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泣きたい時に読む小説「エターナル・スターダスト」No.15 最終話


前回のお話 ↓


その夜、ゲーム内で私と佐久間君は久しぶりの再会を果たしていた。

懐かしのマップで、自分のキャラクターを確認する。

「うふふ、久しぶりね」

「シュナさん、お変わりありませんね」

そうして、このゲームタイトルの由縁たる永遠の星空を二人で眺めていた。

「ごめんね。サクヤ」

「どうしたんです?」

「私の記憶ってもう曖昧過ぎて...自分の名前すら分からないときあるし...」

「大丈夫ですよ。シュナさん。シュナさんが忘れてしまっても僕が覚えています」

「うん...ありがとう...」

笑顔で会話を楽しむ二人。

一方現実では、私の病状が次第に進行していた。

「楽しい思い出が蘇るわね。サクヤとこうして話せるのが幸せよ」

「そうですね。大切な時間を過ごせて僕も嬉しいです」


その翌日、私は高熱を出して意識不明の状態になった。

ICUに運ばれ、佐久間君は支える相手を失ってしまうのではないかと肩を落とす。

「沙羅さん、お願いです...目を覚まして」

机に頭をうずめて泣く佐久間君。

看護師が励ましたけれど、立ち直るには時間がかかった。

佐久間君は毎日のように私のお見舞いにきていた。

しかし、私の意識は戻らないまま。

意識不明から1ヶ月...。

重体が続く私を見守る日々で、佐久間君は憔悴しきっていた。

複雑な表情でICUのベッド際に座り、言葉を探す。


「沙羅さん、どうか目を覚ましてください。お願いします...」


もう会話もできないこの状況に、辛くて立ち直れない。

私の手を握りしめ、想いを伝える。


「あなたがいなければ、僕は生きていけません。必ず戻ってきてください」


毎日こうして励まし続けたが、私の反応はない。

ある日、担当医から辛い現実を突きつけられる。

「もう少しで脳死状態になります。覚悟した方がいいでしょう」

ショックで呆然とする。

諦めきれず、必死に願い続けた。



そして…。



その日が訪れた。



佐久間君が病室の扉を開けると、ベッドに座る私の姿が。

「沙羅...さん?」




病状が改善しているわけではなかった。

リアルでの時間が少なくなっていく。

僕は自分のノートパソコンを持ち込み、沙羅さんと同じ場所でゲームにログインする。

サクヤとしてゲーム空間で会う時間を大切にしようとした。

最初に出会い恋に落ちた場所。

この「エターナル・スターダスト」の世界こそが、僕たちの始まりの場所なのだ。


僕は彼女の肩を抱き、ずっと一緒にいると誓った。


最後の一秒まで一緒にいると誓ったのだ。


二人で夜空を眺めながら、他愛もない会話をする。


いや、すでに会話にすらなっていなかったかもしれない。


一方的に僕が話をしていたような気もする。

「シュナさん、今度、本当の星空見に行こうよ」

「...」

「ここの星も綺麗だけど、リアルの星はもっと綺麗だよ」

「...」

「絶対に僕が連れていくから、安心して」

「だって僕は、シュナさんの彼氏だから...」

「...」

「...ん...連れてって...」

かすかに聞こえる彼女の声に僕は大きく頷くいた。

「うん、絶対だから」

「...」

「約束するから」

「だから...」




その時だった。




ピーーーーーッという機械音が響き渡った。




エピローグ


沙羅さんとの別れから数年が経っていた。

今も僕は沙羅さんと過ごした日々を鮮明に覚えている。

ゲーム内の世界で出会い、現実でも交際を始めた最初の頃の気持ち。

病魔に侵されていく沙羅さんを支えようと必死だった日々。

そして、この世を去る直前まで彼女と過ごした時間の一コマ一コマが、僕の大切な思い出となっている。

ある日、久しぶりに「エターナル・スターダスト」を起動した。

懐かしのBGMが流れ、自分のキャラクターが表示される。

「さみしいなぁ...」

以前二人で過ごした想い出の場所をひとりで歩いていると、涙がこぼれた。

その時、星空を見上げると一風変わった光が目に飛び込んできた。

流れ星だ。

「あっ...」

思わず声が出る。そうだ、約束があった。

本当の星空を見に行く約束を、沙羅さんと交わしていたことを思い出す。

涙がこみ上げてくる。



「待っててね...沙羅さん」


星空の下、改めて約束を交わす。

必ず本当の星空を見せてあげると。



それから数日後、僕は一人旅に出た。

沙羅さんとの約束を果たすべく、日本有数の星空スポットを目指している。

長時間の車旅を経て到着した先は、山間に広がる高原地帯。

夜になると周囲の明かりが全て消え、いにしえの星空が目の前に広がるという。

宿にチェックインしてすぐに外に出る。

周囲を見回すが、人気のない星空の下にたったひとり立っている。


「さぁ...来たよ、沙羅さん」


ひとりごとのようにつぶやき、天を仰ぐ。

銀河がはっきりと光り輝いている。

星がいくつもきらめいている。

本当に美しい星空だった。


「見てる?沙羅さん」


「僕、約束守ったよ」


涙ぐんでしまう。


でも嬉し涙でもある。


「僕は、また必ずこうして、星を見に来るよ」


心の中で沙羅さんに語り、そう伝える。

ふとした瞬間、流れ星が1本、夜空を駆け抜けたかと思うと、また新しい流れ星が見えた。

流れ星が幾つも夜空に描く輝きに、僕は息をのんで見入っていた。


「ありがとう、沙羅さん」


「内気で何もできなかった僕を…」


「大好きになってくれてありがとう」


「こんな僕を好きになってくれてありがとう」


感極まって言葉にならない思いが込み上げてくる。

そして、流れ星のシャワーが止むと、僕はゆっくりと星空に語りかけ始めた。




「綺麗な星空だったね。沙羅さん」




「本当は、二人で...」



「......」

涙がこぼれ落ちる。




「愛してる」





「ずっとずっと、大好きだから」



僕は精一杯の声を張り上げて星空に向かって叫んだ。

「また来るからね、沙羅さん」

そうつぶやくと、星空を背に僕はその場所を去っていった。

ふと振り返ると、天の川の上をまた流れ星が駆け抜けていた。



おしまい。



あとがき


繋ぎのつもりで書いたこの小説。記事に起こすために頭から全部読んで、ラストで涙が止まらない…。

自分で書いた小説だけど、切なすぎる。

佐久間君が可哀そう…。

感傷にひたってないであとがき書かないとね。ちなみに、最終話っていうかこの記事は以下の曲を流しながら読むと本当にやばい.ᐟ.ᐟ
CLANNADの曲です。

あーいっぱい泣いた。すっきりした。次も頑張ろう。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました(*´꒳`*)

次回作はちょっと決めかねています。長編の小説はまだ1/3しか書けてないし、もう少しショートストーリーで繋ごうかな?


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