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「車輪の下」詰め込み教育、ダメ。絶対。(ちがう)

ヘルマンヘッセの「車輪の下」読了しました〜。

ざっくりあらすじを解説すると、大人たちの圧力で車輪の下に轢かれてしまった(潰れてしまった)少年の話。

ヘッセが言いたかったことは、「ストップ詰め込み教育」では絶対にないと思うし、ましてや、嫌なことから逃げて、休んで、そのあと成功した!みたいな成功体験話でもない。現代人はそういった教訓めいた本を好むけど、そういった内容を期待して読む人の想像とはちょっとずれる内容かと思う。

若い時にたくさん詰め込みの勉強をさせられて、好きなものや、子どもじみたもの、童話の本などを早々に取り上げられて。良い成績で、みんなに尊敬されて、試験にも無事に合格し、良い学校に行くために街を出たものの。
問題児であった親友との関わりを止めるよういわれ、その親友が今で言う退学になり。
抑圧まみれにうんざりして。おそらく今で言う鬱みたいな状態になる。

一見、出世ルートを通り、街のみんなの期待を受けて、安定した学校に入学する。普通に過ごしていれば道を踏み外さなくてもすみそうなルート(神学校)にいるにもかかわらず。ハンス少年は次第に勉強への情熱や、生きる力さえだんだんすり減らしていく。

その後、故郷に帰ってくるも、幼い頃のことを追想し、もうその頃に戻れないと感じている様子が切ない。

しばらく療養してから、新しい仕事を始めて、こらからなんとかなるのではないか、立ち直るのではないか、と思って読んでいたが、ハンス少年は静かに死んでいった…。

特にお父さんとの関係が密に書かれているわけでもなく、親友も退学後は一度も登場せず、周りとの関係も淡々と書かれているため、「静かに死んでいった」という印象。

途中で恋焦がれる女性が出てくるも、その後すぐ退場となるので、もしそうじゃなかったら、ハンス少年を救えたのかな。なんて思ったり。

現代人にありがちな視点で、この小説から得られるものが何か、と言われると「詰め込み教育の末路。ストップ詰め込み教育。」みたいなことになるのだろうか。…みたいなことを考えてしまった。(笑)
ヘッセが伝えたいことは絶対、「ストップ詰め込み教育」じゃない。

疲れている現代人に読んで欲しい。はっきりとなにかを得られる本、ではないからこそ。たまには。

著者のヘルマンヘッセも、学校が嫌になって抜け出したらしい。抑圧を感じ、そこから逃れ、作家となり、素晴らしい作品を生み出し続けたヘッセの1冊、ついに読了です。

#読書の秋2022
#車輪の下
#読書
#ヘルマンヘッセ

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