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【ご縁の連鎖】元日テレ報道キャスターが個人で取り組んできた教育活動

訪問いただきありがとうございます、教育探求家・ビデオグラファーの加藤聡です(元・日本テレビアナウンサー/報道キャスター)。

note初投稿では、自分の問題意識(=問い)の変遷を、ファーストキャリアである日テレ時代にフォーカスして記しました。

2本目の記事では、教育NPOカタリバとの出会い、再会、参画について、経緯や思い、取り組んできた具体事例などを記しました。

今回は、日テレでもカタリバでもない、いち個人として取り組んできた教育に関する活動を記していきます。


【1】メディアリテラシー講師

デバイスやSNSサービスの普及によって、誰もが簡単に情報を発信・受信できるようになった今、世の中には情報があふれています。
玉石混交の情報を利活用する「メディアリテラシー」は、極めて重要な素養です。

テレビ報道の現場で、アナウンサー・記者・ディレクター・プロデューサー・キャスター・デジタルなどを経験した自分が、情報の発信・受信に関する様々な論点を分かりやすく伝えることで、社会の土台である情報環境の改善の一助になれるのではないか?

そんな問題意識(=問い)から、日テレでもカタリバでもない、個人の活動として、メディアリテラシーの講師活動に取り組んできました。

1回目の投稿で触れたように、テレビ報道と視聴者は「ニワトリと卵の関係」。であれば、視聴者のリテラシー向上は、テレビ報道の底上げにつながるはず、という思いもあります。

具体的な活動の第一歩目は、岩手県立・大槌高校での出張授業でした。

大槌高校で出張授業(2020年1月)

きっかけをくれたのは、菅野祐太さん。菅野さんが携わっている大槌高校にゲスト講師として招かれ、単発の出張授業を行ったのです。

菅野さんは、大学時代からの同志。NPO法人日本教育最高連盟(ROJE)の立ち上げ期の初代学生スタッフを一緒に務めました。
菅野さんは新卒でリクルートエージェントに就職しますが、311をきっかけにカタリバに転職。以来、カタリバの中核メンバーとして、大槌町を主な舞台に活躍し続けてきた、大注目の人物です。

ここから、私のメディアリテラシー講師としての活動がスタートしました。

小学生〜高校生を対象とした単発の主張授業のほか、ご縁に恵まれた姫路女学院(兵庫県姫路市にある私立の女子校)では、年間16コマ(50分×2コマ×年間8回)のゼミ講師を務めてきました(2020年度〜現在に至る)。

2023年度のゼミ全体像

実際に記事を書いてみる(NewsPicks Educationを活用)、SNSを疑似体験してみる(スマートニュースメディア研究所が提供しているシミュレーションゲームを活用)、動画を撮影して、編集してみる。ライブ番組を、自分たちで作ってみる。
座学と実践を2つの柱に、生徒が主体的に取り組む中でエッセンスを体得していくことを心がけてきました。

動画編集アプリCapCutの使い方を解説中
随時グループワーク(ディスカッション時はアナログなやり方も)
仕事でも使っている私物機材を活用

こうしたゼミ運営が、初年度からできたわけではありません。
生徒がゼミの内容に興味を持ち、能動的に取り組むためにはどんな設計をすればいいのか。試行錯誤の中で、内容も運営手法も、毎年ブラッシュアップしてきました。

深い学びにつながるコンテンツ作り・授業運営の難しさと楽しさ、生徒の「楽しったです」の声に結実した時の喜びを、ゼミ講師の立場で経験させていただく、本当にありがたい機会でした。

【2】インドネシアの学校を視察

姫路女学院のゼミでは、NewsPicks EducationやCapCutなど様々なツールを活用してきました。その1つが、Canvaです。

Canvaとは、簡単・便利なデザインツール。写真やポスター、プレゼンテーション資料、動画、WEBサイトなどを作ることができます。
WEBブラウザ上で動くため、インターネット環境さえあれば、PC・タブレット・スマホ、どんな端末からもアクセスできるのも大きなメリットです。

Canvaには、教育機関むけに無料で提供されている「Canva for Education」というサービスがあり、Canvaを活用する教育者たちのコミュニティがあります。

このコミュニティへの参加をきっかけに、ICT教育のスペシャリスト・吉川牧人先生とのご縁に恵まれました。
日本で唯一、Apple、Google、Microsoft、Canvaすべてから“認定”を受けている、ICT教育のスーパーティーチャーです。

