【詐欺？宗教？】ヤバいLINEグループに招待されてしまった…【137！137！】

2021年9月28日 13:11

こんな手口があるみたいですよ。。。

①『A4幸運の扉を開く風水』というLINEグループに招待される

始まりは一昨日(9月26日)の夜です。
最初は「中川があなたを電話番号で追加しました」という文言。今、お仕事でお世話になっている中川姓の方がおひとりいらっしゃるのでその方かと思いきや、招待されたのが表題の謎のLINEグループです。

80人規模の巨大グループ。しかも招待された人が続々退会しているのを見る限り、心当たりのない人が無差別に呼ばれている感じ。
グループ名を見る限りありふれた詐欺か宗教の勧誘かな……と思いながらも、面白そうなのでブロックせず放置していると風向きが変わってきました。

何これめっちゃ面白そうじゃん。

※後述する理由から、主要なメンバーについては名前を伏せずに投稿しています。

この時点で判明した事実は下記の通り。

・グループで熱心に会話に参加している10人ほどは、全員「高橋師匠」なる人物を猛烈にリスペクトしている。
・「高橋師匠」とその弟子である「山田先生」は、かつて「小さなグループ」を主宰し、風水の力で人々を助けてきた（男性会員の「中年の危機」を救ったこともある）。
・「高橋師匠」が修行に出て「グループ」は解散したが、会員たちの求めに応じてここに復活した。
・「高橋師匠」の帰還を歓迎する気持ちは「137」と宣言することで示すことができる。

さらに「山田先生」によって、私のような訳もわからず集められた者に対して、このグループの趣旨が「投資仲間のサークル」であることがアナウンスされます。

それに続く「石崎」「川田」2人の発言から、このグループの実質的な主宰者は「山田先生」であり、彼の人脈で呼ばれたメンバーの中には「高橋師匠」と面識のない人もいることがわかります。

この件を最初から共有して一緒にウォッチしてた友人から教えてもらったのですが、「137」という数は

・微細構造定数という量子力学の定数が約「1/137」
・宇宙年齢が約「137億年」
・ハッブル距離（宇宙の地平線までの距離）が約「137億光年」

と、科学のマクロとミクロの世界でたびたび現れる数字であり、スピリチュアルな文脈において「シンクロニシティ」なんて言葉を使って神秘的な数字と扱われるそうです。

②占い投資サークル「縫の会」

株式投資とスピリチュアル、と聞いてまず私が思いだしたのは「縫の会」でした。

バブル絶頂期の1980年代末・大阪。金融自由化による競争激化で中小零細企業や個人投資家への取引に活路を見出した銀行や信用金庫が、こぞって持て囃した女性がいました。
虚言癖で浪費家ながら、太いパトロンを何人も抱えて金回りの良かった料亭の女将・尾上縫（おのうえ・ぬい）です。

※写真はhttps://slownews.com/stories/pT3tJ2kHBJA/episodes/kr7ztRZ_5kE#00be652より引用

「財テク」なんて言葉が流行語になった時代、尾上は銀行に貸し付けられるまま景気よく金を借り、景気よく株を買い漁っていました。
それも、普通の買い方ではありません。
尾上は霊能力があると自称し、店の中庭に大きなガマガエルの石像を据え、毎週日曜日に常連客と各銀行・証券会社の担当者たちを集め「ガマのお告げを聞く行」なる儀式を執り行っていたそうです。
持ち込まれた株式銘柄のリストから「○○の株は上がりますか？」と銀行担当者が訊ねると、トランス状態になった尾上が「上がるぞよ～！」「まだ手を出すのは早いぞよ～！」と教えてくれたそうで、尾上本人もその「お告げ」に従って株を取引していたと言います。
当時は「どの株を買おうが上がる」バブル真っただ中ですから、そんな出鱈目な買い方でもある程度の利益が出たのです。
そんな刹那的な「成功」が、営業成績のために無計画にジャブジャブ金を貸しまくる銀行と、「北浜の天才相場師」なんてチヤホヤされていい気になりどんどん投資資金を積み増していった尾上を勢いづかせ、結局はバブルの崩壊とともに莫大な損害を被ることになります。尾上は架空の預金証書を使った詐欺を働いて逮捕され、自己破産。負債総額は当時、個人としては日本最大の4300億円にも上りました。

尾上の「霊能力」パフォーマンスは、困窮から我が子（尾上の弟）を栄養失調で亡くして精神のバランスを崩し、「狐が降りてくる」などと神がかり的言動を繰り返すようになった母親の影響とも、単に目立ちたがり屋でサービス精神旺盛な人だっただけとも言われています。

この、尾上縫の「お告げ」をもとに株式投資を行っていた集まりが「縫の会」です。
尾上について書かれた書籍やWEBの記事を読む限り、その実態は銀行・証券会社の担当者と有力投資家たちが「尾上のお告げ」を隠れ蓑に「買う銘柄」「売る銘柄」を示し合わせて相場操縦をおこなう談合集団だったんじゃないかと想像します。

