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うさんくさい「啓発」の言葉~人”財”って誰のことですか?/神戸郁人(2024/04/12)【本要約・ガイド】

スピリチュアル系の人々や自己啓発本の著者、企業や国によって生み出された言葉には、「人財」「メイト」「人罪」「人在」「高度プロフェッショナル制度」などがある。これらの言葉は一見、新しい革新的な概念を示しているように見えるが、実際には労働者に虚偽の希望を抱かせ、社会が真に変革したかのように錯覚させるための空虚な言葉に過ぎない。

例えば、「人財」という言葉は、企業が従業員を単なる経営資源として見なし、使い潰しても良い存在と捉えさせる危険性がある。人間を財産や資源と呼ぶことで、企業にとっての利用価値のみを強調し、労働者個々の人間性や権利を軽視する可能性がある。また、「メイト」という言葉は、上下関係を曖昧にし、従業員を支配下に置きやすくするための言葉として使われている。

国家の例も見てみよう。「人罪」という言葉は、人々の罪を軽く表現することで、管理社会への恐怖心を和らげる狙いがある。さらに「高度プロフェッショナル制度」は、実際には長時間労働を美化し、労働者に過剰な負担を強いる制度に他ならない。

こうした"啓発"を謳う言葉は、私たちが気づかぬうちに虚構の世界に引き込まれる危険性を孕んでいる。Twitter(X)などのソーシャルメディアプラットフォームでも、こうした言葉が頻繁に飛び交い、言葉遊びのように見えながらも現実の認識を曇らせる要因となっている。

このように、"啓発"の言葉は様々な場面で用いられているが、その実態は空虚なものであり、我々はその影響を受けないよう注意が必要だ。


世の中にあふれる「人材→人財」「企業→輝業」「最高→最幸」などの言い換え語。ポジティブな響きを伴いつつ、働き手を過酷な競争へと駆り立てる“カンフル剤”の役割を果たし、職場で用いられることも少なくない。
一定の効用はあるとしても、乱用は禁物。それは時に、ブラック労働や政治的プロパガンダにつながることも……。「言葉遊び」を超えて、問題の本質を覆い隠し、搾取にもつながる“啓発”の言葉は、なぜ社会に根強く残るのか――。堤未果、本田由紀、辻田真佐憲、今野晴貴、三木那由他、飯間浩明、赤木智弘の各氏が徹底分析。ジャーナリズム・社会学・教育学・歴史学などの観点から、「やっている感」の裏側にある罠に迫る。
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【第一章】「人材」じゃなくて「人財」?――働き手を選り分ける言葉の起源
【第二章】「頑張る」が「顔晴る」に――現代人をむしばむ〝努力至上主義〞 
【第三章】仕事を「志事」と呼ぶ理由は?――働く厳しさマヒさせる〝言葉の麻薬〞
【第四章】「企業」から「輝業」へ――平成期の〝成功神話ブーム〞 
【第五章】「最高」を「最幸」と書く心理――行政も用いる〝お仕着せの感動〞 
【第六章】「人財」はうさんくさい?――飯間浩明さんが語る意外な見解 
【第七章】職場を覆う「搾取ワード」――今野晴貴さんが分析する企業の狡知 
【第八章】「総動員」のための〝物語〞-辻田真佐憲さんが説く言葉の怖さ 
【第九章】互いに求めすぎる企業と労働者――赤木智弘さんが解く「人財」流行の謎 
【第十章】〝リスキリング〞首相発言への疑問――「心に手を突っ込まれる」気味悪さ
【第十一章】権力者がうたう「利便性」の罠――堤未果さんが見抜く〝煽り〞の罪
【第十二章】「コミュ力」と大人の支配欲――本田由紀さんが斬る「望ましい人間性」
【第十三章】「社員は宝と言うけど…」――三木那由他さんが思う造語の危うさと希望

序)まずは、自己啓発書は胡散くさい!と思っていらっしゃるYouTuberさんのご感想からどうぞ

動画内容要約

自己啓発書とは?
まず、自己啓発書という言葉を理解することから始めましょう。自己啓発とは、自分自身の能力を高め、成功を収め、充実した人生を送るために努力することを指します。つまり、自己啓発書とは、そのための指南書です。
自己啓発書のイメージ
正直なところ、私(文学YouTuberベルさん)は自己啓発書に対して胡散臭いというイメージを持っています。見えないものにアプローチしている感じがして、不安感があるのです。しかし、具体的な取り組みが必要であり、多くの自己啓発書はその方法を詳しく説明しています。
自己啓発書の具体例
例えば、デール・カーネギーの『人を動かす』は、世界的に有名な自己啓発書です。この本は、人を動かすための方法を具体的に示しています。他にも、『嫌われる勇気』や堀江貴文の『ゼロ』など、様々な自己啓発書があります。
自己啓発書のメリットとデメリット
自己啓発書には、やる気を高めたり、自分の理想を整理したりする効果があります。しかし、理論的な裏付けが弱い場合があり、著者の経験則に基づいていることが多いです。そのため、内容を鵜呑みにするのではなく、選別することが重要です。
自己啓発書を読む際の注意点
自己啓発書を読む際には、以下の点に注意しています

