Dr.Takashi Kawakami

国際政治学者の川上高司です。このブログでは「地政学」の手法を用いて、サイバー、金融、人…

Dr.Takashi Kawakami

国際政治学者の川上高司です。このブログでは「地政学」の手法を用いて、サイバー、金融、人権、認知戦、中東情勢、米中対立などをプラトン立体的的分析から紐解きます。

最近の記事

前代未聞!-国際刑事裁判所がネタニヤフ首相の逮捕状請求

国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃を巡り、戦争犯罪などの疑いでイスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相の逮捕状を請求すると5月20日に発表した。2023年10月から戦闘が始まって以来、ガザ側の死者数が3万5034人になった。米CNNによると、ガザ当局は推定で約1万人の遺体が、がれきの下に埋まったままである。今回、ICCは2023年10月以降にガザ地区で犯された戦争犯罪や人道に対する罪を問うことになり、逮捕状の発行を判断

    • 戦争寸前の世界

      昨日から不穏なニュースが流れている。 「イランのエブラヒム・ライシ大統領とホセイン・アブドラヒアン外相らが乗ったヘリコプターが19日、北西部の東アゼルバイジャン州の山中に不時着した。大統領らの安否は不明だ。」単なる事故であったらよいのであるが、これにイスラエルがからんでいるということになれば事態は深刻であるし、また、そのようなフェークニュースが拡散する可能性もある。中東は火の海となる。 また、トランプ政権でのマイク・ポンぺオ国務長官は、18年春に訪朝した際、 金正恩キムジ

      • エマニュエル大使の与那国訪問―台湾有事で与那国離島からどう逃げるか―川上高司 日本外交政策学会理事長

                  エマニュエル大使の与那国訪問        ―台湾有事で与那国離島からどう逃げるか―         川上高司 日本外交政策学会理事長  台湾総統の就任式が目前である。頼清徳新総統はもっともアメリカ寄りとされ、新政権がスタートすれば台湾独立へ向けての動きをみせるのではないかと、中国は神経をとがらせている。アメリカでは大統領選挙のまっただなかであり、台湾をめぐる危機的動きがあればバイデン大統領もトランプ候補もすぐさま応じる気配がある。 故安倍総理がいった

        • 米国は分裂するのかー米国内をゆさぶるイスラエル・パレスチナ紛争― 川上高司(日本外交政策学会理事長)

          イスラエルのパレスチナのガザでの戦闘で3万人以上ともいわれる死者がでており、イスラエルを支持する国はほとんどなくイスラエルは世界中から批判を集めている。それを支持するアメリカはその中核にあり、国内でも若者を中心に「虐殺への加担」への批判は頂点に達している。なかでも、コロンビア大学、イエール大学、ブラウン大学、UCLA、フロリダ大学など名門大学でパレスチナ支持の学生による占拠と、これに対する警官の突入が相次ぎ、大学が“戦場”と化している。ベトナム戦争反対を掲げた反戦デモが全米に

        前代未聞!-国際刑事裁判所がネタニヤフ首相の逮捕状請求

          バイデン大統領の日本は「外国人嫌い」は過去の話(川上高司 中央大学法学部講師)

          日本の労働力不足が日に日に深刻化する中、日本では外国人労働者への依存度が上昇し、ここ数年間に外国人労働者の数は大幅に増加している。厚生労働省のデータでは昨年でみると、205万人(前年比 約236万人増加)。ベトナム(25.3%)、中国(19.4%)、フィリピン(11.1%)の順である。この増加傾向は続く。外国人労働者が急増することで日本経済は活性化される。外国人労働者が毎年10万人のペースで増えると、経済のパイが徐々に拡大し、日本の国内総生産(GDP)を毎年0.07%引き上げ

          バイデン大統領の日本は「外国人嫌い」は過去の話(川上高司 中央大学法学部講師)

          なぜウクライナ戦争は終わらないのか?―「戦争立国アメリカ」の戦争経済学ー川上高司(中央大学法学部講師)

