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【コピー本同人誌】壊れた樂園【製作記録】

3月31日に発行したコピー本の製作記録です。

前回の記事でこちらの本の構想を練っておりまして、ビフォーアフターでこうなりました、という記事になります。
こちらが前回の記事↓

相変わらず長い記事ですのでお好きなところ、気になる所からご覧下さい。


今回のコンセプト、イメージ。

砂漠の王国のお姫様に仕える侍女ちゃんのお話を作りたいなー、とずっと考えていて。今回はそのイメージで装丁を考えました。

装丁のカラーイメージは白×鮮烈な赤。
前から真っ白な表紙の本で中身が真っ赤(不穏すぎる……)な本をやってみたいと思っていました。

表紙は砂漠の王国=中東のイメージから、柘榴をモチーフとしてチョイス。(柘榴は中東原産)
よくよく調べたら柘榴の実の花言葉は『結合』、『愚かしさ』という意味があるようで。今回描こうと思っている話と合うじゃない?!とひとり盛り上がってました。

割れた柘榴の実の赤色を白い表紙のアクセントにしたいと思い、鉛筆画でガリガリ書き起こしました。ペン入れしようか悩みましたがこのラフな感じで使う方が雰囲気が合うなーと思いあえて整えず使いました。

ラフの方が綺麗だったりもする

表紙絵が出来たので装丁で使う紙を選定していきます。

表紙の選定


イメージはパール紙、高級感のある紙、ということでこちらを使いました。

OKミューズパール

見てください!この光沢!!!
パールの輝き!そしてこの紋様!!!!

この紙は完全に一目惚れでした。
見た時にビビっときました。これだ、これしかない!
眩い白、パールの高級感、これは姫様のストーリーに出てくる白い街をも彷彿とさせる……!イイ……!(昂っています)

実際届くまでドキドキしてましたが、封を開けた瞬間テンションぶち上がって、『これは見せびらかしたいー!』とXに紙に光が反射する動画まで載っけてました…。

あと先日のイベントでお会いした方に『紙が!紙がとてもいいんです!!!撫で回してください!!』と気が狂ったように叫びました(すみません)

この時点で早く表紙を刷りたくてウズウズしてました。

遊び紙の選定と加工。


当初、遊び紙を観音開き状態にして作ろうと思っていました。

試作してる図。右側は月のシルエット、左側に建物

メモ紙などで試してみたのですが……強度に不安が…。かなり紙厚がないと折り目が切れてしまいそう。この開きをやってみたいけど……強度のジレンマ。

お手にしてもらった本が壊れやすい仕様ってのはいただけない。
この開きは諦めて違う方法を考えた方がいいかも。
考えて考えて、結論。

折り重ね仕様はやめて、1枚で作る。そして切り抜く(???)

紙は少し厚めです(130kg)。
表紙同様使いたかった紙がこちらの遊び紙でして。きらびきRのうす金。
なんとも言えないこの色味…昔から大好きで。恐らく『1番好きな特殊紙はなんですか?』って言われたらこの紙を推すくらい好きな紙です。
昔、この紙のこの色で2色刷りのオフセット本を作ったんですが、刷り上がり見て感動して。
この紙はいつか自分でも使ってみたいなーと思っていた紙です。
またこの紙のパール感の色と質感が、月のシルエットに合うんだ……ホントたまらん。

遊び紙の制作風景。

建物は手描きで2週間くらいかけてた記憶。色んなモスクの写真見ながら模写して唸ってた記憶しかない。
コピー機でイラストを印刷して(パール紙はインクジェットNGが多い。)月のシルエットに赤の模様をスタンプで入れています
この後は手作業で1枚1枚、月と建物をハサミとカッターで切り抜いて、シルエット仕様にしていきます。(さながら手動レーザーカッター…)

お馴染み海外スタンプとステイズオンのインク。

今回はこのスタンプを本文にも共通で押しているんですが、禍々しい感じが実にいい…。
遊び紙のクレーターの感じは上手く出てると思ってます。
この本以外に他のものに使う、使える用途は微塵もないけど…。(大体私のスタンプはそんなもん。)
切り終わったら、この下に星空の遊び紙を重ねて完成。

使わずに置いておいた紙。

こちらは上質紙(90kg)に印刷されたデザインペーパーです。
minneやcreemaでオリジナルのデザインペーパーを取り扱ってらっしゃる方がいて、そこから購入してます。(柄トレペとかもあるので見てるだけでも楽しくてオススメです)

当初は星空の柄トレーシングペーパーで考えましたがこの下に口絵が入ることを考慮して辞めました。

口絵作り


今回の口絵は透明フィルムで作りました。
これ使った本を作るのも3回目ですな…

お馴染みの光景

フィルム印刷はインクを乾かすのに3日かかるので、製本作業はこの印刷作業を1番先にやっています
乾かしたらこの下に来る紙の選定。

下の紙は本文用紙。


裏表紙側にくる口絵。表紙の柘榴に色を付けました。


まず直接本文用紙を下に敷いてみる(今回は本文用紙にスタンプで柄を入れています)
なかなかいい感じだけど、ちょっとキツイ印象。
ワンクッション欲しい気もする。

本文と口絵の間にトレーシングペーパーを。

本文の模様も活かしたいのでトレーシングペーパーを挟みました。
今回使ったのは、アートドリープのさざれ(96kg)

アートドリープは柄の種類が色々あって楽しい。
フィルム、アートドリープ、本文の順

模様の透け具合がアートドリープのおかげでとてもいい感じになったと思う。

本文用紙と加工。


今回のコンセプトカラーは白×赤。
当初は本文を真っ赤な紙で…と思っていましたが、装丁伝えた親友から『紙真っ赤だと読んでて目が痛くなる』と警告が入りました。

うーん、ならば……。

本文用紙を特殊紙にしよう!(2回目)

