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仄灯りを終えて

根本佳代子 写真展「仄灯り」
CO-CO PHOTO SALONでの会期を終えました。皆様、本当にありがとうございました。
https://coco-ps.jp/exhibition/2023/10/1392/

会場奥の1000×1500の写真。1秒にも満たない1/160秒で切り取った世界は、低照度の時間帯なので会場では見えづらかったかもしれません。でも、見えすぎることで疲れてしまい見なくなることや、見えづらいからこそじっと目を凝らすから見えてくることって日々の生活の中でもある気がします。
あの写真の前に立つと、自分の影ができ、その部分にじっと目を凝らすと、東京という街の海の陰影のヒダ、深さ、昼と夜の狭間…等が見えてきたと思います。自分が一人で抱えられるものは、せいぜい両手の幅(写真の前に立った時の自分の影)くらいではないでしょうか。そのほんの少しだけをしっかりと見て、大切に、壊れないように壊さないように守り抜く。こうやって生きていけば良いのかもしれません。すべてを見る必要はきっとない。

色々とは便利な言葉ですが、生きていると色々あります。誠心誠意を尽くしても伝わることも伝わらないこともあって苦しい思いをすることもあると思います。明るく綺麗なものだけが讃美されることで、悲しい思いをすることもあると思います。写真は愛だけれど切り取られることや残ることで時に傷つくこともあると思います(濱田英明さんも、シャッターは愛、ゆえに残酷と言っていますね)人生は理不尽で不条理なことも多い、得るものと同じくらい失うものもあります。私にも癒えない傷がたくさん、あります。

それでも、未練や後悔を抱えながらも、人生の不確実性の中でも、諦めずにもがく姿こそが人間の本質的な美しさなのではないでしょうか。これは、去年のキヤノンギャラリー銀座での個展でかけていただいた言葉です。私はこの言葉にいまだに何度も救われています。

そして、写真として切り取られることも残ることも最終的には愛として昇華できたらいいなって思います。

本当はおひとりおひとりにお礼を差し上げたいところですが、叶わず申し訳ありません。お越しくださいました皆様、心を寄せてくださいました皆様、メッセージもたくさん…ありがとうございました。私の祈りのような仄灯りを見てくださり、共感してくださり、嬉しかったです。いつかまたどこかで、この展示ができたらいいな、願いが叶いますように。
いつでも、あなたの心に、仄かなあかりが灯っていますように。

最後に、私に挑戦する機会をくださった、CO-CO PHOTO SALONの深水さん、本当にありがとうございました。いつか恩返しができるよう撮り続けます。

プリント・会場構成: アフロアトリエ
設営:株式会社フレームマン
図録:株式会社イニュニック
翻訳:安達ロベルトさん

「仄灯り」の図録、オンラインで販売しています。
https://kayoko-nemoto-online-store.square.site

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