刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑

刀とくらす。マニアックで奥の深いライフスタイルを紹介します。 部屋に飾れる刀の展示ケー…

刀箱師の日本刀ブログ 中村圭佑

刀とくらす。マニアックで奥の深いライフスタイルを紹介します。 部屋に飾れる刀の展示ケースを製作中。 刀が三度の飯より好き。 HP https://www.katana-case-shi.com/ ツイッタ https://twitter.com/katana_case_shi

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定期購読マガジン「刀箱師の日本刀note」スタートします!

このnoteも気が付けば630日以上毎日更新している日本刀ブログとなりました。実は1週間ほど前から「刀箱師の日本刀note」という定期購読マガジンをスタートしています。 今…

金工鐔 伊藤正次①

武州伊藤派の初代は伊藤正長と言われ、一説にその弟と言われる人物が今回取り上げる伊藤正次である。 相州小田原伊藤派の祖とも言われ正徳頃(1711年頃)の金工とされる。 …

祖父刀⑨ 祖父の愛刀家人生を刀から推測

祖父から引き継いだ1振の刀は残念ながら偽銘であった。 祖父の事は以前もこのブログで少し触れたが、日本軍将兵の死者数が16万人という史上最悪と言われるインパール作戦…

埋忠鐔の捻り耳の造形の観察

埋忠明寿をはじめとした桃山頃の埋忠鐔はこねくり回したような捻り耳の造形が特徴であり個人的にも溜まらないポイントの1つとなっている。 明寿などはここに更に薬品で表面…

桑名打ち(桑名の殿様)

「桑名打ち」と聞いて何を連想しますか? 恥ずかしながら私がこの用語を知ったのはつい最近で、最初は伊勢国桑名(村正とかの)で打たれた刀の事をこう呼んでいると思って…

古金工鐔 唐草模様図鐔①

表に葡萄の葉と蔦、裏に葵の葉と唐草を毛彫で表現し、水滴を表現しているのか金と銀の点象嵌が施された古金工極めの鐔。 この鐔の鑑賞記録を残しておく。 縦77.6mm×横76.1…

刀、好きに楽しめば良い

何かしら活動していると批判される事もありますが、一方でこのブログがきっかけで刀の世界を知って刀に魅力を感じて買ってみましたと言って下さる方も少なからずいて、そう…

刀展示ケースに使用している「箔漆板」の成功例と失敗例

卓上脇差箱2.0を少し改造して、短刀を拵と横並びで飾れるようなケースの製作依頼を頂いていましたが先日ようやく完成しました。 土台の表面は秋の紅葉をイメージした落ち着…

拵付の日本刀を買う際の注意事項

日本刀を初めて買う人の中には、刀身だけの物よりも拵が付いていた方が良いという人が多いそうです。 特に海外の方はその傾向が顕著なようで。 私が初めて刀を買った際は刀…

茶杓「一成」

先日「一成」と箱書きされた茶杓を発見、購入してみた。 輪島塗で加賀象嵌が施されており、もしや成木一成氏の物ではないか?と頭をよぎり買ってみた。 成木一成氏は昭和3…

「南青山マニア区チャンネル」さんに出演させて頂きました!

Youtube「南青山マニア区チャンネル」さんに日本刀マニア「大量の日本刀と暮らす男」として紹介頂きました。笑 (Youtube「"有名武将と手を繋いでる" 日本刀が好き過ぎて…

刀展示ケースの特許取得の話②

前回に続き、今回は刀展示ケースの特許取得の簡単な流れと、どういう内容を取得したのか、という話について書こうと思います。 新規性あるアイデアを持っていてそれを法的…

刀展示ケースの特許取得の話①

自分で苦労して考えて製作したものはアイデア部分に価値がある事が多いのでアイデアは守らなければなりません。 人知れず何年もかけてゼロから作りだした物があったとしま…

鍋島藤四郎吉光

4/27~6/16まで刀剣博物館で開催中の「五ヶ伝と五ヵ国の日本刀」を見てきました。一番の目的は鍋島藤四郎吉光。 享保名物帳所載で鍋島加賀守直茂が所持していたことからこ…

成木鐔⑲ 中津川市制 四十周年記念鐔

成木鐔を探していると何度も何度も目にする鐔がある。 それがこの中津川市制40周年を記念して作られた鐔。 表には長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる「恵那山」と風…

刀の夢は正夢に。

またまた刀から呼ばれてしまったかもしれまない奇妙な話について。 ちょっと刀の写真もアップしているので続きは月マガにて。

定期購読マガジン「刀箱師の日本刀note」スタートします!

