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Go To トラベルの第三者機関について、分かってきたこと

Go To キャンペーン、いろいろと物議を呼んでいますね。
観光連盟職員の立場から言えば、今、観光事業者の方々は本当に本当に厳しい状況にあるので、なんとか進めていってほしいと願っています。

もちろん、受け入れる事業者の方々がコロナ対策をしっかりと行うことが大前提ですし、旅行に来ていただける皆さんそれぞれが「新しい旅のエチケット」を守っていただくことで、感染予防と観光は両立できると信じています。

一方、職場における Go To トラベルキャンペーンの話題の中心は、「第三者機関」のこと。
宿泊施設が、旅行会社やOTAを通さずに Go To トラベルの割引販売をする際は、「第三者機関」と契約する必要があるのですが、「第三者機関とは・・観光協会、DMO、温泉組合、システム会社等」と資料に書かれています。

ただ、当事者である観光協会やDMOには、なんにも連絡や情報がきてないんですね。
そんなことには関係なく、会員さんの宿泊施設からは「第三者機関になってくれるの?」という問い合わせがきて、当連盟をはじめ、県内の観光協会では大騒ぎ。

今日(8月4日)、事務局によるWeb説明会が開催され、ようやく第三者機関について分かってきたので、情報をシェアさせてもらいますね。

【!ご注意!】
このnoteに記載している内容は、あくまで個人的な理解に基づくものであり、間違った情報が記載されている可能性があります。
不明な点については、必ず Go To トラベル事務局にお問い合わせいただきますよう、よろしくお願いします。

そもそも、第三者機関とは

Go To トラベル事業において、宿泊施設が割引対象となるには、事務局に対して事業者登録をする必要があります。
登録には、宿泊施設の意向や状況によって、次の図のとおりいくつかのパターンに分かれます。

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まず、「旅行者からの直接予約を給付対象にしたい」かどうか、によって大きく登録パターンが変わります。
直接予約は給付対象とせず、旅行会社・OTAからの予約だけを給付対象とする場合は、「パターンA」として登録することになります。

直接予約を給付対象としたい場合は、「第三者機関」と契約をすることが条件となっており、そのうえで、第三者機関に給付管理を任せるかどうかで「パターンB」か「パターンC」に分かれます

つまり、宿泊施設が第三者機関と契約しければ、お客様から直接受けた予約を割引対象にできない、ということです。

一般的には、旅行会社やOTA経由での予約は手数料が発生するため、直接予約も対象にしたい、という宿泊施設が大半かと思います。
(ちなみに、宿泊施設がパターンBとして登録した場合、旅行会社やOTA経由での予約も割引対象となります。)

また、旅行会社やOTAと取引のない民宿のような施設であれば、必然的にパターンBかパターンCとなるので、第三者機関との契約が必須となります。

第三者機関の役割

「第三者機関」について、Go To トラベル事業 Q&A 集11Pには、次のとおり説明がされています。

Q55 観光庁の HP や事業者向け取扱要領に記載されている「第三者機関」は何を指しているのでしょうか

A 宿泊事業者が直接受けた予約記録を宿泊施設の外部で管理できるシステムや団体を指し、当該記録を宿泊の事実を裏付けるものとして事務局に提出できる機関のことです。
例えば、予約システム事業者、直販支援ポータルサイト、観光協会、DMO、温泉組合等がこれにあたります。

これを読む限りでは、「予約記録」を「管理」して、事務局に「提出」することが第三者機関の役割のようです。

ポイントは、「当該記録を宿泊の事実を裏付けるもの」という部分ですね。
システムを使わない限り、事実を裏付けることは難しいのでは?というのが正直な感想です。

第三者機関が行うこと

今日のWeb説明会で投影された資料では、第三者機関が行うことは次のとおりとなっています。

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1.給付枠管理
・給付枠(割引の原資となる給付金の総額)の申請に際し、取り扱う宿泊施設全ての前年実績、販売計画を合計して、正確な情報で登録を行うこと。
・事務局より給付された給付枠は、枠の範囲内で正確に運用すること。
・要領(4)の記載内容に従い、毎月の実績報告を行うこと。
・事務局からの入金があるまで、割引額の立替を行うこと。

2.月次報告
・様式17号の1を宿泊施設とは別に事務局に報告すること。

3.書類の保管
・本事業に関する帳簿及び証拠書類を整備して、給付金の給付を受けた年度の翌年度から5年間保管すること。

第三者機関には、「パターンB」と「パターンC」の2種類があり、「パターンC」の場合は「給付枠管理」をする必要があります。

給付枠管理の仕事の中には「事務局からの入金があるまで、割引額の立替を行うこと」が含まれており、観光協会では実務的に難しいことから、観光協会が第三者機関となる場合は「パターンB」になると思われます。

パターンBの場合、やることは「月次報告」と「書類の保管」となります。
月次報告の内容については、今日の説明会では「現在、最終調整中」ということで確定していないとのこと。

第三者機関の要件

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〇承認されるためには第三者機関は以下のすべての項目を満たす必要がある

