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泣きたい時に読む小説「エターナル・スターダスト」No.14


前回のお話 ↓


翌朝、私が目を覚ますと佐久間君がそこにはいた。

そうだ、昨日無理言って泊めてもらったんだ。

「おはよう、沙羅さん」

するとすでに起きていた佐久間君が、私の顔を覗き込み挨拶をしてくれた。

「佐久間君。おはよう」

「体調はどうですか?」

「うん、まあまあかな。眠かったけど」

佐久間君はホッとし、私の手を握る。

「ずっとそばにいさせてください。約束ですよ」

その言葉に私の表情が一瞬曇る。

私だってずっと一緒に居たい。

それでも私の命はもう限られた期間しかないんだよ。

心の中でそう思った。

しかし私は微笑んで頷く。



入院生活が4ヶ月ほど経過した頃から、私の記憶が曖昧になってきていた。

ある日のこと、佐久間君が面会に訪れた時のことだった。

「こんにちは、沙羅さん!」

明るく挨拶する佐久間君だったが、私はは少し戸惑った表情を浮かべる。

「あの...あなたは?」

佐久間君は胸を痛めたが、自分のことを改めて説明し直した。

それでも私の記憶の衰えは止まらない。

またある日も面会に訪れた佐久間君に向かって、私が訝しげな表情で言った。

「えっと...あなた、誰でしたっけ...?」

佐久間君のショックは大きかったが、それ以上に私の状態を心配した。

主治医からは、症状の進行を遅らせることは難しいと宣告されていた。

「沙羅さん、僕は佐久間星夜です。あなたとお付き合いしています」

佐久間君は何度もそう告げ続けた。

私の記憶が次第に衰えていく中、佐久間君は涙を飲みながらも変わらぬ想いで寄り添っていた。

そしてある日、佐久間君が訪れると私がベッドでうつらうつらとしていた。

「沙羅さん、こんにちは」

佐久間君の声に反応することなく、私はぼんやりとしたままだ。

「沙羅さん?大丈夫ですか?」

そっと身体に触れると、やっと我に返った。

「あぁ...佐久間君ね」

久々に名前を憶ててくれたことに、佐久間君は嬉し涙を流す。

「そうです。覚えていてくれたんですね」

「うん...大切な人でしょ。忘れるわけないでしょ」

私はほほ笑み、佐久間君の手を握った。


それからは、私がが自分の名前さえ忘れてしまう時期が訪れる。

ある日、自分の名前を聞かれても「わかんないの。ごめんね」と答える私。

佐久間君はそんな私の手を握りしめた。

「沙羅さん。僕がしっかり覚えているから大丈夫。沙羅さんの全てを愛しているから」

最後まで変わらぬ想いで私を見守ることを誓っていた。



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泣きたい時に読む小説「エターナル・スターダスト」No.15 最終話 へ続く…

続きは ↓


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