吉川先生からお声がけいただき、2023年8月、スーパーティーチャーたちの輪に加わり、インドネシア視察ツアーに帯同しました。

訪問先の一つSDHにて

なぜ、インドネシアに注目するのか?吉川先生のnoteから引用します。

インドネシアはコロナ禍においても成長著しい国家です。2050年には日本を抜いて世界4位になると言われています。(日本は8位)。
現在の日本の出生数が80万人に対して、インドネシアは480万人。
また数年以内に世界最大の宗教となるイスラーム教徒がもっとも多いのもインドネシア。(3億人近い人口の約9割がイスラーム)。

このように高いポテンシャルを持っているインドネシアの弱点は教育でした。ところがこの教育分野でも躍進が凄まじい。

元々教育熱心な国民性であり、教育文化大臣にハーバード大卒、30代のユニコーン企業(インドネシア版ウーバーであるゴジェック)の社長ナディム・マカリム氏を据え、世界レベルの教育改革を推進しています。
5000万人の児童生徒対象に、教育の自由化、規制緩和、その先のICTを活用した教育現場での創意工夫によってテコ入れし、教育の質の向上を計ってきました

吉川先生のnoteより

日本の教育現場に課題が山積する中で、海外の現場からヒントを学ぶことができるのではないか?
そんな問題意識(=問い)で、飛び込んできました。

10日間で訪れたのは、チカラン、マラン、バリ島で合計9つの学校(小中高、高等専門学校、特別支援学校、大学)です。
公立、私立、イスラム、カトリック・・校種も背景も異なる中で、どの学校にも共通していたのは、大人も子どももイキイキしている姿。大きな大きなエネルギーを肌で感じました。

マランのイスラム系学校・ディポネゴロ高校にて
数学の授業に参加(クイズアプリで問題に回答中)

特に印象に残っているのは、公立高校で、副校長先生が4人いて、施設、カリキュラム、対外交渉など各自の役割を推進している、という話。
管理職が忙しすぎて意思決定が進まない・・という課題とは、無縁なのかもしれません。

マラン第5国立高校の組織図

他にも、100点満点のいわゆるペーパーテストを受けた記憶がない、という生徒も(私立)。
教育プログラムを通じて習得する力が段階別に言語化され、その一覧と照らして学習達成度を確認する「ルーブリック」が、“評価”の手法として当たり前のように活用されているといいます。

実際、今回の視察の中でも、先生がルーブリックを参照しながら、「皆さんがこうした力を身につけるために、いまからこんな学びに取り組みます」と説明する場面を目の当たりにしました。
日本でも一部導入されていると聞きますが、生徒も納得感をもって学べる有力な手法として、可能性を感じました。

バリ島では有名な「グリーンスクール」も視察

インドネシア視察については、前述の吉川先生のnoteのほか、土井敏裕さんのブログでも発信されているので、是非ご覧ください。

【3】キャリア教育・探究のゲストスピーカー

テレビ報道(日テレ)、教育NPO(カタリバ)、個人活動(メディアリテラシー講師やインドネシア視察など)に取り組んできた中で、様々な方との出会いに恵まれてきました。そして、私自身の珍しいキャリアに興味をもって頂くことも多かったように思います。

ご縁で繋がった教育関係者の方から、「キャリア教育」や「探究」のゲストスピーカーとしてお声がけ頂く機会も増えてきました。

沼津東高校スタディーツアーでゲスト講演(2023年9月)

自分のキャリアの変遷を、自分自身の問題意識(=問い)に基づく実践、探究的な働き方の一つのモデルケースとしてお話ししてきました。

人生グラフを使いながら“探究”と絡めて自己紹介

正解がない時代、変化が激しい時代。
学校を卒業するまでが学び(インプット)で、それ以降は仕事(アウトプット)という考え方は、もはやフィットしません。

一人一人が主体的に学び続ける。
最終学歴ではなく「最新学習歴」こそ重要な時代だと確信しています。
※このワーディングは、本間正人さんの受け売りです

次回予告(なぜ「教育」が私の関心テーマなのか?)

これまで3回にわたって、日テレ、カタリバ、個人としての活動について、その時々の問題意識(=問い)と共に振り返ってきました。

次回は、なぜ「教育」が関心テーマなのか、その思いを整理してみたいと思っています。

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