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古金工鐔(花弁虫散図)①

最近少し刀装具の鑑賞記録を残せていなかったので久々に。
古金工極めの花弁虫散図鐔である。
縦76㎜、横73㎜、耳厚5㎜、切羽台厚3㎜。
材質は鑑定書では四分一とある。

縦に魚々子が入り古色が感じられる。
「花弁虫散図」という名称が付いているが、虫は蝶と蜂と思われる。
一方で描かれた草花は多い。


草花は知見がなく、どのような物が描かれているか分からないものが多い。

桔梗(キキョウ)?
梅?
山椒?

更に鐔全体を駆け抜けるように、蜂の巣のような、葉の繋がりのような、紋様のようなものが鎖状になって手裏剣のような形となり表現されている。


耳の縁にも丸と二重線が刻印されている。
これは何を表しているのだろうか。

この鐔を見たときの第一印象は「非常に凝っている」という事であった。
この鐔は古金工に極まっているが、個人的にはどうもこういう古金工の手のものは古美濃や美濃系統の鐔との関係性が感じられてならない。
美濃系の鐔には草花や動物、虫が沢山描かれている物が多い。

特別展「金工 美濃彫」図録より
特別展「金工 美濃彫」図録より
特別展「金工 美濃彫」図録より

恐らく高彫の高さなどが深くなく、彫部も垂直に立ち上がっていない事から古美濃ではなく古金工に極められたと推測するが、デザインなど大枠の括りでいえば両者には非常に近い物を感じてならない。

例えば高級品は赤銅にうっとりで鍍金し(これらが古美濃)、一方でそうでもない安物は鋳造などで仕上げられた鍍金など施していない今回のような物の可能性は無いだろうか。

また以前鑑賞した以下の鐔もそうした意味では美濃系との関係性を感じる。
古美濃などの先駆け、もしくは同じような安価物として作られた可能性は無いだろうか。



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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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