          ■米国のウクライナ支援継続の背後にあるもの バイデン政権はウクライナ向けに610億ドルの支援4月24日に決定した。署名した。ウクライナへの兵器輸送はすでに開始されているとみられる。米国は第1弾としてすでに10億ドルの兵器供給を承認しており、これには弾薬、車両、対空ミサイル「スティンガー」、高機動ロケット砲システム向けの追加弾薬、155ミリ砲弾、対戦車ミサイル「TOW」および「ジャベリン」、そのほか戦場で直ちに使用できる兵器が含まれている。  最大の支援国である米国が決めた軍事

          なぜウクライナ戦争は終わらないのか?―「戦争立国アメリカ」の戦争経済学ー川上高司(中央大学法学部講師)

          キングメーカーを狙う麻生太郎副総裁と「もしトラ」川上高司(中央大学法学部講師)

          ■「もしトラ」で麻生が日本のキングメーカーとなる  岸田総理が強権人事外交を展開し、自民党が壊滅状況にある。しかも、永田町から日本独自の大戦略をプラニングできるキングメーカーが消えている。そのような中、麻生太郎副総裁がトランプ前大統領とニューヨークのトランプタワーで4月24日に会談した。  トランプは麻生を自らトランプタワーの玄関口で出迎えた。岸田総理が訪米したときには空港にはバイデン大統領が出迎えにでなかったのとは対照的であった。ロビーで麻生について「私たちの親愛なる友人の

          キングメーカーを狙う麻生太郎副総裁と「もしトラ」川上高司(中央大学法学部講師)

          増える自衛隊員の「殉死」と命の「対価」

          日本は潜水艦大国に囲まれている。ロシアの65隻、2位は米国の64隻だが、3位の中国は61隻と米国に迫り、4位の北朝鮮も35隻を保有する。日本は5位で23隻であり、周辺を潜水艦大国に囲まれている。 そのため、日本はロシア、中国、北朝鮮を対象として、海自と米国、オーストラリア、フィリピン軍は4月7日、南シナ海で初の本格的な海上演習を、11〜12日には海自と米国、韓国の両海軍が東シナ海で共同訓練を実施した。 その最中、今回の空自の事故が起きた。伊豆諸島の鳥島東方海域で計8人

          増える自衛隊員の「殉死」と命の「対価」

          秒読みに入ったイスラエルとイラン戦争    (川上高司 国際政治学者)

          イランが4月13日夜から14日にかけて、イスラエルに対しド限定的なローンおよびミサイル攻撃を行った。イスラエルの1日の在シリアのイラン大使館空爆への報復であったが、イスラエル領内を攻撃するのは異例だ。それだけに戦火の拡大が懸念される。 イスラエルは、シリアの革命防衛隊への空爆を頻繁に行い、昨年12月には革命防衛隊の上級軍事顧問が殺害された。この時にイランは翌1月にモサド(イスラエルの諜報機関)の拠点であるイラク北部のクルド人自治区にミサイル攻撃を実施した。これに対し、イス

          秒読みに入ったイスラエルとイラン戦争    (川上高司 国際政治学者)

          日米比同盟は対中CBM(信頼醸成)にも焦点を!

          訪米中の岸田文雄首相とバイデン米大統領、フィリピンのマルコス大統領は現地の初の日米比首脳会談がワシントンで4月11日に開催された。米国のあらたな同盟戦略「グリッド型同盟」(格子型同盟)の幕開けである。日米韓や米英豪、日米豪印など複数の同盟・友好国との枠組みを「格子」型に重ねて中国を抑止する米国の戦略である。 日本の外交政策はかねてから、同盟を重ね合わせる戦略をとってきた。同盟には二国間同盟(日米安保、米英安保など)、多国間同盟(NATO、AUKUSやかつてのWTOなど)、集

          日米比同盟は対中CBM(信頼醸成)にも焦点を!

