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スタートアップのCTOになりました


はじめに

こんにちは。株式会社オプティマインドの柏原です。
弊社は物流領域ラストワンマイルのルート最適化サービスLoogiaを開発・提供する名古屋のスタートアップ企業です。

さて、年末は様々な記事発信が盛んで読むものに困らなくてとても良い時期ですね。X(Twitter)で流れてくる各種記事を感謝の気持ちと共に貪り読んでいるのですが、CTOの方々が発信された記事を目にすることが多々ありました。それらを拝読している内に、弊社HRチームからの「CTO就任記事書いてくださいね!」というお願いに対して自分が書く書く詐欺をしていたことに罪悪感が芽生え、今回この文章を記す運びとなりました。

ということで、私が2023年6月に株式会社オプティマインドの執行役員CTOに就任させていただいてから半年が経ちましたので、就任までの経緯を含めてこれまでを振り返っていきたいと思います。

就任までの経緯

入社まで

私は初期メンバーでも何でもなく、転職エージェント経由でいちエンジニアとして入ってきた人間です。前職はメーカーの先行技術開発の部隊に所属しており、そこで6年ほど働いていた中で、もっとエンジニアリングの実務経験とプロダクトへの貢献をする開発経験を積みたいという気持ちが強くなり転職を決意しました。

※このあたりの話は入社直後に会社の記事として書かせていただいたので、そちらもご覧いただければ幸いです。

入社してから

私の元々の入社時の肩書は”データサイエンティスト”でした。なので、オプティマインドにおける最初期は、位置情報データに関する機械学習モデルの評価・検証や、位置情報データを用いた分析レポーティングのタスクなどに取り組んでいました。

その中で、データの品質に対する課題意識が大きくなっていきました。どういうことかというと、当時のオプティマインドには組み合わせることで価値が出せる様々なデータが既に存在していましたが、それを関連付けて分析することが困難な状況にありました。

具体例を挙げると、配送実績に関する各種イベントのデータはFirestoreの中に格納されているが、位置情報はDelta Lake内に格納されており、それらのデータを関連づけてドライバーさんが特定の2配送先間をどれくらいの時間、経路で実際に走行したのかという分析をしたい場合、Databricks経由でBlobストレージに書き出して、それに対応する配送イベント関係のデータをfirebase-adminのクライアントで抽出して….みたいなことをする必要があり、かなり大変な状況でした。

そのように、データ活用のユースケースはあるがその活用が困難な状況のギャップに課題を感じ、途中からはデータエンジニア的な役割にシフトし、データのアクセシビリティ向上などを目的としてテレマティクスデータ基盤のリプレースプロジェクトに取り組んできました。

この開発プロジェクトを進めている中で、自分の入社時に面接をしてくれた当時のチームリーダが会社を離れるというイベントが2022年初頭に発生し、その後任としてテックリードに選任していただきました。正直、彼の転職を聞いたときはかなり衝撃を受けましたが、本人のこれからのキャリアを考えるととても納得できる選択でしたし、まあ人生そういうものだと思って何とかギリギリ持ちこたえました。

何はともあれうっかりテックリードにしてもらったのですが、正直何をすればいいのかさっぱりだったので、これまで手を付けてこなかったマネジメントに関する書籍をこの頃読み始めました。いろいろ買いあさって読みましたが以下の書籍などは、未だにポジションが変わるごとにめくって読んでいたりします。

その他にも、Elastic Leadershipはチームのフェイズに応じてリーダとしての振る舞いを変化させるべきであるということや、チームをどのような状態に持っていくべきかという観点で非常に参考になりました。実践できているかどうかと問われると微妙ですが、今でもこの本の考え方はかなり意識しています。

その後、テックリードになってからの半年間は採用活動の苦戦や開発プロジェクトの難航などがありそれなりに大変だったような記憶がありますが、何とか自我と節度は保てていたかなとは思います。ただ当時のSlackを見返してみると客観的に心配になるような感じではあったようです。

当時のtimesの様子

ただそれから半年ほど経ったころ、新たに強力な2名のメンバーが中途で入社してくださったり、我が娘の誕生で一気にQoLが爆上がりするなど徐々に状況が好転していきました。更に、スクラムマスターの経験のある方が別チームに入社したのをいいことに弊チームの支援をお願いさせていただき、チームメンバーの皆にもかなり助けられながらいろんな仕組みや文化を作りチームとして強く成長して安定した開発サイクルを回せるようになったと思います。無事テレマティクス基盤のリプレースプロジェクトも完遂しローンチすることができ、関係各位には感謝してもしきれません。

