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脳科学者・茂木健一郎氏が語る人工知能の現在と未来

茂木さんが 「人工知能の話は面白すぎ」 「こんな時代に生きることになるとは思わなかったなっていうぐらい本当に面白い」 とおっしゃっていて、とても共感しながら動画を拝聴しました。

この動画は「事実」と「茂木さんの切り口」が合わさっていて、とても面白いです。この記事では、動画のポイントを要約します。

【動画はこちら】

1. 資金と才能の集中

AI開発には莫大な資金と最も優秀な才能が投入されています。

特に、アメリカのIT企業や中東の王族からの巨額の投資が集まっています。

例えば、イーロン・マスクはOpenAIに初期投資を行い、その後MicrosoftがOpenAIの一部を所有するようになりました。

これにより、技術情報の公開が制限される問題が生じています。

OpenAIは元々全てをオープンにするという理念で設立されましたが、現在では商業的利益のために多くの情報が秘密にされています。

この状況はAI研究の透明性とオープン性に対する期待を裏切るものです。

2. OpenAIとAGI(汎用人工知能)

OpenAIは当初、全ての技術をオープンにすると約束していましたが、実際には多くの技術情報が秘密にされています。

イーロン・マスクとOpenAIの間では、AGI(汎用人工知能)に関する訴訟が行われています。

AGIは、人間のように幅広い知識とスキルを持つ人工知能であり、その開発と公開には多くの議論が伴います。

特に、AGIが実現した場合、それを公開するかどうかが大きな問題となります。

公開することで技術の進展が促進される一方、悪用されるリスクも高まるため、慎重な判断が求められます。

3. AIの歴史的意義

茂木氏は、現在のAI革命が過去の科学革命や技術革命に匹敵する重要性を持つと強調しています。

彼は特に量子力学の誕生やアポロ計画などの歴史的な技術革新と比較し、AIがもたらす変化がそれらと同等か、それ以上であると述べています。

さらに、AIの進展は、フェイクニュースの生成や資源配分の最適化など、多くの社会的問題に対しても大きな影響を与えるとしています。

特に、AGIやASI(汎用超人工知能)が実現した場合、それは世界を根本的に変える可能性があると述べています。

AGIは、すべての知的作業をこなせる万能の人工知能であり、それが実現すれば、社会のあらゆる側面が変革される可能性があるのです。

茂木氏は、AI技術の進展がもたらす倫理的・社会的な課題にも言及し、これらの技術がどのようにして安全に実装されるかが重要な議論のテーマであるとしています。

彼は、核兵器の開発が世界を変えたように、AI技術もまた世界を劇的に変える力を持っていると強調しました。

4. 日本の立ち位置

日本はAI開発競争で遅れをとっており、その理由として資金不足とダイナミックな環境の欠如が挙げられています。

アメリカのIT企業が大量の資金と才能を引きつけている一方で、日本はそのような資源を十分に確保できていません。

さらに、日本社会の保守的な性質や移民の少なさも、AI分野での進展を妨げる要因となっています。

茂木氏は、日本がAI開発において優位に立つためには、「モート」(絶対的な優位を保つ要因)を見つけることが重要であると述べています。

例えば、寿司やアニメのように、日本が世界に誇る文化や技術が日本の強みとなり得るとしています。

これらの分野で培ったノウハウやクリエイティビティをAI開発に応用することで、日本は独自のポジションを確立できる可能性があります。

5. 人間とAIの共存

茂木氏は、AIのエネルギー効率や独創性の限界について言及し、人間の脳の優位性を強調しています。

AIは膨大な計算資源を消費しながら学習しますが、人間の脳は非常に効率的に情報を処理することができます。

例えば、将棋の名人である加藤一二三氏は、少量の食物からエネルギーを得て長時間思考を続けることができますが、現在のAIは同じことを実現するために大量の電力を消費します。

さらに、茂木氏は、AIが人間の創造性や個性を完全に模倣することは難しいと述べています。

AIは過去のデータを基に学習し、統計的に最適な結果を生成するのに対し、人間は独自の経験や感性に基づいて新しいアイデアを生み出します。

このため、AIと人間が補完し合う形で共存することが、これからの社会において重要となります。

また、茂木氏はAIアラインメントの重要性にも触れています。

AIアラインメントとは、AIと人間がどのように共存し、協力していくかを考える分野です。

特に、日本はこの分野で得意分野を持っており、AIを効果的に利用しつつ、人間との共存を図るための取り組みを進めるべきだと述べています。

茂木氏の講義は、AIの進展がもたらす大きな変化について深い洞察を提供し、日本がこの分野でどのようにポジションを確保し、活躍できるかについての貴重な視点を提供しています。

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