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哀しき夏の日の『そいつ!』な出来事



Yu Morio もりおゆう さんのこの記事で  
オマージュ・・というか、

自分にも似たような思い出がありましたので、子供の頃の・・
とある夏の日の出来事を書かせていただきます。

北海道の北見から網走に転校してきた小4の夏。
同級生でもない近所(でもない)の友人たち数人と連れ立って
とある目的地に向かっていました。

海沿いの高台にある『ちくわ工場』。そこで窓の外から工場の中を
見ていると、なんと・・・焼き立てのちくわが貰えるというのです?!

仲間の一人が言ったその言葉を信じて私を含めた総勢4人は・・
遠路を歩いて辿り着いた・そのちくわ工場の窓に顔を並べて、
延々と・・ベルトの上を流れてゆく作業途上の『ちくわ』を
見続けることになったのでした。

焼きあがった『ちくわ』は美味しそうな匂いをまき散らしながら
よだれを垂らした少年たちの目の前を・・
これ見よがしに通り過ぎて行きます・・・・・☆

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(こうして待てば、きっとあの美味しそうな『ちくわ』をもらえて
食べることができる・・!!!)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「・・・ほんとうにもらえるのか?」

「・・ほんとうだよ‥‥」

心なしかわれわれを誘った彼の言葉からも力が失われていきます。。

願いを込めた少年たちの「夢のちくわ時間」は過ぎてゆき・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


待ち続けたこと・・なんと・・・・

4時間☆


お昼からの午後の貴重な遊び時間の全てを費やした・・
少年たちの願いは、ついに叶えられることなく潰えました。。

***


でも?!

仲間のひとりは、もう一つの目的があったことを話し始めました!
『ちくわ』もらえる話を切り出した当人です。

(当然・・夢を失っていたオレたちにも希望となる話なんだろうな?!)

「そいつ!」が言うには「おつかいも頼まれている」。

「なんだ?!」 と聞くと
「せんべい工場のお店での買い物」だと言う。

なんでも20円で、『南部せんべいの耳』を大量に買えるのだと。

夢を失った直後の少年たちにとって「そいつ!」の言葉が
天から授かったような新たな希望の光となったのは
言うまでもありません!!

少年たちは先導する「そいつ!」のいう目的地に向かいました。

とはいえ街外れにある「ちくわ工場」から街の高台にある
その目的地までには遠足並みの距離が待ち受けています。

それでも少年たちの想いは今度は『美味しいせんべいの耳』となって
重い足取りにも拍車をかけたのでした☆

・・・・・・



ついに到着☆

「そいつ!」は、20円をお店の人に渡し、かなり大きな包み
受け取りました!! 
当然、少年たちの熱い想いの目線はその袋に向かいます!!

「帰るぞ!」


「・・・?」「・・・?」「・・・・?!


少年たちは・・その袋の中をチラリとも見ることができないまま

哀しい街の夕暮れ時、、
哀しい想いと空腹なお腹を重い脚に乗せたまま・・
帰路へと向かったのでした。。。

****


とある夏の日の、誰もが少年だったその日の
「そいつ!」と一緒に行動した3人の
成し得なかった哀しい想いと

「そいつ!!」への 優しい憎しみは 

時を隔てた今でさえ
いや、終生・・・・・・
決して忘れることはないでしょう。


(哀しき夏の日の『そいつ!』な出来事・完)


*****

お粗末様でした☆ ( 〃・  ・〃 )/~~~🌟

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