さっき、減量できた自慢を妹にした。

電話嫌いの私が久しぶりに妹と電話をした。私は減量自慢をした。妹は、
「兄よ、あなたは努力して太った感じの人ではなかったか、ただもとに戻っただけではないか」
とたずねてきた。どんなに近い距離で生活しててもあの当時の他の兄弟の記憶はまるでないようだ。

私は初の曾孫、初の孫だったのでかなり甘やかされた。当時買ったばかりのオープンリールテープデッキで私の声を録音してたくらいかわいがられた。食べ物の好き嫌いは激しかった。周囲はそのわがままを許容した。これは誰かに言われたのだけど、昭和四十年代の豚肉はとても美味しくなかったそうだ。私はあの脂身の臭いのがだめだった。牛も羊も豚もだめ。ひき肉にされたやつと鶏だけはいけた。いや、ロースも脂のところだけ親や弟妹に食べてもらった。脂部分以外はいけた。
その偏食を直そうと母は努力した。母の努力の甲斐あって、小学校六年くらいには肉はなんでもいけるようになった。

そこらへんから太り始めたのだ。妹はそこらへんをまるで記憶してなかった。
根っからの細身じゃない。偏食による細身だ。太り始めた記憶はある。教室で座ってる自分の太ももがやけに太いな、と感じたのが11歳くらいだ。これデブじゃないか、と当時思った。そこから順調にデブ街道を歩いた。三十過ぎて一度目の減量をした。あの当時の服が着られるといつも書いてたのはそれだ。
そしてそこからまた食事の制限をなまけた。二年前に再び0.1トン弱になった。病気になった。入院した。いまは痩せ自慢ができるほどになった。いくらでも自慢する。遠慮がちに生きてたら負ける。自慢しながら生きる。私の真似をすりゃ痩せられる。

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