CTOの打診

その後、2023年の初春にマツケンさん(社長)との1on1の中で「CTOどうですか?」というような主旨の打診を受けました。正直、「自分にCTOが務まるのだろうか?というか、そもそもCTOって何するんだ?」状態だったので、一旦考える時間をくださいと返事をして一か月ほど猶予をいただきました。その猶予期間で他社のCTOの方々の発信してくださっているブログやポッドキャストなどで情報収集を行いました。その中で思ったことは、CTOと一口に言ってもその業態やフェーズ、社内のメンバ構成によって求められる役割がかなり異なっているということです。オプティマインドで考えてみると、プロダクトにはCPOの志一さんがいますし、各技術領域には強力なテックリードがいてくれる状況だったため、自分が強力なリーダシップで開発組織全体をけん引していく必要性は必ずしもないと思いました。ただし、全体の技術方針や各種統制、ピープルマネジメントなどは自分としても課題を感じる部分がいろいろあったため、その部分であれば一定コミットできそうだと考え、引き受けさせていただく旨の返事をして、就任の運びとなりました。

就任するときに社内で発表した駄文

また会社への貢献云々を抜きにした個人的な理由としては、chatGPTを始めとしたLLM登場のインパクトはかなり大きかったなと思います。別にプログラマ不要説だとか過激な論理に与するつもりはないですが、技術一本でキャリアを進めていくことに対して自分が大きな危機感を持ったのは事実です。そのため、チャレンジする機会をいただけるのであれば経営レイヤー視点での事業ないしは開発組織への貢献に挑戦してみようと思ったことが、引き受けるという判断をした大きな要因の一つだったと思います。

CTO就任からこれまで

CTOに就任するまでに開発部全員との1on1を行い、ただの雑談の時間だったりすることもありましたが、改めて開発組織内で皆が感じている課題感や、自分がCTOに就任するにあたって期待することなどについて会話する時間をもらいました。それらを通して自分なりに開発組織で取り組んでいくことの解像度を高めることができました。

また、オプティマインドではボードメンバーは皆ミッション定義書を作り、各役員への期待値などを明確にして社内に公開しています。私も、就任前に自分の取り組む領域の方向性などをミッション定義書の作成を通じて決められたことは良かったなと思います。

ミッション定義書の目次

就任後は、主に組織作りに奔走することが多い半年間だったなと思います。私の就任時期と同時期に人事評価制度が変わったり、また以前から検証が進められていたプロダクトに対して新チームを発足させたりなど組織的に大きな変更が連続したタイミングであり、課題がそこかしこに落ちている状況でした。新たな組織構成上での会議体の再設計、新しい評価制度とアラインした目標設定方法の策定、評価運用支援施策の実行、品質向上施策の検討と推進、社内エンジニア交流体制の構築など、とにかく目の前に落ちたボールをひたすら打ち返していたら半年終わっていたというのが正直な感想です。

※インシデント体制改善の内容については、先日アドベントカレンダーにまとめましたのでよろしければご覧ください。

もちろん、自分の認知キャパを超えてしまい至らない部分も多かったと思います。その結果大小様々な問題は発生しましたが、それでも何とかやってこれたのはオプティマインドの行動指針通りに各メンバーが各々の持ち場で本質的な課題を抽出し、それに主体的に取り組んでくれたおかげだと思います。この組織状態は本当にありがたいと思う一方で、もっと自分が貢献できる部分はあるはずで、それに向けて必死に取り組んでいく必要があるなと強く感じています。

社員で決めた行動指針

これからについて

これからオプティマインドが非連続な成長を遂げることに貢献するためには、短期的な部分はしっかりとやり切りつつも中長期的な観点を強化していく必要があると感じています。事業的なありたい姿をしっかりボードメンバーと議論した上で解像度を上げ、それにアラインした開発組織の姿をアーキテクチャ、文化などの側面から描き、それに向けたアクションとメッセージの発信を行なっていくことにもっとフォーカスしたいと思います。

オプティマインドにはお世辞抜きでプロダクト志向が強く、顧客への本質的な価値提供にフォーカスできる仲間が揃っていると感じており、その仲間達とともに「世界のラストワンマイルを最適化し」、世の中に大きなインパクトを出していきます。

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