見出し画像

インフルエンサーじゃない私にエッセイ漫画出版の依頼がきた3つの理由 #子育てフリーランス 14

妊娠・出産・育児と夫の関係に向き合い、試行錯誤しながら「いい感じ」の働き方にたどり着くまでの赤裸々エッセイ。著書「子育てしながらフリーランス」の原作。火・金更新!

前回のお話。

フリーランスママになって「マイペースに働くぞ!」と思ったものの、実際に、出産したら、産後ノイローゼ、イヤイヤ期の保活、夫の失業、一家の大黒柱になる、という壁が次から次へと押し寄せてきました。

それは、とてつもなく重いプレッシャーを感じる日々でした。

しかし、「一人で家族を養う」と言う経験をしたことで、夫が心身が壊れる寸前まで一人で働いて、家族を守ってくれていたことに、感謝することができました。


それからしばらくして、夫は会社員、私はフリーランスの共働き夫婦になりました。

そして、息子のソウちゃんは3歳になり、認可外保育園から、私立幼稚園に移りました。

保育園を8園回ってようやく見つけた、認可外のB保育園は、とても居心地のいい園でした。
一人一人の子どもたちの成長に寄り添った教育で、ソウちゃんにも合っていたと思います。

しかし、その保育園までは、そこそこの距離があり、毎日、自転車送迎でした。

凍えそうな寒い日も、溶けそうな暑い日も、チャリを漕ぎ倒す日々…。​

そこで、「預かり保育」と「送迎バス」のあるS幼稚園に転園することにしました。

預かり保育は、幼稚園の通常保育の後に、夕方まで預けることができました。 その時間帯に、習い事も幼稚園で受けることができました。 そのあとは、送迎バスで家まで送ってくれるという…

働くママとパパの強い味方!!

S幼稚園に移ってからは、ソウちゃんの成長もあり、私は本格的にフリーランスの仕事をできるようになりました。

この頃は、週4〜5、朝10時〜17時頃まで仕事をしていました。

1日のスケジュールはこんな感じ。

夫が失業中は、「自分ができる仕事は何でもやります!」というスタンスで仕事を受けてましたが、実績が増えると、仕事を選べるようになり、イラストの仕事が増え始めました。

月の収入は、25〜30万円前後を安定する時期が続きました。夫の収入は生活費に、私の収入は貯蓄や、臨時の出費に充てていました。​

また、この頃、営業をしたり、交流会に参加したりした成果が、ようやく芽を出し始めました。

初めのうちは全くと言っていいほど反応がありませんでしたが、半年くらいから、少しずつ依頼が増えていきました。

最初の営業先が、出版社であったことも、早めに軌道に乗れたポイントだと思います。

出版のお仕事は、書籍に名前を掲載してもらえることが多いです。その本をきっかけに、他の出版社から声をかけられたり、同じ出版社内で紹介してもらうことがありました。

実績がない頃に営業をしていて気づいたのは…

なので、書籍に名前が掲載されることは、実績としても紹介しやすく、信頼に繋がったのかもしれません。営業を通して、フリーランスは、「いかに、信頼をわかりやすく人に伝えるかが大切」と言うことを実感しました。

そして「書籍」の仕事をしたかった理由は、「実績」になりやすいだけではありませんでした。

私は、イラストレーターになることが小さい頃からの夢でした。その中でも、本のお仕事をすることが目標の一つでした。

会社員で働いていた頃、イラストレーターを目指し、デザイナーとして採用された会社で、人手不足を理由に、営業や、雑用の仕事をさせられていたことがありました。

その頃の私にとって「働く」ということは、「生活をするためにお金を稼ぐための手段」でした。

周りの人たちに、イラストレーターになる夢を反対されていたこともあり、 私の中で、好きなことをして稼ぐことに罪悪感がありました。

だけど、皮肉にも…夫の失業をキッカケに、本気でフリーランスとして生きていくことを覚悟して、行動し続けた結果、好きなイラストの仕事で食べていけるようになりました。

働くことの価値観が変わりました。


そう、好きな仕事は「楽しい!」。

けれど、「楽」ではない。
同じ漢字なんですけどね。

フリーランスは、本業以外の仕事もたくさんあります…。

依頼があるたびに、見積りを計算したり、金額の交渉をしたり、請求書を作ったり、年に一度確定申告をしたり。「自由に働く」ことができるということは、「安定ではない」ということでもあります。