『A4幸運の扉を開く風水』もそうした趣旨の、一種のインサイダー取引を目的にしたニセ風水団体なのではないか、と考えたわけです。

しかし、会話が進むにつれて違和感に気づきました。

③あれ？　これ全員口調が一緒じゃない？　ていうか、たぶん機械翻訳だよね？

「鈴木」「田中」と名乗るふたりの人物が登場し、今夜は「高橋師匠」は来ないと告げます。

落胆するメンバーたちは、口々に「明日を楽しみにしよう」と言って抜けていき、お開きの雰囲気になりました。さながら『ゴドーを待ちながら』です。

ウォッチャーの友人たちからは

こわいよー。

翌27日は朝から活発に会話が交わされています。
夜のうちに「高橋師匠」らしき人物が入室し、代わりに私を呼んだ「中川」が退出しています。

「高橋師匠」でも「山田先生」でもない「たなか」という人物が、株式情報を書き込んでいます。そして、「この株を買ったら儲かった」という報告。

ここで、当初からずっと引っ掛かっていた疑問が確信に変わりました。
……これ、全員口調同じじゃね？　っていうか日本語おかしくね？
注目したのは、「加藤」という人物の投稿にあった「日内取引」という言葉。
少なくとも日本語での株式取引の用語としては耳慣れません。検索しても皆無。

翻訳サイトを使ってみて謎が解けました。中国語の「日内交易」を精度の高くない機械翻訳にかけると、「日内取引」と出るようです。「日内交易」とは「デイトレーディング」のこと。

遡ると、「山田先生」の発言にも気になるものがありました。

「清修」という聞き慣れない言葉も中国語の語彙（仏教用語）で、家庭での仏教修行のことを指すそうです。

私は下記のような推理を立てました。

①このLINEグループは、複数のアカウント（でっち上げたか、あるいは乗っ取り）を使い分けたおそらくは一人の人間によって運営されている。
②運営者（もしくはそのバックにいる「脚本家」）は中国語圏の人間であり、各アカウントの台詞はすべて中国語で書かれ、日本語に機械翻訳されている。日本語として不自然な点が修正されていないことから、おそらく日本人は関わっていない。
③目的はおそらく詐欺。「高橋師匠という風水師の下で株式投資にまつわる有益なアドバイスを受けられる団体」をでっち上げ、不特定多数を招待して「高橋師匠がいかにすごい人であるか」をひたすらアナウンスすることで投資や占いに興味のある人間を釣り、出資詐欺などに誘導しようとしている？

つまり、LINEを舞台にした非常に手間のかかった、劇場型詐欺なのではないかと。

この時点で、＃9110の警察相談窓口に電話をし、web上の犯罪であっても通報・情報提供の場合は自身の最寄りの警察署に連絡するよう教えていただき通報しました。
管轄の浦和西警察署へ電話通報し、LINEグループ名と想定される手口、招待の日時とこれまでの経緯を伝えました。担当者さんからは、「はっきりしたことは言えないが、結論としては詐欺だと考えられる」と言われ、「今後、そういった不審なLINEグループに招待されることがあったら、開かずにそのまま削除するように」と自衛を指導されました。

仮に『A4幸運の扉を開く風水』が潰されても、手を変え品を変えて似たような詐欺は現れてくるのでしょうから、防犯のためには今回の体験をまとめて「こんな手口があるみたいだよ」と公開するのが一番と考え、使用されているアカウントの名前も晒した上でこの文章を書いています。

……しかし、ただ「こういう詐欺？がありましたよ。気をつけましょうね！」で終わっては面白くありません。
なにか「オチ」をつけたい。

やるか。

本当に27日の夜「高橋師匠」が降臨したら、風水を金儲けのために悪用する敵を成敗する「光の風水師」として颯爽と登場し、堂々戦いを挑むのです！

幸いにも自宅に小道具は揃っています。
・京都旅行で本願寺にお参りする時に買った袈裟のやつ
・昔、友達からもらった晴明神社の五芒星ネックレス

そして、実家の蔵から出土した謎の「お守り刀」！

「御守刀」とかいう実家の蔵から出てきた謎の木箱に書いててほしくないタイトル第一位。確実に何かを封じるために打たれた、動かした時点でバッドエンド確定のアイテムじゃん… pic.twitter.com/dgI3UcUx4X
— 白樺香澄 (@kasumishirakaba) August 23, 2021

ここで風水師役を務めるのが風狂奇談倶楽部きっての「肖像権フリーの男」キクチ。
かつて、NHKのオタクカルチャーを紹介する番組に野面で出演し、その「いかにもすぎる」風貌からキャプチャが掲示板に貼られ実況スレを「おまいらｷﾀ━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━!!」（古文）の歓喜のレスで完走させAAまでつくられた経験から倫理観が崩壊し、自分の顔がネットに晒されることに何の抵抗もなくなってしまった哀しきモンスターです。

NHKさんは、さる番組の取材で30分に渡って日本におけるサブカルチャーの需要と立ち位置に関して喋らせといて、放送で全カットして冒頭の10秒だけ出落ちの晒し者にしたワセダミステリクラブの会員にもちゃんと謝って欲しいんだよな。 pic.twitter.com/4smneElVL0
— 白樺香澄 (@kasumishirakaba) December 20, 2015