見出し画像

謎解き「大間まぐろ」⑥水産庁、尻屋崎など疑わしい港を訪問せず~TAC報告実態調査は「任意」で疑義情報扱わず

 大間漁協などで判明した大量の漁獲未報告問題をうけて、水産庁は今年3月から全国の主要な港で漁獲可能量(TAC)制度に基づく漁獲成績の報告がどのように行われているかの実態調査を進めています。

 全国およそ20の漁港が対象になると言われています。水産庁への情報公開請求で入手した行政文書によると、最初に訪問したのは宮城県の塩釜(3月3日)、次いで青森県の大間(3月8、9日)、千葉県の銚子(3月10日)となっています。

 実態調査の要領をまとめたメモによると、調査事項は①陸揚げから出荷までの手順、②TAC報告の手順、③その他必要な事項、となっていて、年間50トン以上の港などおよそ20の漁港を調査する予定です。

 調査日程は地元の都道府県を通じて行い、本省からは水産庁の管理調整(許認可)、国際(国際ルール)、取り締り(違反摘発)の各部門の職員を2人から4人程度派遣するということで、水産庁の出先である各地の漁業調整事務所職員が同席することもあるようです。

 ただし、調査形態は「任意調査」であり、原則として疑義案件とは切り離して、魚市場の関係者らから実態を聴き取っています。

 大間のケースでは、3月8日に青森県庁で水産庁職員がTAC報告の仕組みについて実態を聞き取り、青森県庁職員らと意見交換したあと、下北半島・むつ市で一泊し、9日朝に大間漁協を訪問して報告の手順を確認しました。

 大間町では「大間漁港」と「下手浜漁港」の現場にも行きました。しかし、今年の初競りで一番マグロを出荷した大間の第56新栄丸がかなり頻繁に利用、係留している隣村の佐井漁港の状況は調べていません。



 ヤミで漁獲したマグロを陸に揚げる場所としては、尻屋崎付近の漁港や三沢港の名もささやかれているものの、これらも訪問していませんでした。

  塩釜、銚子では早朝に市場も見学しています。クロマグロの漁獲未報告について、両漁港についても多数の疑義情報が水産庁には寄せられているはずです。

 しかし、調査の進捗状況を示す一覧表の備考欄には「疑義案件とは別」と書き込まれており、疑義情報に関する調査は行っていないようです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?