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リサイタルまで残り…2ヶ月!

こんばんは、ピアノの嘉屋翔太です。
皆さん、GWはいかがお過ごしでしょうか?

昨日は丸の内でラ・フォル・ジュルネに参加しておりました。実は聴く側として訪れたのも過去一度きりで、この音楽祭に触れるのは今回が二度目。明治安田生命ビルの1Fでのミニコンサート、驚くべきはその観衆の数!なんとエスカレーターを昇った2階まで、想像の数倍上をゆく多くのお客様が足を止めて耳を傾けてくださりました…大変に嬉しかったです。

西陽の差し込む会場。実は手元が真っ暗でした笑


ジョイントで組んだ神原くんとも何度か本番を共にしており、段々と息があってきたこの頃。基本ずっと喋っている僕と物静かな彼は凸凹コンビにも思えますね。今回は曲目について打ち合わせをしなかったにもかかわらず、ビタッとハマった二部構成のプログラムが実現できました!
…かと思うと楽屋では「曲順どうする?」なんていうユルっとしたやり取りをしているのですが。

《プログラム》
J. S. バッハ: トッカータ ハ短調 BWV911
R. シューマン: アラベスク ハ長調 作品18
(神原)

J. S. バッハ: カプリッチオ『最愛の兄の旅立ちに寄す』BWV992
S. ラフマニノフ: 愛の悲しみ(クライスラー)
(嘉屋)

黒と白の衣装が、我々のコントラストを象徴しているかのようです

演奏会の衣装も、僕はコンサート毎に妄想を膨らませて色々なコーディネートを組む一方で、彼はいつでも安定したブラックスーツにタイドアップのスタイル。こういう違いって、何となく演奏にも顕れる気がします。因みに僕が今回のスーツをチョイスしたのは、007のダニエル・クレイグのスタイルを意識してのことです(『スペクター』とかね笑)。
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さて、そろそろ7/4の王子ホールでのリサイタルに焦点を当てて行きたい頃合いです。

今回の投稿から、徐々にプログラムの全体像を明らかにしていこうと思います。今回は第一弾、ズバリ冒頭の曲目について!

《J. S. バッハ: カプリッチオ『最愛の兄の旅立ちに寄す』変ロ長調 BWV992》

正直、コンサートでバッハを弾くというのは今まで避けてきました。というのも、フーガを弾くとなると身構え過ぎてしまう節があり、精神的に堪えることが殆どだったのです。ゆえに昨日のプログラムは、自身にとって大きいハードルに立ち向かうという意味合いが強いものでした。

いかなる複雑な現代曲でも身体に馴染ませるノウハウを磨いた自負がある一方で、むしろバッハの端正な音像をコントロールすることに苦労してきたのは、見た目より根深い問題だったように思います。特に思春期の早い段階でプロコフィエフの刺激にどっぷりと浸かったことは、良くも悪くもその後の音楽の捉え方に大きな影響を及ぼしたでしょう。最近シンプルな曲をより美しく表現することに拘っているのは、その反動かもしれません。

7月のリサイタルはその志の結晶となるべき演奏会です。全てのトリに配置するショパンのソナタは「単純な美しさを持つ中で最も複雑な作品」の一つだと考えています。

だからこそ、このプログラムはショパンが敬愛したバッハで始めるべきだと思うのです。今年2024年に入ってから4ヶ月間、この決断を下すためにバッハの作品に向き合ってきたと言えます。

…まぁ、これ以上蘊蓄を垂れると自分を苦しめそうなので、素直に「綺麗な曲だなぁ」と思ってもらえるように弾きたいですね(笑)。そもそも僕がこの作品を選んだのも、「癒されるハーモニー」という第一印象あってのことでしたから。
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GWも後半、今日は久々に鎌倉へ。ヨーロッパの街並みや教会も美しいけれど、日本には日本なりの美意識があると再確認できました。特に瑞泉寺の侘び寂びを具現化したかの如き佇まい…日本人というアイデンティティを誇りにして生きていきたいと感じる瞬間でした。

朝比奈の切り通しから、熊野神社へ。
険しいハイキングコースを抜けて、瑞泉寺。

ここまで読んでくださった皆さま、ありがとうございます。残りも良いGWをお過ごしください!

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