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ねむり姫と勇気のネコ


むかしむかし、きみたちの知らない世界のお話し。

あるところに、一人の女の子がおりました。
女の子は、いつも独りぼっち、お友達がおりません。何をするにも何を見るにも楽しさを感じず、お友達に話しかける勇気さえもでません。いつも独りで部屋に閉じこもり、出てきませんでした。

女の子は一日の半分以上を、ベッドで寝てすごし、一度眠ったらなかなか起きず、毎日毎日、ベッドで寝てばかり、食事の時に起きるだけ。
その様子に、お父さんとお母さんは、

お父さん『どうしたことか。』
お母さん『どうしたらいいのかしら。』

と、不安でしかたありません。
そして、女の子は、

女の子『もう何もしたくない、何もかも嫌だな、このまま、眠ったままなら。』

と、毎日のように思っておりました。
ある時、心配でたまらない、お母さんお父さんは、どこか悪いのか?と無理やり、お医者さんへ女の子を連れていきましたが、どこにも悪い所は見つかりませんでした。そして、ある日、女の子は、食事の時間になっても起きてはきませんでした。

女の子は、

女の子『やっと、ずっと寝ていられるのね、これでやっと朝を迎えなくていいのね。』

と、その時、トントントンと、窓を叩く音が、

女の子『やめて、うるさい、私はずっと寝ていたいの。』

しかし、窓を叩く音は止まりません。
トントントン、トントントン、とはげしくなるばかり。

女の子『もう…やめて!』

と飛び起き、窓の方を見ると!突然、まどがガラガラッと開き、
 
『ち〜っす!』

と、一匹の猫が入ってきました。
しかし、その猫、胸に星型の模様、良く見ると背中に天使のような羽が生え、二本の、足で立っているじゃ〜、あ〜りませんかっ!!

女の子『えっ!な、なに!?』

ネコ『えっ!な、なに!?じゃねーよ!オレ様はなー、ブレイブーてんだ!ヨロシクな!!』

女の子『ブレイブー?て、ネコが喋って、胸に星!二本足で立ってて、しかも、天使の羽ーーー!!!』

ブレイブー『うるさいなー!静かにしやがれ!』

女の子『え、夢よね、これは、夢なの。私、寝てたもん。』

ブレイブー『さあな、どっちにいるのやら。それより、まだお前さんの名前聞いてないぜ。』

女の子『え、私は、、、。夢だ、きっともう一度眠れば、元通りに。』

ブレイブー『ならねーよ、今、お前に見えているもんが本物だからな、おまえがそう望んだんだろ?』

女の子『私が望んだの?私がコレを。』

ブレイブー『そうさ、さ、名前を教えてくれ、仲良くなろうぜ、お嬢ちゃん。』

女の子『、、、わ、私は、アイリス。』

ブレイブー『へー、きれいな名前じゃねーか。』

アイリス『あなたは、何なの?ここはいったい。』

ブレイブー『ここは、お前にしか分からない世界だ、お前が分からないならだ〜れもわかりゃしない。』

アイリス『わからない、わからないの、私はどうしてここに居るのか、何が楽しいのか、分からないのよ。』

ブレイブー『へっ、大層なお悩みだこった!オレ様レベルになればなー、悩みなんてないからなー。ハッハッハッハー!』

アイリス『そんな事あるわけないじゃない。』

ブレイブー『どつきまわすぞ!』
アイリス『ごめんなさい。』

ブレイブー『アイちゃんさー、もっと楽しめや、オレ様が、女のコをどつきまわす訳ないだろ?ジョ〜クよ、ジョ〜ク!』

アイリス『アイちゃん?』
ブレイブー『そう、アイちゃん、ベリーキュート!』

と、言われてアイリスは、何故かドキドキしました。

アイちゃん『じゃー、あなたは、ブーちゃ、』
ブレイブー『それだけはやめろ!』

アイちゃん『え、なんで?カワイイのに。』
ブーちゃん『なんか、ダッサい。ブーちゃんは、センスないわ〜。』

アイちゃん『ねー、ブーちゃん、あなたはなんでそんなに楽しそうなの?』

ブーちゃん『だから、ブーちゃんやめろっ!オレ様にはな、大切な夢がある! 』

アイちゃん『夢。』

ブーちゃん『それは、この立派な羽で世界中を、飛び回り、世界中のカワイコちゃん達と友達になることだ!』

アイちゃん『ないない、』
ブーちゃん『どつきまわすぞ!』

アイちゃん『ごめんなさい。』
ブーちゃん『はー、次あやまったら、オナラ止まらなくなる魔法かける。』

アイちゃん『え、やだ、絶対イヤ!』
ブーちゃん『なら、笑え』

アイちゃん『え、何も楽しくないのにどうして笑えるの?』

ブーちゃん『オナラをこいて、さようオナラ!』『布団がフッとんだー』『カレーはかれー』『ドカンがどかーんと!』『象がケガをしたぞイタイゾウ』

と、ちらちら、アイリスを見ながら、ブレイブーは、次から次へとつまらないダジャレを繰り出しました。

アイちゃん『さよおなら、フットンダー?どかーん、イタイゾー、、、ふ、フフフ、アハハハハ。』

と、なんと!アイリスはそのつまらないダジャレで笑ってしまいました。

ブーちゃん『ハァハァハァハァ、やったぜ
オレ様の全力のダジャレ攻撃!』

アイちゃん『だって、なんかつまらなすぎて、つまらなすぎて、でも一生懸命なブーちゃんが面白くて。』

ブーちゃん『え、なんか、オレ様ディスられてる?ま、いっか。へ、アイちゃんさー、かわいい笑顔できるじゃねーか。』

アイリスは顔が真っ赤になりました、

アイちゃん『わ、わたしこんな気分何時ぶりだろう?私気づいたら全ての事が楽しくなくなっていたの。』

ブーちゃんは、黙ってアイリスの話を聞きました。

アイちゃん『わたしは、何故か毎日が悲しかった、お友達もいないし、楽しい事も好きなこともない、夢もなくて、真っ暗だったの、だから、何も考えたくなくて、逃げたくて逃げたくて、ずっと眠って、ずっと夢の中なら良いのにって、』

