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想像主よ。先に卒業する私をお許しください

1942年 11月10日
3年Z組 後藤田 義明

(激しいノイズが徐々に消え、男性の荒い息遣いが聞こえてくる)

 まず、録音データで卒業文集を提出するという形になってしまったことをお詫びいたします。来年の4月で卒業のはずでしたが、どうやら、どうやら私はここまでのようです。しかし、ご安心ください。私が架空ヶ崎高校の皆さんを最後までお守りいたします。

 私は、ウラヌスガス調査のために政府に命令され、架空ヶ崎高校に潜入いたしました。そして、囚われの身となりました。しかし、架空ヶ崎高校安全委員会の皆さんは、そんな私を暖かく迎えてくれました。

 過酷な(検閲)や(検閲)などもありましたが、それを乗り越え、私の使命は政府の犬などではなく、架空ヶ崎高校の皆さんを守る。ひいてはあの想像主様の使徒となることである。ということを、心の底から理解したのです。

 その後、私は安全委員会のエージェントとして、政府の内情を探るべく(検閲)を続けておりました。しかし、時が来たようです。

 ハァ、ハァ...。クラスメイトの皆さんには本当に申し訳ありません。私は卒業式には出席できそうにはありません。しかしプラントは守り抜きました。今、安全委員会からウラヌスガスはすべて別の安全な場所に移動したと、連絡がありました。

 残念ながら、私はここまでです。お先に想像主様のところに向かわせていただきます。

 架空ヶ崎高校ばんざい、ウラヌス様ばんざい。

(大きな爆発音。以降ノイズが続く)


 捕縛した政府エージェントに対し、ウラヌスガスによる洗脳を実施。効果は抜群であったが、幻覚、妄執の副作用が強く、被検体は脱走後、廃校舎に立て籠もり自殺。今後はウラヌスガスを主としつつも、他の薬剤による調整が必要と考える。

2021/11/10 安全委員会科学部


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