フリーランスで、継続して活動していくためには、考えて、行動し続けないといけません。
だから、より一層、フリーランスをするなら「好きな仕事」をしないと辛いと思います。

私も、駆け出しの頃や、夫が会社を辞めたときは、ガムシャラに思いつくことを何でもしてました。
しかし、仕事が安定し出した頃からは、育児の間に気軽にできる営業活動に切り替えました。​

また、この頃、新しく始めたのがブログです。

当時、人気だったアメーバブログ。
今で言うInstagramのような存在でした。

私は、ブログで育児漫画を更新することにしました。

というのも、この頃、イラストの仕事は増えてきていたのですが、やりたい仕事を続けていると、どんどん、もっとやりたいことが見つかってくるんですね。

それが、「漫画を描くこと」でした。

でも、実際に漫画の仕事をしたことはなかったし、描いたこともありませんでした。漫画を描けるだけの技術もありませんでした。

なので、まずは練習しようと思い、ブログをはじめました。
日々の息子や家族の日常の出来事を、漫画にしてアップしていく。
一人で、もくもくとやるより、一人でも読者がいてくれる方が、続けるモチベーションになります。

仕事以外での、絵を描く時間は、育児や仕事の気晴らしにもなりました。
自分の好きなものを心から好きと思える瞬間は、こういう時なのかもしれません。

それに、育児漫画を描くことで、育児で大変なことがあっても…

「ネタ」と捉えることで、客観的に見ることができました。

悩み事も、漫画にしてしまえば、笑いに変えることができる。
中には漫画にすることで、読者が一緒に悩んでくれたり、アドバイスをくれたりする人もいました。

そう言う活動を続けるうちに、イラストや漫画を描く人たちともブログやSNSを通して繋がっていきました。それは、私の漫画を描く大きな楽しみでもあり、原動力になりました。

ブログに育児エッセイを描くことは、私にとって「いいこと」がたくさんありました。

「誰かのために」「仕事のために」だけではなく、
「自分のために」だから続けることができました。


そして半年経った頃、

とある企業から、1通のメールが届きました。

そこには、なんと…「エッセイ漫画出版」の依頼のメールが…!





私はメールを二度見、いや、三度見しました。

…じゃなくて!


まさかの!目標にしていたエッセイ漫画の出版のお話だったのです!

この頃、ブログは半年以上続けてましたが、公式ブロガーどころか、ランキングの上位に入ったこともありませんでした。Twitterのフォロワー数も1000人以下。

それでも、出版のお声かけいただいたのです。

このメールに対して、私は…

力強く、お返事しました。


しかし、そのエッセイ漫画の内容は………

「料理」だったのです…!

私は、家事全般が大嫌い。特に料理は苦手…!


冷静になると、不安でいっぱいになりました。


半年後には、一冊の本が出版されるという事実。
信じられない…。

漫画の構成、執筆、それに加えて料理のレシピ考案まで、自分一人でやらなければいけませんでした。
出版社もライターも、東京で打ち合わせは全部リモート。

正直、「え、ヤラセとかないんだ?自分でレシピ考えるんだ?」って思ってしまいました。


そこで、夫に相談してみると……

…………………………………………。


…………………………………………。

私は決意しました。降ってきたチャンスは、また降ってくるとは限らない。チャンスは降ってきたときに、全力で掴まないと2度とないかもしれない…!