定期購読マガジン「刀箱師の日本刀note」スタートします!

このnoteも気が付けば630日以上毎日更新している日本刀ブログとなりました。実は1週間ほど前から「刀箱師の日本刀note」という定期購読マガジンをスタートしています。

今回はこのマガジンを定期購読するとどういった記事が読めるのか?について書こうと思います。

①定期購読すると読めるものについてこちらでは過去に書いた記事を全て無料で見れる他(単体購入記事以外)、定期購読者の方限定で読める公にはあ

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金工鐔 伊藤正次①

金工鐔 伊藤正次①

武州伊藤派の初代は伊藤正長と言われ、一説にその弟と言われる人物が今回取り上げる伊藤正次である。
相州小田原伊藤派の祖とも言われ正徳頃(1711年頃)の金工とされる。
伊藤家は慶長頃(1596~1615年頃)からの古い金工家の家柄とされ、伝系は正確には判明されていないものの、一説には正阿弥系、埋忠系、長州萩鐔系、相州小田原系と言われている金工らしい。

「鐔の鑑定と鑑賞 著:常石英明」を見ると、伊藤

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祖父刀⑨ 祖父の愛刀家人生を刀から推測

祖父刀⑨ 祖父の愛刀家人生を刀から推測

祖父から引き継いだ1振の刀は残念ながら偽銘であった。

祖父の事は以前もこのブログで少し触れたが、日本軍将兵の死者数が16万人という史上最悪と言われるインパール作戦で奇跡ながら生還した1人であった。
終戦後は風呂にも入れないような非常に貧しい生活をしながらリヤカーを押して起業し、1代で40名規模位の会社を作ったと聞いている。
贅沢な暮らしをしているようには子供ながら見えなかったが、晩年は苦労を傍で

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埋忠鐔の捻り耳の造形の観察

埋忠鐔の捻り耳の造形の観察

埋忠明寿をはじめとした桃山頃の埋忠鐔はこねくり回したような捻り耳の造形が特徴であり個人的にも溜まらないポイントの1つとなっている。
明寿などはここに更に薬品で表面を腐食させて皺を作る事で、陶器のような質感を生み出しており感嘆させられる。
更に細やかでブレの無い象嵌は見事という他ないわけであるが、とにもかくにもまずは耳の造形ありきに感じられる。

鎌倉期の古刀が今現在再現不可とされているように、この

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桑名打ち(桑名の殿様)

桑名打ち(桑名の殿様)

「桑名打ち」と聞いて何を連想しますか?
恥ずかしながら私がこの用語を知ったのはつい最近で、最初は伊勢国桑名(村正とかの)で打たれた刀の事をこう呼んでいると思っていました。
実際は幕末頃に桑名で打たれた室町期の備前刀の偽物の事を指すようです。

日本刀大百科事典には以下の様に書いてあります。

また「寒山刀剣教室 基礎編」では以下の様に書かれています。

以下は成瀬関次著『実戦刀譚』 - 偽刀談義 

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古金工鐔 唐草模様図鐔①

古金工鐔 唐草模様図鐔①

表に葡萄の葉と蔦、裏に葵の葉と唐草を毛彫で表現し、水滴を表現しているのか金と銀の点象嵌が施された古金工極めの鐔。
この鐔の鑑賞記録を残しておく。
縦77.6mm×横76.1mm×耳厚4.5mm、切羽台厚3.8mm。

・象嵌部の拡大金と銀の点象嵌は綺麗な丸い形をピッタリはめ込んでいるというよりは、球のような窪みにラフに打ち込んでいる様子が見られる。

因みに象嵌が外れている部分もいくつかあり、その

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刀、好きに楽しめば良い

刀、好きに楽しめば良い

何かしら活動していると批判される事もありますが、一方でこのブログがきっかけで刀の世界を知って刀に魅力を感じて買ってみましたと言って下さる方も少なからずいて、そうした方が今現在も手元で刀を大切にしている事実があるのでこの活動(と言っても好きで刀や刀装具を買ってブログで発信したりケース作ってるだけですが)やっててよかったと思えます。
いつの時代も所有者が居なければ刀は後世に残っていきませんし、刀にとっ

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刀展示ケースに使用している「箔漆板」の成功例と失敗例

刀展示ケースに使用している「箔漆板」の成功例と失敗例

卓上脇差箱2.0を少し改造して、短刀を拵と横並びで飾れるようなケースの製作依頼を頂いていましたが先日ようやく完成しました。
土台の表面は秋の紅葉をイメージした落ち着いた赤色、裏返すと対照的にカラフルになりよりアートさを増すようなポップなイメージとなります。
2枚のアクリル板で箔を挟み込み、その間に漆を入れて乾燥させる事でリバーシブルで楽しめるようになっています。

