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面接中の色々なトラブル

お盆ですね。
今日のトピックはお盆とは全く関係の無い内容で、そして軽めに。


私はこれまで面接官として2,000~3,000名くらいの面接をしてきました。
そのほとんどは、企業人事として。最近は業務委託で企業人事の代理となって。

たくさん面接をしていると、様々なトラブルに遭遇することがあります。
最近のトラブルで一番多いのは、ZoomやTeamsなどオンライン面接時に、画面や音声が途切れてしまうというオンラインならではの接続エラー的なもの。

こういったトラブルは、候補者側もある程度慣れてきているのか、フリーズ→退出→再入室という流れで、数分のラグを経て無事に再開するということがほとんどで、面接自体に対した影響もないし、もちろん評価を左右することもほとんどない。まぁ、Tech系のポジションの面接をしている時に、候補者が中々復帰してこなかったときは、少しだけ心配になったことはあるけれど。


そういったオンライン面接のトラブルではなく、アナログな対面の面接時に私が直面したトラブルをいくつかご紹介してみます。少し古い話が多いのですが、そろそろ時効かな、、、ということで箸休め的にどうぞ。


①睡魔との戦い

かれこれ15年くらい前の話だろうか。
私がまだ面接官になりたての頃、ちょっと尋常じゃないボリュームの面接をしていた時期がある。
どれくらいのボリュームだったかというと、1日に8人×6日/週×2ヵ月。

単日でいうと、大きなキャリアフォーラムとかで1日に10数名との面接とかっていう規模を経験されている方もいるので、1日に8名というのはさほどビックリする人数ではない。それでも、それを週6日×2ヵ月という期間続けて行ったという人はあまりいないのではないかと思う。

面接を行った後は、当然評価などを入力しないといけないので、
連日、10~12時間くらい稼働していたこともあり、面接初心者の私にとってはけっこうヘビーな状況だった。

そんなさ中、事件は起こった。
上記の面接は全て中途採用の同一ポジションの面接だった。
従って、集まってくる候補者のバックグラウンドや経験なども、どこか似たような共通点が多く、職務経歴書からある程度エピソードが推測できるような状況で、言葉を選ばずに言ってしまうと、少しまんねりに感じていたところがあったのだと思う。

そんな油断もあってか、ランチ明けの最初の面接のときに、あろうことか私は面接中に一瞬だけ寝落ちしそうになってしまった。時間にして0.2秒くらいだと思うし、候補者の表情には何の違和感も浮かんでいなかったので、何の支障もなかった(と思いたい)はずである。
それでも、わずかに意識が途切れてしまったということがある。

後にも先にも、面接中に睡魔を感じたのはその1回だけであるけれど、もしあの時に、ガクンと派手に落ちていたら、どんなことになっていたんだろうなー。
今思い出してもあり得ないミスというか、失敗の一つ。


②涙腺との戦い

これも十数年前のこと。
中途採用の面接を行っていた際に、ある候補者が東日本大震災とその後の復旧に関するエピソードを話してくれたことがある。もちろん、私生活の復旧の話ではなくて、職場やビジネス上のことについて。

候補者の話し方が上手だったのか、そのエピソードが心情的にすごく共感できるものだったからなのかは、今となっては分からないけれど、私は面接の場で、控えめに言って感動してしまったのである。それこそ泣きそうになるくらい。

面接中にプレッシャーなどからテンションがおかしくなって泣き出してしまう候補者や、辛かった過去の経験を思い出して泣いてしまう候補者というのは、たまに居る。

けれど、面接官が泣いてしまったという話なんて聞いたことはない。
面接官は候補者に対して企業を売り込む立場でもあるから、泣いている場合ではない。毅然と冷静にでもトーンは柔和にいなければならない、そんなプロ意識を思い出しながら、必死になって涙腺から汗がこぼれないように踏みとどめる。

そんな1時間。
な、泣いてなんかいないんだから。


③腹痛との戦い

突然、下腹部あたりがキューーーーーっとくること、ありませんか?
あのキューーーーーっというやつは、タイミングも場所も選んではくれない。時に通勤途中に、時に大きな本屋さんに、時に大事な試験中に。

