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誕生月と精神医学: 海外研究の紹介

皆様、こんにちは。鹿冶梟介(かやほうすけ)です。

突然ですが、皆様の誕生月は何月ですか?

占いでは「◯◯月生まれ(●●座)の人の性格はXX…」という”性格診断"がよく行われておりますが、実は精神医学でも「◯◯月生まれは、●●障害が多い」ということが以前より言われております。

しかし、この手の研究は小規模研究が多く、また文化的背景に影響されるため、エビデンスレベルが高い論文は多くありません。

ところが昨年、誕生月と精神疾患の発病について纏まった研究が台湾から報告されました。

私が知る限りでは、ここまで大規模な研究はありませんので、ぜひ皆様とシェアしたいと思います。

なお今回もデータが多いため、一部の研究結果のみを紹介いたします。


【研究紹介】

Month of birth and mental disorders: A population-based study and validation using global meta-analysis, Hsu CW et al., Acta Psychiatr Scand, 2021

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33930177/


<目的>
誕生月と特定の精神障害の頻度の相関について調べる

<方法>
1.台湾の全国データベースで精神疾患を有する患者を調べた。比較対象として一般住民をマッチングさせた。誕生月における各疾患の一般集団に対する相対リスク比(RR)および周期性(誕生月のパターン)を評価した。

2.次にPubMed、Embase、Cochraneで関連論文を検索し、メタ解析を行なった。データ提供サービスの開始日から2020年12月31日までに発表されたすべての研究を対象とした。ランダム効果モデルを用い,同定された研究から各誕生月の95%信頼区間付きRRをプールし,誕生月から年(または季節)における相対年齢へ変換した。

<結果>
1.台湾の大規模コーホート研究
研究には1,951,777人の患者が含まれていた。心的外傷後ストレス障害、解離性障害、摂食障害、性別違和、性的倒錯障害を除き、他の精神疾患は有意な誕生月の発病パターンを有していた。(図1, 2, 3, 4, 5)

図1:誕生月別、発達障害の相対リスク

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