1+1が3になった日
ウルフムーンと呼ばれる、新年最初の満月の夜
我が家は、3人家族になった。
大好きなお寿司が食べられなくなり気付いた妊娠。
悪阻は中期まで続いて、きゅうりとトマトとスイカばかり食べていたら会社で、カブトムシ、と呼ばれた。
夏に地元へ帰省した。趣味のカメラを持ち、車中泊で北海道を一周した。北海道はでっかいどーなんて笑いながらハンドルを握ってる最中、きみは流れる音楽に合わせて楽しそうにお腹を蹴っていたね。
新米が美味しい季節は太り過ぎて産院からは何度もカロリー制限のレッテルを貼られたんだよ。
妊婦健診で超音波エコーをしても、いつも胎盤にくっついて顔を見せないからヤキモキしたのを憶えてる。どちら似だろう。うっすら見せる鼻と唇が夫に似てるかもしれない、いやお前に似てるかもしれない、なんて夫婦の距離を縮めてくれた。
臨月を迎えても仕事は続けた。日々大きくなるお腹を通りすがるスタッフらが撫でる。みんなで見守ってきた子だからね、楽しみだね、あちこちから飛び交う言葉をお守りのように噛み締めていた。
予定日を過ぎても産まれる気配が無く、4日過ぎてやっと訪れた陣痛も、悪戯のように引いたり弱まったりする。きみは本当にマイペースで恥ずかしがり屋なんだ。それでも早く会いたくて、規則的に押し寄せる波を夫の手を握りしめて耐えた。
我が家は3人家族になった。
のんびりやで、おっぱいが欲しいときは目を潤ませ口元を震わせる、ちょっと傷だらけでちょっと乾燥肌の3500gの坊ちゃん。
きっとこれから大変なことがたくさん待ち受けていて、泣いたり笑ったり葛藤したり激動の人生になるんだろう。けどきみは何一つ心配しなくていい。24時間無防備で大きな声で泣いて全身で甘えて小悪魔のように笑ってくれればいい。だってきみは私たちの宝物なんだから。
至らない母ちゃんと父ちゃんだけど、生まれてきてくれてありがとう。
ちなみに、陣痛から出産まで27時間かかりました…
おシモの話で恐縮ですが、大事な部分は全部裂傷してしまったので縫合されてテディベアみたいになってます。可愛いと言って
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