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どのおっぱいもいいおっぱい

そんな文言とさまざまおっぱいがプリントされたラッピングを剥がすと、今度はボディポジティビティの化身みたいな、肉感的な女体の花瓶のおでまし。

友人エリザからのプレゼント。
LGBTQでヴィーガンでフェミニストという、ヨーロッパの最新型すべて搭載の彼女らしいチョイス。

All boobs are good boobs
訳:どのおっぱいもいいおっぱい
こぶりもたわわも、たらちねもつりがねも、
乳首もそれぞれいろいろで
ひとつもふたつも、いくつあっても
みんなちがってみんないい

最近あちこちで見かけるこれ。
ボディポジティビティの象徴にして、フェミニストの士気も高め、セルフラブ案件も満たす、今のヨーロッパの流行全部載せなのであります。

胸というパーツを性的に扱わないで。男性は外で上半身裸が許されて、女性には乳首隠せとは何事か!という論争はここしばらくホットなテーマ。

そしてついに、ドイツ中部の町ゲッティンゲンが、市営プールで女性もトップレスしちゃいなよ、と言い出し、ベルリンがしたらば我こそ!と乗っかったら、我暮らすザクセン州にあるドレスデンという町も、じゃーうちも!と名乗りをあげまして。我が町ライプチヒがこの波に乗るのも時間の問題、と踏んでおるここ最近なのです。

伝統的に旧東ドイツではFKKというフリーボディカルチャーを推奨していた名残で、我が町ライプチヒの湖にはそもそも裸族が定住。夏場はみんな全裸でのびのびブラブラしているのですが、公共の市営プールでは水着着用ルールがあり、ここで裸になると罪人になります。しかし一転サウナとなると、またみんなすっぽんぽんを強要されます。

そんな市営プールで堂々とビキニの上を取って、男性と同等に隠さずに、乳首をお日様に晒すことのできる権利を女性たちは手に入れるわけです。

え、乳首出したいんなら湖や海で好きなだけトップレスやればいいじゃない。女性もオッケーなんでしょ?

いいえ、ここでの争点は、
「女性と男性の権利が同等であること」なのです。それぞれが自由に選択できるという点が重要なのです。市営プールや公園などで、男性の上半身裸は当然だが女性はビキニをつけろ、というのは本人たちの意思を尊重していない、というわけです。湖での寛容さとは違い、公共の場において女性が上半身裸になるとあーだこーだ言われる事案が多いようです。湖、海は治外法権なんだろうか。

難しい問題です。
移民の多いドイツには、そもそも女性が肌を見せることを禁じる宗教を信じる人口も高いし、胸を性的なパーツと認識する男性の方が、世の中圧倒的多数なのは事実でしょう。

日本育ちのわたしも昔、持ち主同様に控えめで楚々とした胸を嘆き、鶏のからあげたくさん食べてたら巨乳になったというイエローキャブのどなたかの発言を希望に、からあげに邁進。胸じゃないどこかに蓄えただけでした。

今となっては、いや、今こそここでボディポジティビティ。

どんな体も愛おしい。どんな控えめなお胸でも垂れるという重力の不思議に触れ、授乳でのびのびたな乳首も悪くない。これでいいのだ。

そういや、数年前に日本の有名な温泉地にあるプールに行った時のこと。

わたしと友人、そして娘でわくわくビキニに着替えて入場したら、おとなもこどもも、男性も女性も、みんな水着の上にパーカーやラッシュガード、ハーフパンツなど着用なことにびっくり。

日本が肌見せ禁止国家になったことを知らなかったわたしたちと、外国人観光客のみ半裸族。

水着の上を取らせろと叫ぶドイツ、
水着の上に更に羽織りの増えた日本、

なかなか味わい深いものですね。

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