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昔むかしの就職活動(2)やっとアポを取った会社の面接での失態

1980年初頭の4大卒女の就職活動。
男女機会均等法もない頃の話です。
4大卒女子は採用していない、女子はあなたの大学は指定外でダメと言われ続けて約1カ月。なんとか数社から面接の機会をいただいた。

とにかく断られ続けていたのでチャンスがあればどこでも出向いた。
業種、職種など選べるはずもなく何でもよかった。

そうすると起こること。昨日は機械メーカーと製薬会社、今日はアパレルと貿易会社、というように実に様々な会社の面接を一度に受けることになる。

ある会社の面接でのこと。
一通り定番の質問に受け答えをした後、「我が社に入社したら、どんな仕事をしたいですか?」と聞かれた。

「うっ!」と返答に困る。あまりに多種多様の会社に応募したため、今現在面接を受けている会社が何の会社だったか一瞬わからなくなってしまったのである。
「ありゃ、ここは何の会社だったけ・・・ヤバい。」
何と答えるべきか焦りまくる自分。全身に汗がじんわり。

一か八かで思いついたのはどこの会社にもある職種。
「経理。」
実は自分に最も向いていないのは経理だと思っていた。それなのに。。。
面接終了後、情けなくて涙がでた。

面接の前にはその会社のことをしっかり研究する、というのは基本中の基本。当然でしょ、と言われそうである。私もそう思う。
しかし、しかし、ネットもない時代。
会社のことを調べようと思ったら就職課や図書館にある会社四季報を見るか(貸出禁止)、リクルートが出版していた電話帳のような分厚い企業ガイド(重すぎて持ち運ぶのは無理)で調べるしかない。

私が応募した会社は上場していないところが多くてこれらの資料に掲載されていないところも多かった。

電話して手ごたえあればそのまま駆けつけていたため時間に余裕もなかったのでした。

当然、その面接は落ちた。

数年後。

会社員になってしばらくしてから、業界誌の取材を会社代表で受けることが数回あった。
その時に決まって聞かれる項目が「何故、この業界をえらびましたか?」である。

真実の答えは「理由などない。採用してくれればどこでもよかった。たまたま就職したのがこの業種の会社だったのです。」

しかし、そんなことは言えるはずもない。
質問者が想定しているであろう無難な回答をしたのでした。

管理職になってからは、自社の採用面接官を頼まれることに。
学生さん達のインタビューをしているとき、当時と同じような質問をしている自分がいた。「何故、この業界を希望しているのですか。」

学生の皆さんの回答はしっかりしていた。
採点をしながら過去の自分の失態が思わず甦り、あせるのでした。

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