はそんなに「国力」が高くて、日本人は豊かだったんか、と。

●円、史上最高値を更新 一時1ドル=75円95銭(2011年8月19日)
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGC1901Z_Z10C11A8000000/

 拙著に書きましたが、僕は物理の研究者から証券会社に就職した時、金融関係は全くの素人で、ほとんど何もわからないまま右往左往していて、首になることに怯えながら必死こいて勉強していました。最初の1年ぐらいは、金融工学の勉強をしながら、必死に日々の業務をこなしていました。しかし、金融工学自体は、理系にとっては大したもんではありませんでした。ポートフォリオ理論、ブラック・ショールズモデルによるオプション価格評価などは単なる数学の話ですし、資産価格は理論的にはDCFモデルで決まるんだな、と理解できました。この辺は半年ぐらいでキャッチアップできました。
 しかし、証券会社1年目は、まだ、経済のことはよく分かっていませんでした。その頃は、まだ、中央銀行は何なのかとか、そんなこともわかっていなかったように思います。それは金融政策について理解が浅かったと言う意味ではなく、そもそも日銀の存在すら知らんかったように記憶しています。金融工学の概要の理解と日々の業務ぐらいが1年目でできるようになって、2年目ぐらいから経済学の勉強を始めました。それで、まずは経済学の標準的な教科書を勉強して、金融論の本も何冊か読みました。すでにその頃は、日本はゼロ金利政策とか量的緩和とかやっていて、非伝統的金融緩和の世界で、教科書に乗っているふつうの金融政策の外の話になっていました。
 この証券会社1年目と2年目に勉強したことをまとめて本を書いたわけです。経済学の本はだいぶ後になりましたが。

『なぜ投資のプロはサルに負けるのか?』
http://amzn.to/2ixi3QH

『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』
https://amzn.to/3rpXhTO

 僕は当時は経済学の教科書を読んだ後、経済学者が書く教科書じゃない本もよく読んでおりました。その時、特によく読んでいたのが国際貿易理論の分野でノーベル経済学賞を取っているポール・クルーグマンの本でした。

『経済政策を売り歩く人々:エコノミストのセンスとナンセンス』ポール・クルーグマン
https://amzn.to/3Qmu48Y

『良い経済学、悪い経済学』ポール クルーグマン
https://amzn.to/3JC3LI7

 1980年代は、アメリカは莫大な貿易赤字と財政赤字が問題になっており、これらの双子の赤字(=twin deficits)をどう改善していくか、というのが政治的に非常に重要になっておりました。そこでの仮想敵は、破竹の勢いで経済成長し、製造業で世界を席巻していた日本でした。若い人は知らないかも知れませんが、当時はNVIDIAとAppleとMicrosoftとTSMCとSamsungがすべて日本にあったようなものでした。アメリカは、日本から安くて性能もいい自動車や電子機器や、軍事的にも重要なスーパーコンピュータなど買ってばかりじゃなくて、日本にアメリカ製品を買わせたかったわけです。だから、アメリカの政治家は為替をドル安円高に誘導し、また、さまざまな法律や規制で日本の貿易を攻撃し始めたのでした。

●プラザ合意
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=11551

●スーパー301条
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=646286

●日米半導体協定
http://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=4603604

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