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【短編小説】letter

「綺麗な綺麗な仮面はいかが?素敵な素敵なお面はいかが?一度被れば人気者!みんなみいんな貴方の虜!」

ある町の一角、目につくところ。
大きなかばんを両手に持った 紳士の服着た人気者。
老若男女がその場に集まり、彼の商いが笑いを誘う。

「今日の品物はこの2つ!真っ白なお面と真っ黒な仮面!どっちも素敵でみいんな笑顔!」

されどもみんな買おうとはしない。仮面売りの様子を伺ってる。この町の皆は知っている。ここからが彼の面白いところ。

「うーん、さあてどうしたものか。」

さてさて困った仮面売り。周りをキョロキョロ見渡して、何かを見つけて閃いた。

「さては、みんな狙ってるな?いつものアレを待っているな?アハハハハ!いいとも!やってあげよう!とびきりのアレをやってあげよう!」

ピョンと飛び跳ねた仮面売り、1人の少年に目をつけて

「やあやあ少年元気がないね!いつも、いつもの元気がないね!そんな君には白のお面を!明るくなっちゃう白のお面を!」

かばんからスッと白のお面を出してそのままペタッと少年の顔に。

「白のお面は特別なお面!被ればみんなの人気者!強くて丈夫で壊れない!もしもお面が壊れたとしてもすぐに直しちゃう保証つき!本当は1つ5ペロリだけど、君には特別。無料であげちゃう!」

少年はすぐに元気になって、町の皆はおおはしゃぎ。

「さあさあ残るは黒の仮面だ!私もつけてる黒の仮面だ!こっちはいっぱい、いっぱいあるよ!これも本当は3ペロリだけど、今日は特別!1ペロリ!今日しかないよ、今しかないよ!白のお面が売れた日だけ!みんなみいんな笑顔の仮面!アハハハハ!」

町の皆は我先に、黒の仮面を買っていく。全部の仮面が売れたとき、みんなみいんなにっこり笑顔。

「今日はおしまい!これでおしまい!トントンガラガラ店じまい!みんなみいんなまた来てね!私の仮面を買いに来てね!」





仮面売りには気をつけて。
彼らのお面は一生もの。
一度被ったら離れない。
あなたの顔は腐り落ちて
ピエロとしてしか生きられない。
被っているのを見られたら
あなたは一生笑いもの。
瞳が綺麗なら目を閉じて。
声が綺麗なら口をつぐんで。
彼らの押し売りは拒めないから、
見つからないよう気をつけて。

路地裏の貼り紙





「そんなことしたって無駄さ!アハハハハ!」

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