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「経済的な理由でチャレンジをあきらめてほしくない」新卒でメガバンクへ就職した彼女が、カタリバを選んだわけ

noteマガジン「はたらく人」は、カタリバwebサイトに掲載している「カタリバマガジン」の記事の一部を転載しています。元の記事はこちらからご覧ください。カタリバマガジン:https://www.katariba.or.jp/magazine/

「子どもたちに、経済的な理由でチャレンジをあきらめてほしくない」、そんな想いを胸に新卒でメガバンクへ入行し、現在は、カタリバで全国の経済的に困難を抱える家庭へオンラインによる伴走と学びのプログラム「キッカケプログラム」を担当する中島典子(なかしま のりこ)。
メガバンクにて勤務した彼女が、なぜカタリバを選んだのか、彼女のターニングポイントに迫ります。

*本記事は2021年8月に作成されたものです

ーファーストキャリアに、銀行を選んだ理由は?

幼い頃、親としては苦労している姿を見せたくない気持ちは強かったと思いますが、「お金がない」という印象を感じながら生活していました。中学時代はずっとバレーボールに打ち込んでいたのですが、高校入試は金銭的な事情で志望校を受けられなかったこともあり、「お金がないと挑戦する機会すら得られないのか」と感じました。

同時に、経済的に自立することの重要性も身をもって実感しました。そういう経緯があり銀行へ入行。やりたいことがあったというよりも、「ファイナンスに関する知識を身に付けないと世の中ではやっていけない」と思って選んだ道でした。


ーどういった業務を担当されていたのでしょうか?

中小企業の経営者に向けた融資です。泥臭い仕事で忙しかったけど、仕事を通じて普通に生活していたら会えないような人に会えたし、世の中の仕組みも学べたので、ものすごく充実していましたね。


ー充実していたにも関わらず、退職する決断をされた中島さん。出産が背景にあるそうですね。

融資担当からM&Aの部署へ異動して楽しく働いていたのですが、とにかく激務で。妊娠がわかってからも怒涛の毎日を過ごしていたので、いつの間にか出産を迎えたような気分でした。
出産を機に追いかけるものがなくなり、自分自身と向き合う時間が増えました。そのときに自分が銀行に復職したあとのキャリアがうまく描けなくて。育休中に、同期はキャリアを積み出世していると思うと、将来にものすごく不安を感じました。ただ、自分の中でやりたいことが明確にあるわけではなかったので、自分を見つめ直す意味で、子育て中のママに関わるボランティアへ参加することにしました。


ーボランティアを通じて、何か心境の変化はありましたか?

ボランティアに参加して、やりたいことをやりたいときにどんどんチャレンジしているみなさんの姿を目の当たりにして、「決断に必要なのは、能力ではないのかもしれない」と実感しました。それが退職の決め手となりました。

ーそして復職から1年後に退職。「やりたいこと」は固まっていたのでしょうか?

いえ、まだでした。退職後は、紹介してもらったITベンチャーへ転職しました。「方向性を決めるために、ベンチャーで視野を広げたい」というわがままを聞き入れてくれて「とりあえず、おいでよ」と……感謝で胸がいっぱいになりました。

ーその後、いかにしてキャリアの方向性は定まったのでしょうか?

会社の事業にさまざまな角度から携わるなかで、株式会社だとどうしても利益を追求しなければならないことを実感したことは大きく、モヤモヤを感じるようになっていました。

そんなときコロナ禍に。私には15歳年下の弟がいるのですが、経済的な理由で夢をあきらめてほしくなかったので、支援はしてきていたんです。ところがコロナの影響で家にひとりでいる期間が数ヶ月続くと、弟が今まで頑張ってきたことへの意欲を失い、打ち込んできた野球も休みがちになってしまったんです。

「経済的な豊かさこそがチャレンジするためには必要」と思っていましたが、「もしかしたらお金はそんなに関係なくて、寄り添うことの方が大事なんじゃないか」と思うようになったんです。その瞬間「あ、自分がやるべきは“教育”だ」と方向性が決まりました。

ー教育に携われる場所は、一般企業含めいくつもありますが、なぜカタリバを?

きっかけは、知り合いに教えてもらったことです。漠然と「教育に携わってみたい」と話したときに「カタリバは?」と。名前は聞いたことはありましたが、自分の価値観が定まったタイミングで知り合いに教えてもらったことは直感的にグッときました。

特に惹かれたのは「伴走」という考え方です。何かを教えたり、サービスを届けたりすることも「教育」ですが、カタリバの場合は泥臭くひとりに寄り添い、その子の成長や夢に向かって一緒に歩んでいくことを重要視している気がして

ー全くの畑違いの分野からの入職。どのあたりが期待されているポイントだと感じていますか?

正直、自分が役に立てるのか分からなかったので、不安な気持ちは強かったです。でも、「内定をもらえたということはきっと役に立てることがあるはず」と前向きに捉えて。関わっていく中で、自分にできることを積み重ねていくことにしました。

ー現在担当している業務について教えてください。

経済的に困難を抱えている家庭に対してオンラインの学びや伴走支援を届ける「キッカケプログラム」を担当しています。それぞれの家庭にパソコンとWi-FIを無償で提供し、オンライン面談をして学習意欲を育んだり、学習機会を提供したりするプログラムです。

キッカケプログラムのスタッフとメンターの集合写真。右上が中島

キッカケプログラムの最終的なゴールは「非認知能力(※)の向上」。プログラムを通じて、勉強ができる力だけではなく、生きていく上で大切な自己肯定感やあきらめずにやりぬく力などを身につけてほしいと思っています。そのため、小さな成功体験もすごく大切にしていて、週1回オンラインでメンターと呼ばれる子どもや保護者の伴走役を担うスタッフとの面談を設けて、コミュニケーションをとるようにしています。

※非認知能力…意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といった、測定できない個人の特性による能力のこと。

ーキッカケプログラムに携わっていて楽しさを感じるのはどんなときですか?


基本的に利用者はキッカケプログラムを必要としている人たちなので、事業を通じて世の中の役に立っている手応えは感じます。また、カタリバとしては世の中で起きた課題に対して、スピード感を持って動ける点が大きな魅力ですね。

逆に難しいのは、成果を実感しづらい点。銀行での仕事のように成果が数字で見えるものではないし、自分のやっていることが正しいかも分からない。そもそも正解があるものでもないので。日々、PDCAを繰り返しています。

ーありがとうございます。では最後に今後の目標について教えてください。

キッカケプログラムを、まだまだリーチできていないエリアに届けていきたいです。必要としている子どもは、全国にまだ何万人といるはずなので。そのためにもメンターの仲間たちと協力していきたいし、さらにその仲間を増やしていきたいですね。

(原文:田中 嘉人)



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最終面接での今村とのエピソードや、カタリバの「キッカケプログラム」での具体的な役割など、noteで紹介しきれなかった詳細はぜひこちらから全文をご覧ください。


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