          岸田総理の米議会演説のレトリック―日本は米国のグローバル・パートナーになり得るのか?―

          岸田文雄首相は11日、米議会上下両院合同会議で演説したが、冗談はうけたが中身は現状をのべるのみでレトリックに終始した。訪米にたずさわった方が「今回はお祭り」と言っていたがその通りであった。以下、本来ならやるべきであったことである。 第一に、今回は日米安保条約の改定まで踏み込むのではないかという期待があった。しかし、岸田総理は「尖閣に日米安保第5条に適応する」と述べるにとどめた。一見、日米同盟の強化とされるが当然のことであり、日本政府がアメリカにそのつど要請し、大統領は繰り

          岸田総理の米議会演説のレトリック―日本は米国のグローバル・パートナーになり得るのか?―

          日米首脳会談の裏の狙い!―日米同盟のグリッド・アライアンス(格子状同盟)へ-

          日米首脳会談で、バイデン大統領から米国が中心で同盟国とそれぞれつながる「ハブ・アンド・スポーク」の2国間型の同盟だけでは秩序維持ができない。したがって、米国が同盟を結んでいる同盟同志の関係をネットワーク化した「グリッド型同盟」へとトランスフォーム(進化)させることが狙われた(エマニュエル駐日大使)。 日本は米国の「オネストブローカー」(忠実なしもべ)として日米のウイングを他国にも広げる。米日韓、米日比、米日英、がそうである。バイデン(米)、岸田(日本)、マルコス(比)のデ

          日米首脳会談の裏の狙い!―日米同盟のグリッド・アライアンス(格子状同盟)へ-

          日米首脳への緊急提言

          日米同盟と安全保障政策に関する緊急政策提言      日本外交政策学会(JFPC)       理事長 川上高司        2024年4月8日 提言1.常設統合司令部に米軍将校を常駐させよ 提言2.オールジャパンで日米共同作戦計画と有事体制を整備せよ 提言3.セキュリティクリアランス制度を厳格化せよ 提言4.アメリカ企業との協力体制を模索せよ 提言5.NSCで事態認定のシミュレーションを実施せよ 提言6.政府と自衛隊の指揮命令系統を見直せ 提言7.日本のレッドラインを明

          日米首脳への緊急提言

          ウクライナのハッカー戦争① ―ロシア軍のハッカー攻撃―

          ロシア軍の情報・サイバー戦部隊「サンドワーム」が2023年5月からウクライナ最大の通信事業者「キーウスター」のシステムに侵入し、12月に大規模なサイバー攻撃を行ない、携帯電話やインターネットのサービスが停止。その攻撃規模はロシアによる全面侵攻開始以降で最大と見られ、首都キーウ(キエフ)があるキーウ州の75以上の集落で空襲警報システムが停止するなど大きな影響が出た。 ウクライナ保安局のサイバーセキュリティー部門統括のイリヤ・ビチュクによれば、「この攻撃は、ウクライナだけでな

          ウクライナのハッカー戦争① ―ロシア軍のハッカー攻撃―

          アジア版NATOの創設か!-自衛隊の海外展開ー 川上高司 中央大学講師

          日米首脳会談がまもなくワシントンで開催されるが、その陰で日本とフィリピンの防衛協力が進展している。日比は自衛隊をフィリピンに定期的に一時派遣するローテーション展開の予定である。当然ながらフィリピンとの情報保護協定の締結も行われるわけである。日比の安全保障協力を「同盟国」並みに引き上げるということは、アジア版NATOに向けた動きであるとも考えらられる。  アメリカはフィリピンと 「バリカタン」軍事演習を定期的に行っているが、日本の自衛隊が本格的に参加する方向で調整している。米比

          アジア版NATOの創設か!-自衛隊の海外展開ー 川上高司 中央大学講師

          「もしトラ」で日本は米軍注中経費の負担増額を求められる! 川上高司

          「もしトラ」が実現しそうないきおいで、対日政策が気になる。この点、マーク・エスパー元国防長官(トランプ政権)「もしトラ」なら、日本を含めて「同盟国や友好国に強硬姿勢を取るだろう」と述べた。さらに日本に米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)の増額を求める、ウクライナ支援も即時に打ち切ると断じた。  トランプが大統領に再選されれば、大統領の任期は4年でおわる(2期8年のため)ため、1期目よりも持論を強く打ち出し、やりたいようにやる。  ロシアとは和解し、ウクライナ戦争は終結

          「もしトラ」で日本は米軍注中経費の負担増額を求められる! 川上高司