実際に、面接時にキューーーーーっがきたら、どうすればいいのだろう。

私は、候補者を玄関までお出迎えにいく瞬間にキューーーーーに襲われたことがある。
エントランスに立ち、候補者に笑顔で挨拶をしながら、じとりした脂汗が背中を流れる。会議室に候補者を誘導しながら、歩く振動が最小限になるように意識を集中する。

(どうする、面接時間は限られている。候補者はお客様だ、お待たせすることなどできない。どうする・・・)

誰か、他の社員に面接を依頼するか?
いや、みんな出払っているし、さすがに「今すぐ代わってください」なんてお願いは出来ない。

そんなことを思っているうちに、面接会場である会議室についてしまった。
ひとまず候補者を席に案内し、せいいっぱい冷静な顔で「こちらで少しお待ちください」と伝えて、会議室を後にする。

もうキューーーーーっはピークに来ている。
私にはもう選択肢が無い、特殊スキルの神速を使って手を洗いに行き、個室に入って再び神速を使った。

涼しい顔で会議室に戻る途中、ゲスト用の飲み物自販機に立ち寄った。

「お待たせしました、よろしければこちらをどうぞ」

きっと、何の違和感も与えなかったはずだろう。


④自然の脅威との戦い

面接中に、地震が発生することがある。

前職では、何をおいても「安全第一」が最優先事項だったので、地震などの自然災害が発生したときは、業務遂行よりも、手を止めて安全確保することが求められていた。

面接中でも、その原則は変わらない。
部屋が揺れていることに気が付いた私はメモを取る手を止めて、候補者を見て「揺れてますね」と伝える。

候補者は「揺れてますね」と応える。その表情は、少し強張っているように見える。地震に対する不安なのか、面接がどうなるかという不安なのか、あるいはその両方なのか。

基本的に、ゲストに対してはフルアテンドすることが原則だったので、候補者の安全は、私が確保しないといけない。
私は候補者に断り、会議室を出て、すぐ近くの社員に状況を確認する。
どうやら揺れは一時的なもので、震度も小さかったようで、避難などは不要なことが分かった。

すぐに会議室に戻って、候補者に状況を説明して面接を再開する。
不思議なことに、そういうトラブルが起こると、面接の雰囲気は少し和らぐ。なんだろう、ドキドキの共通体験をしたからか?


⑤候補者が黙る

地味に対応が難しいのがこのトラブル。
何かしらの質問をしたときに、候補者が黙り込んでしまうということがある。

答えにくいのか、答えたくないのか。

とりあえず1回は質問が聞き取れなかったか、意図が伝わらなかったことを想定して、より丁寧で分かりやすい言葉で質問を言い直す。

けれども、答えが返ってこない。
圧迫面接とか、意地悪な質問をしたわけではなく、前職の経験とかわりとオーソドックスな質問に対して、このようにダンマリになってしまう候補者がたまーにいる。


このような状態のときに、どう対応するかは面接官によって異なる。
さっさと次の質問に切り替える人、何度も言葉を変えて同じ質問を繰り返す人、評価シートに大きく✕と付ける人。

私は、同じように黙る。
相手が固まって10秒くらいしたタイミングで「ゆっくり考えてからでいいですからね」と伝えた上で、黙って見守る。
もちろん、時間的な限度はあるけれど、2分くらいまでは相手の様子を見守る。

それでもリアクションが返ってこなければ、
「すぐにお答えが出ないようなので、次の質問に移りますね」と伝える。

狭い面接用の個室。
面接官と候補者、1対1の状況で2分の沈黙はちょっとした事故である。

と、ここまで書いて自分に疑問が生じた。
「あれ?何で2分も黙って待ってたんだっけ」

そうだ、私は少しだけバッファを取ったのだ。
すぐに次の質問に移ってしまうと、候補者が答える機会を奪ってしまうことになるし、
答えに窮している候補者に質問を重ねるのも圧迫みたいになるし、
すぐに✕を付けてしまうのも安直だし、、、

しっかり考えて答えるための機会を提供して、それでダメならしょうがないよね、というお互いに納得するためのバッファ時間ということで、数分間黙っているという手段を選んだのだった。

面接でそのような状態になってしまったら、よほどのことがなければ(いや、よほどのことがあっても)不合格にする。




*****
他にも色々なトラブルがあるのだけれど、気が付けば3,000文字を越えているので、今日はこの辺りで。(冒頭で軽めにとか書いていたくせに)

皆さん、面接で何かトラブルに遭遇したことはありますか?

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