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泣きたい時に読む小説「エターナル・スターダスト Extra」No.15 最終話


前回のお話 ↓



エピローグ



俺は全部話そうと思っている。今なら何でも話せる気がした。

「とりあえず、まずは謝らせて欲しい。ごめん」

急な俺の言葉にアヤが動揺する。

「え、なに?ごめんって急に...」

しかし、俺は言葉を続けた。

「俺は君が思っているような人間じゃないんだ」

「そもそも、会社員だなんて嘘なんだ」

「大学卒業後、就職した会社でパワハラに合って辞めたんだ」

「そのあと再就職しようと思ったよ」

「つなぎにコンビニのバイトも始めた」

「バイトしながら、それでも新しい職場を夢見てた」

「でもある日、先輩が発注ミをスして、そのミスを全部俺のせいにしたんだ」

「反論したんだ。でも、それが余計に火種を大きくして、結局俺がくび」

「それからだよ。俺はもう仕事を探す気力すらなくなった」

「家で動画見たりゲームして過ごす毎日。お金だってない」

「半年だけ在籍した会社で貰った給料が俺の全財産だ」

「今じゃ世間から疎まれるニートだ」

「情けないだろ?」

「俺の人生ってなんだったんだろうな」

「こんなはずじゃなかった。もっと頑張れたのかもしれない」

「でも、俺は諦めたんだよ!」

「親は顔を合わせる度に、早く仕事を見つけろって言う」

「俺だって頭ではわかっているけど、どうしようもないんだ」

「俺は世間が怖い。皆が俺を見る目が怖い」

「就職できたとしても、またあんな目に合うんじゃないかって、怖くてたまらない」

「俺はどうしようもない奴なんだよ」

「だから人に好きになってもらう資格もないんだ」

「俺は駄目な奴だんだよ」

知らぬ間に目から溢れ出す涙。

そうだ、俺はこんな奴だった。

好きになってもらう資格すらない。

だからずっとソロでゲームもプレイしてきた。

なのに、なのに、なんで君は俺に手を差し伸べたんだ。

手を差し伸べられなければ、俺はこんな気持ちにもならなかった。

「もう人生詰んでるだよ」

俺は吐き捨てるように言った。

そのとき、ふとアヤの表情を見た。

アヤの目にも涙が浮かんでいる。きっと同情だろう。

でも、そんな同情は不要なんだ。

俺はアヤに同情されるような人間じゃない。

それに俺はただのウソツキなんだ。

「それにアヤにも沢山の嘘をついてきた」

「リアルで会った時に行ったカフェ。行きつけなんかじゃない」

「前もってネットで調べたんだ。チーズケーキのことも調べただけ」

「会社の同僚とランチ?笑っちゃうだろ?そんな同僚なんて存在しない」

「服だって髪だって、アヤと会うために整えたんだ」

情けない。どれだけの嘘で自分を固めてきたんだ。

アヤをどれだけ欺いてきたんだ。

「そして、極めつけにインフルなんてなってない」

「リアルのアヤに会って、これ以上の嘘をアヤにつくのが怖くなったんだ」

「でも...」

その言葉にアヤが反応した。

「でも...?」

俺は本心をぶちまける。これがアイテムの力なのかどうかはもう分からない。

それでも、ここまで全部話したんだ。すべてぶちまける。

「でも、アヤのことを忘れる事なんて出来なくて...だって、こんなにも」



「俺はアヤのことが大好きなんだ!!!」



アヤは涙を流しながら俺の体に手を回す。

そして抱きしめてくれた。




「リン...苦しかったね」

「ん...苦しい」



俺は悪い事なんてしてこなかった。

なのになんであんな目にあったんだ。



「辛かったね」

「ん...辛いなんてもんじゃなかった」



世間の目と親の目、そして忘れられないあの部長の目。

俺が何をした。



「大変だったね」

「俺の人生なんて...」



コンビニの先輩のようにずる賢く生きれたら、どんなに楽だっただろう。




「生きてるの嫌になっちゃうね」

「ん......もう駄目だって...」



死にたいとも思った。

でもそんな勇気もなかった。



「それでも私は...」





「リンの事が」



「大好きだよ」





「それとね」

そしてアヤの口から意外な言葉が発せられる。



「知ってた」




「リンが嘘ついてるの知ってた」

「えっ...」

時間が一瞬止まったかのようだった。





「わたし、わたしね...」

アヤの体が震えているのが分かる。

「わたしもあなたに、伝えなければいけないことがあるの」



何を伝えるというのだろう…。



「これ、バイトなんだ」

アヤの言葉を全く理解できなかった。

この子は何を言っているのだろう?

バイトって...。なんだ...?



「わたしはあなたのご両親に雇われた、本当はただのバイトの子なのよ」



俺の両親に雇われた?どういうことだ?

「サヤカもね、わたしと同じバイトの子なの」

意味がわからない。そもそも何のバイトだ。




「わたしとあなたがもっと接近するようにって、そういうシナリオだったの」




俺は頭の中が真っ白になる。



「アヤ...何を...」



「ごめんなさい。わたしはあなたが社会復帰するために雇われたバイトなんだよ」



その言葉で俺は納得してしまった。

おかしいと思った。

俺なんかの事を好きになってくれる人がいるはずもない。

こんな俺を好きになってくれるはずないじゃないか。

ずっと騙されていたのは俺の方だったんだ...。

俺は道化か?さぞ面白かっただろうな。

俺の今までの苦しみはなんだったんだ?




アヤは言葉を続けた。

「でもね...いつからか、バイトじゃなくなってた」

「私はリンに会いたくて仕方なくなってたの」

どういうこと...だ?


「私は本当に、リンのことが…」


優しく語りかけるアヤを直視できない。

俺の人生はなんだったんだ。

そしてこの数ヶ月は何だったんだ。

そんな疑問が湧く中、アヤの声だけが響く。


「いつもね」

「あ、この人頑張って考えてるんだって」

「そんなリンが可愛く見えたの」


彼女が俺を抱きしめる手にいっそう力が入る。





「わたしはリンが好き」



「そんな部分も全部好き。バイトなんかじゃなく好きなの」



「だからもう楽になっていいよ」

「私がちゃんと見ててあげるから」

「他の人なんて関係ないよ」

「私があなたをずっと見てる」



そしてしばらく、二人は抱き合いながら泣いていた。






それから数ヶ月が過ぎた。

俺はというと、またバイトを始めていた。

今度は近所のスーパーでのバイトだ。

一所懸命に働いた。

これまでの時間を取り戻すかのように。

そしてそれが実るときがやってきた。

その仕事ぶりを見た店長から声を掛けられる。

「君、正社員にならないかい?」

思いがけない言葉に心が弾む。

「え、いいんですか?」

「是非、お願いします!!!」


俺は社会復帰をしていたのだ。


アヤに伝えたら、きっと喜んでくれるだろう。


おしまい。




あとがき


こんな感じの話に仕上げてみたけど、どうだったかしら?ラストは最後の最後まで悩んだのよ?

アヤもリンを騙していたっていう設定がすごく欲しかったの。予想外の展開が欲しかったのよね。

結果的にうまくまとまったかなって思うけど、まだまだよね?わかってるわ。言わないで。

次の作品はまだ決まっていないの。

これが投稿された時点で、長編がどこまで書けているかにもよるけど、もう一回くらい短編かしら?

長編連載し始めたら、半年はかかるだろうし…。

まぁ、期待しないで待ってるといいわ。


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