ブーちゃん『アイちゃんさ〜、焦りなさんな、そして、笑いな!泣きな!怒りな!喜びな!アイちゃんの世界は、アイちゃんが主役さ、何だってできるし、何にだってなれる。』

アイちゃん『何だってできるし、、何にだってなれる』

ブーちゃん『そうだ!アイちゃんが主役だ。楽しいぞー!友達も沢山できるぞー。そしたら、もっともっと楽しくなれる!』

アイちゃん『だけど怖いよ、怖くて、きっとまた、わたし逃げちゃうよ。』

ぶーちゃん『ヘイ、ベイビ〜!逃げてもいいんだぜ♪、、、お前がほんとに、そうしたいなら。』

と、ぶーちゃんは、大きな瞳を真剣に輝かせました。

アイちゃん『え?』

ぶーちゃんは黙っています。

アイちゃん『わ、わたし、わたしは、もっと楽しみたい、けど、お友達に話しかける勇気が、ない、無視されたらどうしよ?』

ぶーちゃん『アイちゃん、手をグーにして、出してみ。』

アイちゃん『手をグー?』

と、アイちゃんの差し出した手を、ぶーちゃんが優しくグータッチをしました。暫くの間、そのままでいました。すると、

アイちゃん『なんか、ホッとする。』

アイちゃんは、気付いたら泣いていました。

アイちゃん『なんでだろ、涙が勝手に、流れるよー。』

ぶーちゃん『それでいい、オレ様は、アイちゃんの温かさ、心の熱を感じた、そしてアイちゃんはオレ様の事を感じてくれた、きっと友達だって感じてくれる。』

アイちゃん『わたしって、温かいの?』

ぶーちゃん『あー、温かいぜ、オレ様のハートが溶けちゃうぐらいに、アッチチだぜ!』

アイちゃん『お友達も、アッチチかな?』

ぶーちゃん『そうさ!友達もアッチチだぞ!』

アイちゃん『そうなったら、楽しいなー。』

ぶーちゃん『なるさ、なるなる!』

アイちゃん『わたしっ、そうなるようにがんばる。』

ぶーちゃん『チッチッチッ、愛しのマイプリンセス〜、がんばらなくてもいい。アイちゃんの、そのままのアイちゃんでいな。』

アイちゃん『そのまま?けど、そのままだと、また眠っちゃう。』

ぶーちゃん『アイちゃん見てみ!』

と、ぶーちゃんはどこからともなく、鏡をだしアイちゃんに鏡を向けました。

アイちゃん『これ、わたしっ?笑ってる、笑ってるよ、ぶーちゃん!わたし、楽しそう!』

ぶーちゃん『あー、楽しいぜ、楽しもうぜ!』

アイちゃん『私は、楽しみたい、もっともっと今を!』

ぶーちゃん『そうさ、そのいきさ!さあ、どうする!アイちゃん、、、どうする?アイリス』

アイちゃん『わたし、私は、アイリス。私は、私の世界を生きる。』

ぶーちゃん『へへへ、よーし!もう大丈夫だな、アイちゃん。』

アイちゃん『わたし、起きなきゃ、お母さんやお父さんに会いたい、会って沢山お話ししたい、それからお友達にも!』

ぶーちゃん『慌てなさんな、アイちゃん、素敵な、時間だったぜ、ありがとな』

と、ブレイブーが、パチンっと、指を鳴らすと!

アイリス『う、うーん、フトンがフトンだー!!』

と、ダジャレを言い目覚めると、

父、母『アイリス!!』

アイリス『お父さん、お母さん!ここは、私の世界、あれ?ブレイブーは?』

お父さん『ブレイブー?誰の事だい?大丈夫かい?』

アイリス『星の模様のあって、羽のはえた、喋る二本足で立つねこ。』

お母さん『すぐにお医者様に!あなたはずっと寝ていて、食事の時間になっても起きなかったの。それで心配になって、良かった、起きてくれて』

アイリス『夢だったのかな?ドカンがドカーン!オナラをこいて、さよおオナラ!アハハハハ!』

お父さんとお母さんは、顔を見合わせ、ダジャレを言いながらお腹を抱えて笑う娘の楽しそうな顔を見て、嬉しくて嬉しくて、一緒に沢山笑いました。

そして、ダジャレのセンスには触れないでおきました。

ブーちゃん『へ、全く、みんなして、素敵な、笑顔じゃねーか!ま、まだまだダジャレのセンスはないけどな!(笑)』

そして、アイリスは手をグーにし、お父さんとお母さんに差し出すと、

アイリス『二人とも、手をグーにして。』

二人が手をグーにすると、アイリスは、二人の手にグータッチをしました。するとお父さんとお母さんは、泣きながら、

父母『ありがとう、アイリス』

と、
もう一度、アイリスをハグしました。

ぶーちゃん『届いたじゃねーか!全く、泣かしてくれるじゃねーか、全オレ様が泣いたぜ!あばよ!』

と、アイリスが、窓を見ると、白い羽が一枚ひらひらと舞っていました。

アイリスは、夢の中の出来事、ブーちゃんの事、これからの事を、沢山沢山、話しました。

それから、アイリスは、沢山の、友達もでき、笑って泣いて怒り喜び、今を精一杯に過ごす事ができました。

アイリス『わたしは、わたしの世界を生きている。』

お〜しまい。

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