前々回の記事で、本文に特殊紙を使った本をやりました。これが思ったより素敵な仕上がりだったので、今回もこの仕様をとりました。

今回使ったのはこちら。

新星物語 パウダー

キラキラした銀が両面に散りばめられた紙です。
紙厚が110kgと本文用紙としてはちょっと厚いのですが、綴込み出来ない厚さでは無いので使用することに。
今回はこの紙に赤の柄をいれて使ってみることにしました。

な、なんて禍々しい(笑)
本文印刷してみた感じ。
場所によっては非常に読みづらいかも……

当初、この柄を全頁に入れたものを考えていたのですが(それも考えてコマ割りの構成も考えてはいた)やってみると頁によっては柄が邪魔をして読みづらい……。
予定を変更して、柄を入れる場所を限定して入れていくことに。演出の一環として捉えて貰えたらと思いますし、ポイントを絞って入れ方も変えているので想いが伝わってくれてればいいかなぁと、思っています。

表紙加工


待ちに待った表紙加工編です。

印刷(カラーコピー)してみた図

この紙もインクジェット不可の紙なので、カラーコピーで今回は印刷。
タイトルはわざと薄いグレーで入れました。
当初、小さくタイトルを入れようかと思いましたがバランスが悪かったので大きくし、紙の特性を考慮し、あえて見え辛い色味で入れています。

そして加工。
今回はあんまりにも素晴らしい紙なので、ポイントを1箇所に絞りました。

今回は果実の赤を加工します。この赤い部分に厚盛り加工をしようということでまず試作。厚盛りということで、レジンを使ってみることにしました。

100円ショップのカラーレジンでお試し。

当初、果実に色は入れてませんでした。
赤のレジンをかけたらどうか?と思っていたので先ずはお試し。
カラーレジンだと思ったより赤色が薄かったので、果実には色を入れることにして再挑戦。

赤が綺麗


ぷっくり感もいい感じ!

狙い通りにいってテンションが爆上がりです。
レジンという素材の扱い上は避けて通れないのが黄変。
やはり100円ショップのものでは……と思い色々調べて、使わせていただいたのはこちらのレジン。


星の雫&宝石の雫

検証した方の記事だと、星の雫というレジンはかなり耐久性が高いレジンのようです。(4年経っても透明度が損なわれない)
クリアのレジン(星の雫)に着色をする為、宝石の雫(赤)を加えて混ぜていきます。

混色の為の道具が無いので、100円ショップのレジン用モールドを器代わりにしました。

先ずは星の雫を器に垂らして次に赤色の着色剤を加えていきます。

加えるのはほんの1、2滴
混ぜるスティックも100円ショップで購入。
なんでも揃って有難いですね

撹拌してムラがないように混ぜていき、先がスプーンになっているスティックを使って表紙に直接塗っていきます。
表紙に塗ったらUVライトで照射。

未使用でしまい込んでいた貰い物のUVライト。

UVライトもまさかこんな製本作業に使われると思うまいよ…。(紙を無理やり突っ込まれている図)
私の手元に来たのが運の尽きさ…。
大分昔に貰った古いタイプのものなので、硬化に少し時間がかかりますが1枚作るのに数分の照射が必要で。その間にまた次の表紙を作る作業…と繰り返して作っていきました。

すごい綺麗ぃぃぃぃぃぃぃ!(興奮)

これ、ずーーーーっと触っていられるくらい良くて(実際に出来上がりをずっと撫で回していた)手にした方皆様にこの手触りを堪能してもらいたいなぁ……と思っております。

今回だけじゃなく、他の本作る時も積極的にこの手法は使いたいな。これはホント自画自賛の加工になりました。今回に関しては、表紙の紙が良すぎるから余計にこのワンポイントが引き立つ気もしますね。

今回珍しく表紙の加工はこれだけなんですが、裏表紙の裏にもワンポイントでいつものエンボス加工を入れました。

赤のインクに追い打ちで赤のエンボスパウダー…不穏。

実は裏表紙裏への加工は参加イベントの前日に思い立って、旅先のホテルでずーっと加工してました…。
赤色のインクに赤パウダーがより鮮烈な赤にしてくれてます。すごいインパクト。好き。(はいはい)

思いつきの余談。

本文も参加する前々日あたりに思いついたことをやりました。今回の本文は中心(ホチキスの針が出る綴じ目の箇所)がちょうど前編と後編の間になった為、これ入れたら??とあるものを挟み込みをしました。

飛び出す蝶?的な。

大きさはランダムで3種類(大中小)ありまして。イベント当日はランダムで持って行ってもらってます。(お世話になってる方には一声かけたりして困惑させましたが…)
これから承る通販分に関してもランダムで入れさせてもらいます。

終わりに。

今回は擬似的な厚盛りニス加工っぽいことにチャレンジしてみましたが、思ったより綺麗にいって嬉しい結果に。
同色併せとか、水滴とかそんなイメージ加工もこれから自作で出来るようになる… 

選択肢が広がりますね。

ちなみに表紙の作業してる最中の私を見て、旦那さんが一言

『……本にレジンって必要ある???』

必要あるに決まってる!!

また次回の製本記録でお会い出来たら光栄です。
次回の記事までに、製本ネタの仕込みをしておきます。


【壊れた樂園】

表紙/OKミューズパール(170kg)
遊び紙/きらびきR うす金(130kg)
            デザインペーパー(上質紙90kg)
口絵/OHPフィルム
        /アートドリープさざれ(96kg)
本文/新星物語パウダー(110kg)

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