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市川沙央『ハンチバック』 読書感想文 C

C-①
といったとこが市川沙央『ハンチバック』読書感想文の概要ですが、それぞれの話題を突っ込んで話しだすと終わらなくなるので、よします。


C-②
小説における「文」のこと、純文学とエンタメでのその違い。そもそも両ジャンルの違い、テーマや内容へのアプローチの仕方。
純文学とエンタメの売れ方の違い。その原因。
現状の「売れ線」と「社会的問題提起」との相関。
ぜんぶ話せますね。


C-③
それくらい豊饒な本だし、読書だと思います。

#市川沙央
#ハンチバック


C-④
ただまあ、強いて言うとエロの多用は避けてほしかったです。
案外これは、純文学系への応募ということで、選んだ線かも知れないですけどね。


C-⑤
なんかエロ(や暴力)を書けば「人間存在」が書けちゃうというイージーな信仰が、一時期からの純文学系にはあるので、それでこうしたのかな、とも考えます。


C-⑥
そう考えたくなるのは市川の世間知に依ってます。
ともかくこの作家さんは世間の事情に通じてますよね。アンテナの感度も高い。
そこらへんも褒めどこかな。


C-⑦
『ハンチバック』の中にも、これは明らかに純文学(系新人賞への応募)を意識してるなぁと思える「創作」がありますね。
こうすると純文学になるんだよなー、みたいな、ツボを心得た事情通みないなとこ。


C-⑧
それでエロ多用になったのかもですが、だとしても、枕がエロでオチもエロというのは、さすがにいただけない印象があります。
まあエロ志向純文学のパロ/皮肉だというなら「やるなあ」ですが、本人本気ならさすがにどうかと。


C-⑨
下ネタは誰でも注目するから、お笑いとかでは低く見られてるんですよね。
誰でも注目するものをモチーフにするのって、要するに本人には芸がないってことなので。
エロ・金・暴力(猟奇)。これをモチーフに使うのは芸の世界ではペケです。一流のエンターテイメントではそうです。


C-⑩
ただ本人本気のエロだったとしても、長編でやってたらそれらエピソードも「エロ・性」だけの話にはならなかっただろうな、と思います。
そういうレベルにとどまる内容/アンテナや観察眼/論理性ではないだろう、という印象があります。


C-⑪
やっぱり同じテーマで長編を書いてほしいな、と思います。
恰好はエンタメで。


C-⑫
「うむ! やはりこの問題は考えねば!」と言いつつ消費する人たち向けじゃなく、1000人に3人の心を動かす(なので身体も動かす)小説を書いてほしいです。現状、難しいとは思いますけどね。

そんなとこが読書感想のまとめでしょうか。


C-⑬
1000人に3人の読者になれるかどうかは、あなたしだいですが、けどまあ、市川の『ハンチバック』の「おもしろさ」を本気で考えてみれば、そう遠くはない場所だとは思いますね。

市川沙央『ハンチバック』はまず「おもしろい」本です。


【蛇足』
「重そうなテーマだな…」で敬遠しないで大丈夫です。
物語の進め方がしっかりした、エンタメみたいな読み方ができるように作ってあります。
一行目を読み始めれば、自動的に最後の行まで読めるようになってる。

ともかく読むだけ読んでみて、引っかかったら考える、引っかからない(引っかかりたくない)なら「読書としては楽しんだ」で十分だと思いますよ。
そもそもそういう書き方をされてるし、「気にはなってたんだけど、手を出すか迷ってる…」なかた、ぜひどうぞ。



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