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『SIREN』やったことある?

昨日、仕事が終わった後に友人二人と落ち合って喫茶店に行った。二人ともお盆休みが昨日までだったらしく、日中に『君たちはどう生きるか』を観てきたとのこと。まだ観ていない人もいるでしょうから映画の内容についてここで書くつもりはないけど、感想を聞きながらこの作品って自分の中にある「ジブリ像」と照らし合わせることで、色々語りたくなっちゃうんだろうなあと思った。私もnoteに感想書いてるし、好きであれ嫌いであれ、わかるにしろわからないにしろ、誰かに自分なりの感想を言いたくなる映画。そういう作品なんだよな。

んで、話はむかしやったゲームの話に移り、「周りにやってる人がいなかったけど、好きだったゲーム」を挙げてみよう、という話になる。『巨人のドシン』『キングダムハーツ358/2 Days』『街』『マリオ&ルイージRPG』『カエルの為に鐘は鳴る』『グラビティデイズ』『moon』『ライフイズストレンジ』etc.…。色んなタイトルが挙がり懐かしくて楽しい。てか巨人のドシンってやったことないけど面白そうなゲームだなあ。巨人を育てていって、その育て方によって悪い巨人になったり、良い巨人になったりする、でも1日で元に戻っちゃうから何回も繰り返し遊べる、そんなゲームらしい。牧場物語×たまごっちみたいな感じかな?どうやら終わりが無いタイプのゲームみたいだけど、そういうのってハマりやすいし癒やされるよね。

閑話休題

逆に3人が共通して遊んだゲームで、しかもマイナーな部類に入りそうなゲームとは?というところから『SIREN』の話になる。『SIREN』やったことある人いますかね?当時はCMが怖すぎて放送禁止になったりと、結構話題になったゲームなんですが、個人的にはいままでやってきたゲームの中で最も怖かった作品です。しかもめちゃくちゃに難しいんですよこれ。主人公は複数いて、色んなキャラクターを操作していくアクションホラーなのだけど、意図的に操作性や視界が悪くなっており、慣れてないと敵から逃げるだけでも一苦労。その上武器を持っていない状態のときは敵を倒す手段が無くなるため、逃げるか隠れるかという選択肢しか残っておらず簡単にぼこぼこにされちゃいます。さらに倒した敵は一定時間経過すると復活する仕様なため、そもそもあまり積極的に戦わない方がいい。明らかに敵の方が装備が充実している等など……非常に、ひじょ~に理不尽に感じるゲームです。攻略のカギは「視界ジャック」という主人公たちに与えられた能力で、これを使うことで「敵の見ている視界を自分も見ることが出来るようになり、敵の位置を把握できる」のですが、まあそれでも難しいことには変わらないので、何度もゲームオーバーになりながら少しずつ進めていく「覚えゲー」みたいな側面もあります。ではなぜそんな難しいゲームをやっていたかと言えば、それは”世界観”、”ストーリー”、”登場人物”たちが魅力的だったから。
日本のじめじめした空気感をそのままゲームで再現した羽生蛇村の雰囲気。不気味で見るだけで嫌悪感を催す屍人やクリーチャーのデザイン。実在の役者をそのままモデリングした個性的なキャラクター。群像劇にすることで少しずつ世界の輪郭を明らかにしていくストーリーテリング。和製ホラーのおどろおどろしい魅力をここまで体現しているゲームは他になく、病みつきになるゲームでした。友人二人もそれは同様だったらしく、「あそこのステージは鬼だったよねー」とか「操作キャラでは志村が一番好き」「いや宮田でしょ」なんて言いながら盛り上がる。

このゲームのディレクターは『サイレントヒル』シリーズや『グラビティデイズ』を手掛けた外山圭一郎という方。90年代から2000年代にかけて流行った『リング』や『呪怨』といったジャパニーズホラー。伊藤潤二「サイレンの村」や諸星大二郎「死人帰り」といった漫画作品。小野不由美『屍鬼』。ついでにネットのオカルト掲示板で語られる話など、色んな元ネタの形跡はありますが、それらを全部ぶちこみ煮詰めて完成させたのが『SIREN』です。発売からずいぶん経過してますが、いまだにカルト的な人気のある作品で、関連イベントなんかがあるとすぐにチケットが完売してしまうほどらしい。すごいね。でもそういう作品が時間を経て語り草になるっていうのは楽しいものだし、コアなゲームだからこそ仲間が見つかると嬉しい、というのはよくわかる。そんなわけで後にも先にも『SIREN』以上に”面白さ”と”怖さ”が共存してたゲームを私は知りません。
おそらくこのゲームはハードの容量からくる制約がもたらした異様な迫力が宿ってて、そう考えると現在同じような作品を作ろうとしても、その「迫力」は出せず「ふつうのほらー」になってしまうんじゃないかと思う。時代と外山圭一郎というゲームディレクターが生んだ異様な傑作、それが『SIREN』なのです。

ほんとは『SIREN』の話に繋げて諸星大二郎の漫画作品について何かしら書こうと思ってたのだけど、SIRENの話だけで長くなってきたので今日はここまで。『妖怪ハンター』とか『諸怪志異』『マッドメン』のこととかはいずれ気が向いたら書きます。To Be Continued……。

あ、それと外山さん、新作の『野狗子: Slitterhead』はいつ出るんでしょう……?発売楽しみにしてますねー。


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