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飲食業界での働く を考える

飲食業界はステータスが低い
と、飲食業界で働く人が自身が感じているとしたら、皆さんはどう思いますか?

・長時間労働(休日が少ない)
・低賃金
・お客様からのクレーム
・労働力の代替性(誰でも出来る)

こんな風に感じながら働いているとしたら?


果たしてこれは事実なのか。はたまたただのイメージなのか。
ちなみに、上記は私自身の考えではなく、実際に飲食店を経営されている方から伺った話です。

一方で、私の身の回りには「将来はカフェやバーを開きたい」というような、飲食業に憧れを抱く人が一定数存在します。

なんかギャップがあるように感じます。認知に歪みでもあるのでしょうか?
※「認知の歪み」とは事実と認識にズレがあること。キャリアコンサルタント試験で頻出のキーワード。


ちなみに、上記の話をしてくれた飲食業の経営者の方は、飲食業が人気企業ランキングの1位になることを目指して、様々な取り組みを行っているそう。例えば、飲食店でよく上がってくるクレームの1位「サービスの提供が遅い」に対して、そもそもホールスタッフがサーブするのではなく、客が自ら取りに行くスタイルに変えたり、飲食店にも関わらず持ち込み自由にしたり(店内でUberも受け取れるらしい)。

従来型の飲食店では、非常識とされるような打ち手をうちながら、現状の打開を打開することに取り組んでいるらしい。




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さて、少し視点を変えて課題を見てみよう。
・長時間労働(休日が少ない)
・低賃金
・お客様からのクレーム
・労働力の代替性(誰でも出来る)

長時間労働について、実態はどうなのだろうか。
「飲食業 勤務時間」で検索すると、ブラックな話が山のように出てくる。
けれど、実数や平均値というのはなかなか見つけられない。

ただ、他の業界でも同じような検索をしてみても、飲食業ほどはブラックな話が出てこないところを見ると、相対的にブラックなところがが多いのかもしれない。(飲食業に従事する人が多く、事案の絶対数が多いだけのかもしれないけれど)

ある程度の規模の企業であれば、労務管理がそれなりにきちんと行われているし、逆に行われていなければ労基署などからの改善指導の対象になったりするだろうけれど、飲食店の多くは個人経営や小規模経営なので、そこまで厳しく労基署からチェックされるということもなく、労務管理がされていないというのが実態だろう。そもそも店主(兼オーナー)が労務管理に関する関連法規を正確に把握していないことだってあるだろう。


低賃金については、令和4年度の賃金構造基本統計調査によると、
飲食店店員の平均年収は、40.3歳で330万円ほどらしい。確かに他の業界と比較すると低めである。飲食業の慣習”まかない”を1食1,000円分の福利厚生と考えても、年間で26万円程度(1,000円×5日×52週=26万円)なので、合算しても350万円強ということになる。


お客様からのクレームについては、
対応するスタッフによるものなので、一般化することはできないけれど、果たして飲食業ならではのものかと言うと、そうではない気がする。
たまたま私は前職でコールセンターの人事をしていたが、そこで働くオペレーターたちは、基本的に毎日8時間にわたって、何かしらのクレームを受けている。もちろん、クレームの全てが怒鳴られたり恫喝されるようなハードクレームではない。聞いた話だが、前職では1日に1~2件あるかどうかくらいだった。
ただコールセンターと違うのは、お客様と対面接客しているので、クレームは発生した際の対応の大変さやダメージの大きさにあるかもしれない。

クレームの発生頻度とは別に、重さという点にも違いがある。
飲食店の業態によるけれど、1食で数十万円もするお店というのは限られる。おそらく数千円くらいが平均的な相場だろうか。従って、言ってしまえばクレームも数千円規模のものである。

ビジネスによっては、1件の商談が数十億を超えるようなことがある。この場合のクレームの重さは、飲食業で発生するクレームの重さとは比較ができないだろう。

もちろん、クレームを対応する側の立場に立つと、1件は1件だし、真心こめて対応している中での出来事なので、とても重たく感じることだろう。何が言いたいかというと、飲食業におけるクレーム対応だけが際立って大変というわけではないという事である。


最後に、労働力の代替性について。
例えばチェーンの飲食店の場合、1つの店舗に対して、社員が数名と十数名のアルバイトで構成される。店長クラスであっても、新卒から数年というくらいの若い人が就任していることも珍しくないだろう。(それ以上のキャリアを積めば、単一店の店長から複数店舗を担当するマネージャーになる。)

アルバイトの場合、経験者が採用において優遇されることはもちろんあるが、未経験でもすぐに現場に立つことになる。極端な言い方をすると、未経験でも人によってはすぐに出来る業務ということになる。(もちろん、品質の差はある)

従って「誰でも出来る仕事」と感じてしまう人が一定数いても、おかしくはない。


しかし、少しだけ。
世の中にこの人でなければダメだという仕事を担っている人がどれだけいるだろうか。アーティスト、特異な技術を持つエンジニア、特定少数の経営者、アスリートなどなど、、、このような限られた人を除けば、ほとんどの仕事については、この人でなければ成り立たないという仕事はほとんどない。言葉を選ばずに言ってしまえば誰でもいいのである。

働く側としてどのような心持ちで働くかが重要なのである。
誰でも出来る仕事と思いながら働いていれば、自ずとこだわりがなくなり、徐々にクオリティが低下していく(というか、改善することがないので自然と劣化する)。
逆に、「この仕事は自分にしかできない、自分だから出来ることがある」と思いながら取り組んでいれば、自ずと改善点が見つかったり、創意工夫をするようになり、やりがいも見つかるかもしれない。

これは、働く本人の思考特性にもよるだろうが、ほとんどの場合はマネジメント側の責任だったりする。

小型の飲食店の場合は、このマネジメントについて、人のことにしても、お金のことにしても、しっかりと体系的に学んだことがあるという人は少ない。店長やオーナーが現場で培った経験則の中からしか発揮されないため、効果が限定的になってしまうのだろう。


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なんか、変な方向に掘り下げてしまった気がするので、まとめに変えて。
飲食業界の方の話を聞いて、自分なりに思う事をつらつら書いてみました。

仕事っていうのは、お金や時間などの条件が全てではない。これは常々から私が考えていることです。

むしろ、その仕事を通じてどのようなことを実現したいのか。誰かのためでも、自分のためでも。その実現性や実感が得られているのであれば、それは幸せなキャリアを歩んでいる途中なのだと、私は思います。

私自身、趣味で料理を作りますし、外食に行くのも好きです。
これまでに何度となく美味しい料理や、素敵な接客によって幸せな時間を過ごさせてもらったこともあり、どれも大切な思い出になっています。

それは私だけではなく、多くの人にも通じる経験でしょう。
そんな、誰かの幸せに直接的に関われる仕事って、とても素敵なものだと思います。

飲食業に限った話ではありませんが、1人でも多くの人が自分の仕事を愛せるようになるといいなと、そんな幸せなキャリアを歩む人、歩もうとしている人をこれからも応援し続けます。


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