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【相談】おしゃれなタイトルのつけ方を教えて!

■相談

 ペチカ様、サネアツ様、こんにちは。いつもTwitterやnoteを拝見させていただいております。
 私は色々なジャンルを渡り歩いてきた字書きです。マセていたのでガキの頃から小説ともいえないようなものをインターネットに晒してきました。最近では自分が好きだなと思えるお話も書けることが増え、基本ハッピーに生きています。
 しかし、一つ、本当に苦手なことがあります。タイトルをつけることです。
綺麗で本文を読み返したあとにもう一度見て、なるほどこのタイトルか、と思うようなものが好きです。一般的に売られているような本のような、一つの単語や一文、短いものが好きです。
 自分もそんなタイトルをつけたいと思うもののなかなかうまくいきません。文章を読み返しなんとなくそれらしいものはつけられても、これが最適解かと問われれば肯定できないようなものばかりです。
 お嬢様の知恵やインターネットの集合知をお借りして、自分の納得のいくタイトルの付け方をご教授いただければと思います。
 寒暖差の激しい時期ですのでどうぞご自愛ください。


■過去記事&なるほど系に絞ります

お心遣いまでありがとうございます!
おしゃれなタイトル、憧れますよね~わかりますワ~!!

過去タイトルの付け方について、「クリックしたくなる訴求力があるといいよね!」という方針で書いてきました。

何かしらヒントがあるはずなので、よかったらご覧くださいまし!

「読み返して意味が分かるといいよね」あり↓

商業作品タイトルを集めて分類してみた(有料部分)↓

ただ、過去記事だけではこのニーズにこたえられないので、考えてみますネ!

>綺麗で本文を読み返したあとにもう一度見て、なるほどこのタイトルか、と思うようなものが好きです。一般的に売られているような本のような、一つの単語や一文、短いものが好きです。

……ごめんなさい!エンタメ小説記事の中で、(アマチュア一次創作向けに)「エゴサ検索しづらいシンプル一般名詞は、プロでないなら避けたほうが無難」(例「秘密」「穴」)と言っています。許して!
「なろうからプロデビューしたいわけではない」「エゴサしない」なら全然大丈夫です!ごめんなさい!

「一つの単語や一文、短いもの」については、作中のを抜き出すとか、テーマとか、リンクした語とか、いい感じに作れるといいですよネ!

…………すみません、短か部門は「理論」が提供できないので、なるほど系を解説させてください!

◎なるほど系のキモは「欠落」と「補完」

読後に「なるほど」と思わせるには?
いい感じに分かりにくくし、迂遠にし、飛躍を作り、わざと「初見では分からない」を作ることです。
で、「読んだら分かる情報」を組みあわせることで意味が通るようにする。

最初からピースが欠けたパズルにしておくイメージですネ。

分かりやすいのはホームズの「まだらの紐」でしょうか?
「まだらの紐」という初見ではよく分からないワードが事件の真相となっていて、ホームズが解き明かすと同時に意味が分かる。意味が変わる。
氷菓」や「すべてがFになる」もそうですネ❣

本文中で探偵役や狂言回しがパズルのピースをはめてもいいし、本文中ではピースのみ提供して、読者の気付きに任せるのもOKです。

以下は、主に「初見で知っている人が少ない」「ひらめきが必要」「フェイクがある」系の「欠落と補完」パターン集です。

◎メタファーやアレゴリーもおしゃれ

連想ゲームみたいなメタファーもいいですネ!
社畜で心身を壊したキャラを「壊れた歯車」、自分らしくいられる温かい場所を「ひだまり」にするなど。
これらも、読み終わってからは「これを指してたんだ!」と分かります。
メタファーについては、地の文記事(有料部分)で詳しく解説してます。

