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びっくりするほど、ユートピア。

思考と懺悔のゴミ捨て場。
それが、私の玩具箱。
私の中の幼い「私」を
慰めるための憩いの場。

この玩具箱には3つのルールが存在します。
・「名前」を出してはいけない。
・「私」を忘れてはいけない。
・「蛇」を入れてはいけない。
このルールが私の記憶のガラクタ達を
「玩具箱の中身」へと変えてくれているのです。
しかし、困ったことが起こりました。
私の掌の上に無色透明の小さな蛇が生まれてしまったのです。
私はこの蛇をどうすれば良いのでしょうか?

もし、私がこの蛇を玩具箱に入れてしまったら。
蛇は箱の中に転がっているガラクタ達を綺麗に平らげてしまい、私はこの玩具箱に蛇以外のものを入れる事は出来なくなってしまいます。
「私」は怯えて隠れてしまって、二度と私の目の前に姿を現すことはなくなるでしょう。
そうなると、私は「私」を忘れてしまって蛇と共に堕落していくしか生きる方法がなくなってしまいます。

ではもし、私がこの玩具箱に蛇を入れなかったら。
蛇は心の靄と葛藤を食べて大きくなってしまい、やがて私の首に巻きついてゆっくり、ゆっくりと私の首を絞めあげていきます。
私は身動きがとれなくなって生きながら、蛇に殺されてしまうのでしょう。
私は「私」を守ることが出来ますが、私自身を守ることが出来なくなってしまいます。

あなたも考えてくださいませんか?
ここは、私の玩具箱であるのと同時に
あなたの暇つぶしの場でもあるのですから。
あなたは絞め殺されてしまいますか?
それとも玩具箱に入れてしまいますか?
幸運な人はまだ目の前に現れていないかもしれません。
しかし、蛇は必ずあなたの元に訪れ大切な何かを食べようとします。
あなたならどうしますか?



私は、まだ入れないでおこうと思っています。
私は沢山のガラクタをこの玩具箱に捨ててきました。
ボロボロになったフラフープも、私を照らしたスポットライトも。
それを全て受け入れてくれるのは弱くて誰にも望まれなかった「私」以外の何者でもないのです。
「私」は誰にも愛されませんでした。
ですから、私だけでも「私」を愛してあげたいのです。

だからこそ、私にとってこの玩具箱は
びっくりするほどユートピアなのです。

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