特別重要刀装具は重要文化財クラス
特別重要刀装具は売り物は勿論のこと、拝見出来る機会すら稀な逸品。
特重指定の刀よりも遥に指定数が少なく、作品を見れるような機会に恵まれた時の感動を分かりやすく例えるなら、ドラクエで初めて はぐれメタル に遭遇し会心の一撃を出せた時の感動に近い。
例えが軽くなったが、指定品は個人的には重要文化財クラスに達している品が多いように感じる。
写真でもオーラが伝わる位の名品というのは実物で見ると暫くその場を動けないような、とんでもない力を持っていたりする。
そういった特重の拵が売りに出ているのを見たのはこの5年で3回程度だろうか。2つは展示会で、もう1つはネットで。(以下の品)
値段は幅が広すぎて正直いくらか想像出来ない。1100万もあったが3000万もあったし5000万もあった。故に大体1500万円以上はするだろうか。
秀吉所用なんて言ったら勿論そんな額ではきかないだろう。
先にも挙げたが、以下のような秀吉所用の拵なども国の指定を受けていないのであるが、どう考えても伝来の凄さでいえば重要文化財クラスなのは間違いないはずである。
対して特重刀装具の売り物を見たのはこの5年で2回くらいだろうか。
これも鐔1枚で2000~3000万位の世界である。
刀の世界は面白い。
天皇、信長、秀吉、家康はじめ徳川将軍家の殿様、千利休、本多平八郎、黒田長政、武田信玄、上杉謙信、勝海舟、坂本龍馬…などなど歴史の偉人が所持していた刀が博物館に入らず民間に眠っているのだから。
こうした作は全て美術館に入るべきと考える人もいるかもしれないが、私は反対。
博物館に入ると手にとっての鑑賞機会が途端に減ってしまう。
確かに安全な場で適切に管理され、多くの人の眼にとまる事は良い事かもしれない。
しかし手に取って学べる機会というのはガラス越しの鑑賞と比べて遥かに沢山の事を学べる。
拵の所有者であれば分解もするだろし、一つ一つの金具を魚々子までじっくりルーペで見たりするはずである。家紋があればその家紋について調べるだろうし、売立目録を探したり家文書を探したりしているはずである。
当然誰でも触れられるというわけにはいかず、限られた人(例えばそれを買える人やその知人友人、名品の集まる鑑賞会に参加するような人達など)にはなるだろうが、その中から歴史的な新発見をする人も現れるかもしれない。今までも熱心な愛好家が研究を進めた結果が今これだけ沢山のデータベースを作ってきたのではないだろうか。
ある特定のジャンルの名品を身銭を切って購入し何十年も見続けた人の眼というのは、(言葉は悪いかもしれないが)美術館の学芸員よりも遥かに深い部分でその物を理解しているのではないだろうかと感じる。
全ての名品が美術館に入ってしまったら、この先そういう人の存在が少しづつ減ってしまいそうな気もするため私は民間でも名品が出回って欲しい。
特別重要刀装具といった類はいわば民間にある最高峰の、重要文化財と変わらない価値を持った品だと感じる。
目にする機会はそれこそ少ないし、ましてや売り物などに出会う可能性は更に少ないがこれから何十年もしたら所有者の移転も幾度となく起こる事だろう。
その時に愛好家の誰かが買うのか、それとも美術館に入るのか。
私は是非愛好家の方の元に行ってほしい。
今回も読んで下さりありがとうございました!
面白かった方はいいねを押して頂けると嬉しいです^^
記事更新の励みになります。
それでは皆様良き刀ライフを!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?