メタファー(たとえ)と似ていて、というかほぼ同じのもあるけど、文字の読めない民衆向けにかかれた昔の西洋絵画は、意味を託された表現がよく見られます。

・アトリビュート(目印)「持ち物で判別」
→鍵と逆さ十字を持っている男は、聖ペテロである
→髪をおろし香油壺を持っている女は、マグダラのマリアである

・シンボル(象徴・記号)「コレといえば〇〇」
→りんごといえば原罪を表す
→糸杉といえば死や喪を表す

・アレゴリー(寓意)「別のことを語る」
"ヴァニタスにおける象徴物には、頭蓋骨(死の確実さを意味する)のほかに、爛熟した果物(加齢や衰退などを意味する)、シャボン玉遊びに使う麦わら・貝殻や泡(人生の簡潔さや死の唐突さを意味する)、煙を吐きだすパイプやランプ(人生の短さを意味する)、クロノメーターや砂時計(人生の短さを意味する)、楽器(人生の刹那的で簡潔なさまを意味する)などがある。"(分かりやすかったのでWikipediaより引用

※ヴァニタスは、寓意的な静物画で人生のはかなさをあらわすもの

シンボルのほうがアレゴリーより普遍的な概念を表し、アレゴリーはなんか直感的に分かるやつらしいです。詳しく知りたい方は調べてみてネ!

こういうのを読むと楽しいですヨ!

たとえば「林檎の里」とか初見だと可愛い系のタイトルでも、読んでみたら「罪だらけやないかい!原罪だこれ!」「茉莉也ってキャラはマグダラのマリアが元ネタじゃん!」「てことはあのシーンは失楽園をさしてる!?」など分かって気持ちいいかも!

◎ダブルミーニングや同音異義語もおしゃれ

「【推しの子】」「Dr.STONE」葬送のフリーレン」もタイトル回収が痺れますね!
これらは初期にタイトル回収の1回目をしておいて、忘れた頃に別の意味で2回目のタイトル回収をするんです。アツすぎる!!

ネタバレってほどじゃないけど、一応黒背景にしておきます。

「【推しの子】」……1回目の「推しの子」は推しが産んだ子供という意味
 2回目の「推しの子」は「アイドルの推し」という意味

「Dr.STONE」……1回目の「Dr.STONE」は石鹸に使っている。
 2回目の「Dr.STONE」は「石化を利用して怪我を治す」意味

「葬送のフリーレン」……1話読んでの「葬送」で受け取る意味は親しい人を見送るという意味
 タイトル回収での「葬送」は「魔族をせん滅させる」意味

これ、なんでしょう……フェイクでは全然ないけど、「解決済みの謎」は終了したものとして読者の頭から抜けます。
そんな状況で2回目をやると、予想外になるので「うおおおお!」ってテンアゲはなはだしいんですよネ。

ミステリーで、死んだと思わせたら犯人の選択肢から除外できる裏技と似ていて、読者を油断させることができるのでオススメです!

また、同音異義語やダジャレも時にはかっこよくなります!
「かけた男」というタイトルにして、読んだ後に「欠けた」「賭けた」「駆けた」など意味が分かる感じ。
一人の人間が全部やっててもいいし、「欠けたA」「賭けたB」など、キーパーソンがそれぞれ受け持っててもOK。
ミーニング当たり判定を増やせるのでオススメです!

◎知ってる人が少ないのもおしゃれ

逆にポピュラーな気もするけど、ギリシャ神話や北欧の神話からキーワードを持ってくるとか(アリアドネの糸・ドラウプニルの雫)、哲学用語から引っ張ってくるのもアリですネ(ヘラクライトスの川・オッカムの剃刀)。

大抵の人が知らないこと(欠けたピース)なので、その意味を解説するだけでもいい感じになります。

図書館や本屋さんで○○辞典とかビビッときたものをあたりましょう。ざっと何かを知りたい場合、ネットより本がオススメ❣

マイナーなことわざ、熟語、キーフレーズもかっこいいですね。
たとえば、「渡る世間に鬼はない」的な話を書いたけど、ことわざそのものだとひねりがないな〜ってときに、この辞典で外国バージョンをあたる
→「世に善人の絶えることなし(ロシア)」
→「悪魔は絵に見るほど黒くない(西欧)」などいい感じにできそう❣

芸術分野だと、アリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」、讃美歌「恵みの光は闇路を照らし」など引用してもカッコイイ!



思いつく限りの「おしゃれ・かっこいいタイトルのつけ方」を解説してみました。何かお役立ちできたら幸いです!

「アイディア出し」も迷うのも果てがないので、ある程度「これだ!」と決めたら勇気をもってそこで決定しましょう。最後は気合!

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