・当該宿泊施設の外部で適正に予約・実績記録の管理をしていること。

・外部で管理している予約・実績記録を宿泊施設が任意に変更することができないこと。

・宿泊施設が給付金申請を行うにあたり、宿泊施設に対して個々の予約ごとに「チェックイン・チェックアウト日」「泊数」「人数」「支払額」の記録を提供できること。
なお、第三者自身が給付金管理を行う場合は「割引前代金」「割引額」の記録を提出できること。

・事務局の求めに応じて、宿泊施設の予約・実績に係る上記の記録を提出できること。

・事務局が派遣する監査機関の指示に、いかなる場合も応じることができる。

・Go To トラベル事業に関する帳簿及び証拠書類を整備し、当該事業実施年度の翌年度から5年間保管しておくことができる。

行政用語なので仕方ないとはいえ、やむなく第三者機関になる観光協会に対して、この上から目線の書き方は何とかならないものでしょうか(笑)

某観光協会の方は、「こんなん、ほんとはGo Toの事務局がやるべき仕事やろ!事務局からお金がもらえるわけでもないのに、なんでこっちが人手を割いてまでやらなあかんのやろ。」とボヤいてましたが、その気持ち、よく分かります。。。

なお、ここでのポイントは、提供する記録の内容ですね。
「チェックイン・チェックアウト日」「泊数」「人数」「支払額」という4項目が示されていますが、この中に個人情報は含まれていません。

Web説明会の質疑の中で、

Q:帳簿を提出することになっているが、どのような帳簿か?
A:予約情報ということ。現状決まっている項目は、予約者(代表者名)、チェックイン・アウト日、予約者の居住都道府県、予約総額、割引の表示、支払いの金額、人数、泊数。
最終調整中なので、若干変更になる可能性あり。

というやり取りがあったので、「代表者名」という個人情報も扱うことになるのか?と思ったのですが、おそらく、ご質問されたのは宿泊施設さんだったのだと思います。
念のため、事務局には「第三者機関が取り扱う項目に個人情報が含まれるのかどうか」を問い合わせており、後日、回答をいただくこととなってます。

第三者機関としての責任の範囲

個人的に、一番気になっているのは「第三者機関として、責任を取らされることが何かあるのか?」という点です。

建前はさておき、実態として観光協会が第三者機関となる場合は、
「宿泊施設から提供を受けた予約情報を、そのまま事務局に提出するだけ」
とならざるを得ません。
なので、万が一、宿泊施設さんが不正を働いた場合、それをチェックするのは難しいところです。

とはいえ、万が一の事態が起こった場合、第三者機関として何らかの責任を取らされる可能性もあるのでは?と思い、事務局に問い合わせてみました。

そうしたところ、事務局からは、
「万が一、宿泊施設が不正を働いた場合、第三者機関に対して予約記録の提出を依頼することはあるが、第三者機関自らがその不正に加担していない限り、その責任を負う必要はない。」
との正式回答をいただきました。

もともと、給付枠が配分された範囲で給付申請を行うことになるので、不正するインセンティブは働きにくい仕組みではありますが、上記の回答を聞いて、少し安心したところです。

観光協会が第三者機関になる場合の留意点

すでに事業者登録をされた宿泊施設さんに伺うと、第三者機関として一番目に登録されていた株式会社ピアトゥーが提供する「STAYNAVI(ステイナビ)」を利用されているところが多いようです。

【⽇本初】Go To トラベル対応の直販予約特化型サイト STAYNAVI を提供
https://www.peerto.jp/pdf/2020072502.pdf

なおステイナビを利用する場合、「委託管理料」として販売額の「1. 5%」を支払う必要が生じます。

今後、観光協会が第三者機関として登録していった場合、「第三者機関の乗り換え」が発生する可能性は高いと思われます。
宿泊施設としては、ステイナビを提供するピアトゥーを第三者機関として登録したものの、地元の観光協会が手数料なしで第三者機関としての役割を担ってくれるなら、第三者機関を変更したくなりますよね。

※第三者機関の変更は可能です。また、第三者機関を複数指定することはできません。

現段階で、第三者機関としての仕事量は読めないところですが、契約する宿泊施設さんの数が増えれば増えるほど、事務量も増えてくるため、そのあたりは注意する必要があるのかな、と思います。

また、会員サービスの一環ということで、第三者機関になるパターンもあるかと思いますが、会員ではない地域の宿泊施設さんから依頼があった場合にどうするか、といったことを整理しておく必要もあると思われます。

Web説明会の概要メモ

なお、本日のWeb説明会の概要メモを作成して、観光連盟の会員さん向けメルマガですぐに配信したところ、観光協会の方から「こういう情報が欲しかったんです!」と言っていただいたので、このnoteにも参考までに添付しておきますね。
(あくまで自分のメモであり、誤った情報が入ってる可能性もありますので、ご注意ください。)

このnoteについては、随時更新していければと思っていますが、もし、事務局等から入手した情報などあれば、コメントに入れてもらえると嬉しいです。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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