漆の乾燥の都合上この箔漆板だけで

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拵付の日本刀を買う際の注意事項

拵付の日本刀を買う際の注意事項

日本刀を初めて買う人の中には、刀身だけの物よりも拵が付いていた方が良いという人が多いそうです。
特に海外の方はその傾向が顕著なようで。
私が初めて刀を買った際は刀身のみだったのですが、あれから刀装具や拵なども趣味で買うようになってからというものの、やはり拵があって初めて日本刀として完成するなという気もします。
まぁ刀身は刀身、拵は拵で楽しめはするのですが、武士は白鞘の状態で持ちませんし、そういう意

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茶杓「一成」

茶杓「一成」

先日「一成」と箱書きされた茶杓を発見、購入してみた。

輪島塗で加賀象嵌が施されており、もしや成木一成氏の物ではないか?と頭をよぎり買ってみた。
成木一成氏は昭和35年に鐔の研究と試作を開始しているが、それから6年後の昭和41~44年にかけて高橋勇氏より加賀象嵌技法を習得している。

因みに落款は常に見る成木氏のものと異なるが、鐔箱に押された落款は古い物でも昭和52年の物であり、それ以前の物は個人

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「南青山マニア区チャンネル」さんに出演させて頂きました!

「南青山マニア区チャンネル」さんに出演させて頂きました!

Youtube「南青山マニア区チャンネル」さんに日本刀マニア「大量の日本刀と暮らす男」として紹介頂きました。笑

(Youtube「"有名武将と手を繋いでる" 日本刀が好き過ぎて自宅で大量所有する男性 | 中村圭佑【マニアNo.032 - 日本刀】」より)

大量というほどではないですが、一般の方からしたら多いかもしれませんね。有名武将と手を繋げてたらいいなぁ…!
尚研ぎに出したりハバキを作ったり

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刀展示ケースの特許取得の話②

刀展示ケースの特許取得の話②

前回に続き、今回は刀展示ケースの特許取得の簡単な流れと、どういう内容を取得したのか、という話について書こうと思います。

新規性あるアイデアを持っていてそれを法的に守りたい方、長くその物作りを続けていきたい方の参考になると嬉しく思います。
特許の内容だけ知りたい方は②からお読みください。

①特許取得したい時の準備基本的にプロ(特許事務所)に任せる事になります。
個人でゼロから書類作成して申請は現

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刀展示ケースの特許取得の話①

刀展示ケースの特許取得の話①

自分で苦労して考えて製作したものはアイデア部分に価値がある事が多いのでアイデアは守らなければなりません。
人知れず何年もかけてゼロから作りだした物があったとします。
それはいわばアイデアの卵です。
それを世間に公開する事はSNSを用いれば今の時代誰でも出来ます。

その結果称賛される事があれば嬉しいですし今までの苦労が報われる気持ちにもなります。
しかしそれで満足していると足元をすくわれる可能性が

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鍋島藤四郎吉光

鍋島藤四郎吉光

4/27~6/16まで刀剣博物館で開催中の「五ヶ伝と五ヵ国の日本刀」を見てきました。一番の目的は鍋島藤四郎吉光。

享保名物帳所載で鍋島加賀守直茂が所持していたことからこの名が付いており、その後は池田光仲、その子の伯耆守綱清が5代将軍徳川綱吉に献上しています。
その後は綱吉→家宣→吉宗→家重→家治→家斉→家慶→家定へと徳川家で代々受け継がれてきた事が徳川実記に記載。
現在付帯している古鞘には文政1

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成木鐔⑲ 中津川市制 四十周年記念鐔

成木鐔⑲ 中津川市制 四十周年記念鐔

成木鐔を探していると何度も何度も目にする鐔がある。
それがこの中津川市制40周年を記念して作られた鐔。

表には長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる「恵那山」と風流踊り、裏には中津川の市章と市の花であるサラサドウダンが描かれている。

同図の鐔はヤフオクでも度々出るし、昨年の大刀剣市でも出品された。

上記は2023年大刀剣市の時の物であるが、ここに書かれているように鍛造の鐔ではなく、鋳造の鐔に

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刀の夢は正夢に。

刀の夢は正夢に。

またまた刀から呼ばれてしまったかもしれまない奇妙な話について。
ちょっと刀の写真もアップしているので続きは月マガにて。