  1. 多くの人が読んでいる本を選ぶ

  2. 連続して2冊以上読まない

  3. 内容を話半分に聞く


「人材」の表現に違和感 高校生の投稿きっかけに考える 人は「材」か「財」か 来月、国語辞典に「人財」初収録

2021年11月14日 06時00分 東京新聞ネット記事より

記事要約

「人材」と「人財」の表現に対する考察
2021年12月、三省堂国語辞典が2013年以来、8年ぶりに全面改訂され、「人財」という新しい言葉が初めて収録されました。「人財」は、「人材」の「材」を財産の「財」に置き換えた造語で、最近では求人サイトや企業トップのメッセージなどでよく見かけるようになっています。なぜ今、「人財」という言葉が注目されているのでしょうか。その背景を探ります。
高校生の投稿がきっかけ
2021年9月17日、本紙「若者の声」欄に東京都江戸川区の高校2年生、米川純平さん(16歳)が投稿しました。彼は進路を考える中で「人材」という言葉に触れることが増え、「働く人をモノ扱いするような冷たさを感じた」と述べました。この投稿に対し、多くの賛同の声が寄せられました。

https://www.tokyo-np.co.jp/article_photo/list?article_id=142661&pid=516814

「人材」とは何か
三省堂国語辞典(第7版)によれば、「人材」とは「はたらきのある、役にたつ人物」と定義されています。同辞典編集委員の飯間浩明さんは、「逸材」や「適材」の例を挙げ、「『材』は才能の意味であり、悪い意味はない」と解説しています。
「人財」の意識
「人を大切にする経営学会」の坂本光司会長は、「高校生の意見は当然の感覚」と述べています。彼は「働く人をコストと位置付ける企業の考え方の表れ」とし、「働く人をかけがえのない財産と考える『人財』の意識がもっと広がるべきだ」と説いています。
企業の取り組み
SOMPOひまわり生命保険(東京)は2016年、「人事総務部」と「能力開発部」を統合し「人財開発部」と命名しました。邨上英彰部長は「社員1人1人の成長が会社のパワーであり、社員を大切に考えているという会社の思いを込めた」と説明しています。トヨタ自動車もトップコメントなどで「人財」という表現を使用しており、人事部人材育成室の笹山義之室長は「全社員の可能性を信じ、1人1人の思いを尊重することを企業理念に掲げている」と述べています。
字面ではなく実態が重要
三省堂国語辞典編集委員の飯間さんは2012年に初めて「人財」という言葉を見たとき、「なかなか良いな」と感じたと言います。今回の辞典改訂で、「『財産である人』の意味で『人財』とも」という記述を追加しました。しかし、若者の雇用問題に取り組むNPO法人「POSSE」の今野晴貴代表は、「今はコスト削減のためにいつ切り捨てられるかわからず、人材になるのが怖い時代」と指摘しています。彼は、「使いつぶしの経済から脱却できない限り、どんな言葉を使おうが、若者が生きづらさを感じる状況は変わらないのでは」と述べています。
高校生の思い
最後に、米川さんは「役に立つか否かで人間をとらえることに違和感を感じていた。人は無条件に価値がある存在だと、自分は思う」と語りました。
このように、「人材」と「人財」という言葉には、それぞれ異なるニュアンスと背景があります。言葉の選び方が、どのように人々の感じ方や企業の姿勢を反映するのか、今後も注目されることでしょう。


人材・人在・人財・塵財・人罪・人剤

昨今の企業は「人財」という言葉を頻繁に使うようになった。
つまり、企業に雇われているだけでなく、自分自身でスキルを高められる人材のことを指す。これは従来の企業が人材育成を主導してきたのとは異なり、個人の主体性や自立心を重視する考え方の現れだろう。しかし、企業側に立つと「人財」をさまざまな視点から評価することになる。
「人罪」と呼ばれるのは、やる氣のない社員で会社の足を引っ張るタイプである。「人在」は目立った業績もなく、ただ居るだけの社員のことを言う。対して「人剤」は、まわりを活性化させる役割を担う良い社員を指す言い方だ。
このように、人材を表す言葉は様々あり、そこには企業と個人の関係性が反映されている。新しい言葉が生まれると、一旦立ち止まってその意味を問い直す必要がある。なぜなら、そうした言葉には政治的な含みがあり、人々の生活に影響を与えかねないからだ。言葉には時代の価値観が宿っており、言葉を理解することは社会を理解することに他ならない。企業と個人の関係を言葉から読み解くことが重要なのではないだろうか。

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