私は、他の仕事をセーブして、独学で料理の研究をはじめました。調味料から料理グッズまで、自腹で買って試すこともありました。

育児と仕事をしながら、睡眠を削り、家事は今まで以上にサボり、執筆に取り組みました。​

ーその生活を半年続けた頃ー


初めての本作りの修羅場を乗り越えて、料理の育児エッセイ漫画を書き上げることができました…!

出版される日、本屋で自分の本を見つけた時は、「嬉しさ」、「感動」、「修羅場を乗り越えてきた思い出」いろんな感情が溢れて、ごっちゃになって…​


拝みました。



そして、出版後、初めてライターのTさんと会う機会がありました。

ライターのTさんは東京在住で、私は大阪在住。
執筆中はずっとメールと電話だけでやりとりをしていました。

仕事が落ち着いたTさんは、この日、地元の大阪に帰省していました。

半年間、執筆を共にした私たちは、初めて会う感覚はなく、とても盛り上がりました。そして、ふと気になっていたことを、ライターのTさんに聞いてみました。

ランキングの上位にもいない、 SNSのフォロワーも少ない、しがないイラストレーターの私に…。

!!?



ライターTさんは、インフルエンサーじゃなくても書籍の依頼をした「3つの理由」について話してくれました。

本の世界観と、イラストレーターのタッチが合ってるか。これは、言うまでもなく大事なポイントだと思います。私のコメディタッチで、オシャレな料理本の漫画は一生描けません。


なるほど…!確かにブログやSNSで発信をしていたけど、それ以上に、出版など名前が掲載されて信頼性がわかりやすい仕事をメインで活動していました。その仕事の活動も、ブログやホームページに掲載していました。フリーランスは得体知れないからね…。


これは二番目の理由に近いものがあると思います。エッセイ漫画や、絵日記などは、作家の人柄が伝わりやすい。だけど……私の人柄は至って普通…いや、むしろズボラな人間です。

なんてこっちゃー!
でも、これが結構あるあるみたいです。普通の仕事を、普通に(それ以上に)やり遂げること、大前提ですね。

それは………

私が元、ブラックデザイン会社のデザイナーだったかもしれない…!
クライアント側の気持ちがとてもわかるから…。

デザイナーだけでなく、フリーランスになってからも、仕事がなく、出版社でアルバイトをしていたこともありました。バイトをするなら、イラストに関わりのある仕事をしようと決めていました。

なので、常にクライアント側が、「どうして欲しいか?」を考えることができました。

私が、人気がなくても、書籍の依頼をしてもらえたのは…

ブログの発信だけじゃなくて、目の前にある仕事を全力で取り組んでいたことが信頼に繋がっていたのです。

仕事の依頼が来る理由は、簡単に「コレだ!」と、言い切れるものはないのかもしれない。
ブログ、SNS、人との繋がり、一つ一つの仕事の成果が積み重なったもの。



自分の行動の積み重ねが、「信頼」に繋がるんだ…。


「自分自身」の性格や、属性も強みになることがあるので、自己分析は大事です。

私は、この「ズボラな料理エッセイ漫画」の出版をキッカケに、「ズボラ」という肩書きを手に入れ、その後も、ズボラ系の漫画やイラストの仕事が増えました。

それは、妊娠中に、仕事が全部なくなってしまった私にとって、とても嬉しいことでした。





フリーランスは、働くほどに収入を得ることができます。

それが、好きな仕事であればあるほど。

うまくいくまでの時間が長いほど。

私は、周りが見えなくなるくらい、働くことに夢中になっていました。


つづく

読んでくれてありがとうございます!今のカワグチです!

