【詩】白い花弁に口紅を

お化粧をしてあげようと思っただけなんです。
あまり綺麗な色ではなかったから。
私の持ち合わせの色で、可愛くしてあげようと思っただけなんです。
悪気は、悪気はないんです。
あぁ、本当に申し訳ないと思っています。
私がその花弁を破いてさえいなければ
あなたは薔薇の花のままでいられたのに。
本当に、本当にごめんなさい。
謝って、どうにかなるものではないのだけれど。
あなたのかわりになってあげることも出来ないのだけれど。
破れた花弁を治すことは出来ないのだけれど。
本当にごめんなさい。
あなたは薔薇の花ではなくなってしまった。
花占いの道具になってしまった。
せめて、せめてのお詫びとして
私は毎日あなたのために泣いて
あなたのために心を痛めて
あなたに塗ったこの赤色を
これから毎日つけていきます。
本当に、ごめんなさいね。

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