「言葉にできる」は尊くない。〜頭木弘樹「口の立つやつが勝つってことでいいのか」【読書感想文】
高倉健さんの有名なセリフに「自分、不器用ですから」というのがあるが、私たちはどこかで不器用な人に対して憧れや好感をいだいているのだと思う。
裏を返せば、何でも器用に「こなしてしまう」タイプの人のことをちょっとうさんくさく感じるし、「できすぎた理屈」みたいなものを疑う。“口の立つ”人のことがどこか尊敬できないように感じる。
自分自身に対してもそうだ。自分の不器用さにうんざりすることがしょっちゅうある一方で、何かを器用に「こなしてしまった」ことに対して嫌気がさすこともある。誰