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奨学金で大学行きました

私の実家は地方で酪農と稲作をしている家庭です。サラリーマン家庭でもないし、公務員家庭でもないし、そして言うまでもなく医療とも全く無関係な家庭環境で育ちました。酪農と稲作を生業とする兼業農家です!

農家と言っても、サラリーマン家庭と変わりないですし、愛情もかけてもらえたと思います。ただし生き物を仕事相手にしているので、365日休みなしです。家族旅行に行ったことは一度もありません。本当です。酪農で良かったことは、長期休みの宿題のときに、牛の餌やりの絵や日記など、話題に事欠かなかったことですかね。牛を見ているのも本当に楽しかった。

そんな生活環境でもあったからか、親からは勉強やれとは言われたこと一度もありませんでした。これも本当ですよ。信じられますか。一度も言われませんでした。勉強は自分の意思を持ってやるものと思っていたし、勉強してもしなくても全て自己責任です。親に勉強みてもらえないので、全て自分で解決しないといけないと思ってたし、小学校1年生の時から勉強は自己責任って悟っていました。

私の住んでいた町は人口8000人で、ひと学年50人くらいの小さな小学校でしたから成績はだいたい上位です。でもそこまで天才的に勉強できたわけではありませんでした。その当時の同級生で一番頭の良い女子は東京のトップ大学に合格した子がいたので私のことは霞むんです。そしてその8000人の町に学習塾なんてひとつもありませんでしたから塾に行く子もいなかったですね。まあこんな町でも、その東大にはいる子や慶應医学部や早稲田に受かる子たちが排出されるわけです。地域格差や親ガチャとか言われてますが、私からすればどうにでもなると思ってしまいます。片田舎の町から世界に出られます。私なんて田んぼのあぜ道でミミズをとって農業用水用の水路で魚釣りしていた子ども時代だったんですから。

それはさておき、地元の公立高校に進学した私は大学を目指すことになります。周りも大学を目指す友達ばかりですが、地元の国立や東京の私立大学を目指す人ばかりでもありません。地元で就職する人もいます。専門学校にいく子もいます。田舎ですから、大きな会社や企業があるわけではありません。農業、漁業、自営業、公務員が大半を占め、恐らく年収1千万円世帯はあまりなかったのではないでしょうか。だから田舎の進学ポイントは親の経済力なんです。

大学の友人にもいるんですよ。「大学選ぶときに学費とか考えたことなかった」という人が。それはそれで良いと思うんですよね。だってお金持ちの家には生まれたならそれを享受して生きる権利があるわけだし。何も悪いことはありません。私は親にお金がないのを分かっていたので、予備校に行きたいとか塾に行きたいとか言ったこと一度もありません。だって借金の取り立て電話がかかってくる家にですもん。農業機械や酪農機材は高いし、そりゃお金も借ります。お金借りるのも、企業勤務じゃないのでなかなか簡単には行きません。農業には農家の味方JAがありますが、まあ色々あります。JAが分からない方は調べて下さい。私も幼心にも家庭の経済状況は分かっていましたから、大学進学を考え始めた時に色々調べるわけです。そして高校2年生あたりに、学業で一定の基準を満たしていれば無利子の奨学金(※有利子の奨学金もあります)がもらえることを知ったので、そこからコツコツ勉強を開始しました。大学受験用の勉強じゃないですよ、奨学金を借りるための授業評価の評定を上げる勉強を、です。お金ない人って、目の前にある課題を地道に解決していかないと将来が見えないんです。大学受験の前に費用の工面のための努力をしたのです。話はそれますが、大学時代に「何で毎日バイトしてるの?」って聞いてきたお金持ちの同級生がいました。お金で困ったことがない人はそういう質問します。それは嫌味には聞こえなかったので、私は真顔で「うちの実家は貧乏で学費が払えないから自分で稼いでいるんだ」と説明しました。そうしたら「そんな学費も出せない家はあるわけないでしょ!」って真顔で返されました。まあ東京とはそういうところです。怖いですね。想像力の欠如を補うことは出来ませんから、「そうだね」って返してその時は話を終えました。
まあそうやってコツコツと勉強したおかげで高校3年生が終わる頃には評定平均3.5を突破していたので、その後無利子の奨学金を無事に借りることができました。大学学費の足しになるベースを手に入れました。

で、肝心の大学受験なんですが、理想を求めすぎて失敗したんですよね。東京六大学に行きたいとか、国立に行きたいとか現役ながらミーハーな夢もあったのですが、完全に努力不足でした。そして受験失敗後はめでたく浪人生活を送ることになりますが、浪人して志望校を上げられる期待もあったので悲観はしませんでした。それに親のスタンスも「浪人するならすれば」といわれ反対されなかったので。ただしこのときの親の反応を友人に言うと、「浪人のお金もだしてくれるなんて良い親だね」って必ず言われるんですけど、いやいや私の親はそんなことは考えていません。お金は出してくれませんから。結局私は高校卒業して、予備校には通わず、そこからの勉強代、大学受験費用、引っ越し、入学諸費の全てを自分で出しました。そうです。アルバイト頑張ったんですよ。浪人の夏まではアルバイトも平行しながら同時に勉強も頑張るめちゃくちゃな生活を送りました。私は浪人突入から大学入学まで親からは1円ももらっていません。ちなみに浪人時代は毎日12時間くらい勉強して第一志望に合学しています。このときのアルバイト経験はのちのち自分の経験として生きてきます。第一志望に合格したあとは奨学金申請して、無事にお金を借りることができました楽しいキャンパスライフに突入できました。

だから奨学金という制度は私にとってとてもありがたい素晴らしい制度なんです。これがあったから大学まで進学できました。勉強も頑張れた。アルバイトも頑張れた。奨学金という制度があって、大学進学を考えることができた。大学に通えていることが幸せと思ってました。お金なければ大学進学も考えもしなかったと思うんですよね。お金がない家庭は決して少なくないです。私の家庭がそれだったから。だから奨学金は希望の制度です。

今は医学部だって、地域枠もあるし都道府県ごとに奨学金設定もあります。内容の議論はしませんが、地域縛りはあるにせよ、医師免許が取れるなら悪くはないと思います。医学部合格できる能力と意志があれば奨学金借りて進学はアリだと思います。私の知り合いに慶應医受かって3年まで進んだけど経済難から転部した人がいます。そもそも国立医学部に進学しなかったのが謎ですが、経済難は18歳、19歳では解決しようがない大きなハードルです。医学部も看護学部も奨学金制度は恵まれています。今や一般家庭でも医学部に行ける時代です。未来の投資や自己責任でお金をかりることは悪くないと思います。

その後、社会人になった私は仕事が忙しくてお金の使い道がなかったので早期返済に成功しました。無利子だったし、早期返済のため逆に三万円くらいボーナスでもらうことにもなり結果的に利子がついた感じです。奨学金借りたことになんの負い目もありません。親にお金がなかったこと、何も思いません。このお話の一番のポイントは親がお金を理由に進学を反対しなかったこと、それです。これこそが私の人生の最大アシストになりました。

そんな私は都内私立大学に勤務しながら学生に講義もします。病院で働いています。人生はわからないものです。

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