今回は、初めてのエッセイ漫画を出版した時のお話でした。 私がエッセイ漫画の実績もなく、インフルエンサーでもないのに、出版できたのは、「3つの理由」それに加えて「運」もあると思います。

やっぱり、発信と実績を公開して待ってるだけでは、なかなか自分の本を出版することは難しいと思います。

「ほんなら、ブログ描くのも意味ないやんか〜!」となりそうですが、 運も関係あるから、ブログやSNSを発信することが、必ずしも、出版に繋がるかはわからないと言うことをお伝えしたいと思いました。

私は、ブログに連載していた漫画を、ある程度、溜めたら、出版社に営業をしようと思っていました。

ブログそのものが、出版に繋がるかの確実性はありませんが、ブログに作品を更新することで、ポートフォリオにすることはできます。 「こういう活動をしています」と言う、発信にもなり、取引先のクライアントにもお伝えすることができます。

私は、ブログで更新した記事を、Facebookで繋がっている取引先の人たちにもシェアしています。

そして何より、ブログを続けてこれたのは、「自分のため」だったからです。 「楽しいから」「練習になるから」「思い出になるから」「ポートフォリオになるから」…。

「誰かのために」「数字のために」「出版のために」だけを目指してしまうと、「確実」ではないことを期待してしまって、辛くなっちゃうかも知れません。私はそのタイプです。
でも、自分の「楽しい」と言う気持ちは「確実」ですからね。

まあ、でも、これだけ頑張ったエッセイ漫画は、全然売れなくて、今や絶版! ZEPPAAAAAN!!!

したはずなのに、あれ?今見たら、本も販売されてました。めっちゃ配送時間かかるけど。ほんで、中古やっす〜! KindleのKindle Unlimited 会員の方は無料で読めるので、優しい人は読んでみてください。

新米かーちゃんが「テケトー料理」をはじめたら、どエライことになりました。(主婦の友社)

当時は、本当に吐くほど本気で描いたエッセイ漫画ですけど、今見ると、「画力が〜」「コマ割が〜」未熟で恥ずかしくなっちゃう。でも、昔の私が本気で頑張った事実は変わらないので、仕方ないと思えるんですよね。

「子育てしながらフリーランス」も、全力全開で書いたけど、数年後に見たら、恥ずかしくなったりするのかな?
それはそれで、自分が成長した証でもあるのでいいかもしれない。具体的に仕事に繋がるまでの話はこの本に書いたので、よかったら読んでみてね。

フリーランスのお仕事は、続けることが大事だと日々思います。土を耕して、種を埋めて、水をやって、育てて、花になる。

何か新しいことを始める準備をする(土を耕して)、いざ始めてみる(種を埋める)、コツコツと続ける(水をやり続ける)、信頼が重なって形になる(花になる)。

フリーランスの働き方って、植物を育てるのと似てると思います。 営業やブログで、芽がでだしたのも、半年経った頃からでした。 「肥料」を使うとか、アイテムは色々とあると思うんですけど、「3日で咲かせる花の育て方」なんて言うのは、ありえないですよね。あったら怪しいです。 めんどくさいけど、続けることしかないんだろうなぁって思います。

あと、水をやりすぎると(働きすぎると)、枯れたりするので(疲れたり倒れたり)、気をつけてね!

では、またね〜!


⭐️『子育てしながらフリーランス』左右社
子育てしながらフリーランスで「いい感じ」で働くまでの赤裸々エッセイとフリーランスハウツーを詰め込んだ一冊。いい感じで働きたい人に届け〜!

⭐️『みんなの自己肯定感を高める 子育て言い換え事典』KADOKAWA
育児本だけど夫婦関係や仕事でも使える自己肯定感を高める子育て言い換え事典

⭐️『カワグチラジオ』Twitter
毎週Twitterスペースで、フリーランスやクリエイターの方と対談してます。
子育てフリーランスや日常のツイートもしています。気軽に絡んでね。

⭐️『いい感じで働きたいラジオ』voicy
子育てをしながらフリーランスでいい感じで働くための情報や経験を発信。


この記事が参加している募集

#育児日記

48,362件

サポートしていただいた売り上げは、新しく面白い漫画を描くための活動資金とさせていただきます。いつも漫画や記事を読んでいただき、本当にありがとうございます!