見出し画像

AIとサイバー作戦の在り方(WAR ON THE ROCKSの記事)

写真出展:Tung NguyenによるPixabayからの画像https://pixabay.com/ja/users/tungnguyen0905-17946924/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=7111802

 2024年4月30日にWAR ON THE ROCKSは、AIの発展に伴うサイバー作戦のあるべき方向性について提言する記事を発表した。内容は、ChatGPTなどの大規模言語モデルの発展がサイバー作戦に与える影響について概観し、あるべき議論の姿やAIの活用方法について提言するものである。日本ではChatGPTの機能紹介や日常における活用方法などの程度の低次元な議論しかなされておらず、安全保障などに与える影響などは全く見られない。技術革新が与える安全保障上の影響についての理解を深める参考として、本記事の概要を紹介させていただく。

↓リンク先(HOW WILL AI CHANGE CYBER OPERATIONS?)
https://warontherocks.com/2024/04/how-will-ai-change-cyber-operations/

1.本記事の内容について
 ・アメリカ政府は、サイバー作戦に与えるAIの影響について、楽観的かつ悲観的な見方を示しているように見える。陸軍サイバー部隊の長は攻撃側が有利になると発言し、大統領令ではAIを活用したサイバー作戦に対して慎重な態度を示している。AIの急速な発展により、サイバー作戦を巡る環境は大きく変化しており、攻撃側・防衛側双方の対応が複雑化している。
 ・ただこれまでの「攻撃側対防衛側」といった単純な議論は、AIにより引き起こされる変化を十分に踏まえた問題設定とはなっていない。むしろ考えるべきは、どこにAIを活用するのかということである。例えば、AIによる脆弱性検出を取り上げると、ファジングによるコードの欠陥を見つけるという手法は長年用いられてきたが、問題があると考えられる箇所をあらかじめ特定する必要があることから、高速かつ大規模に実行することは困難だった。しかし大規模言語モデルを活用すれば、プログラミング言語の壁を乗り越えつつ、作業を自動化することも可能になってくるのである。この技術は攻撃側・防衛側双方の利益になるのであり、どちらに有利になるのかは状況によるとしか言いようがないのである。
 ・攻撃側・防衛側の問題に加えて重要な論点は、どのようにサイバー作戦においてAIを最大限に活用するのかである。例えばある産業報告書によると、フィッシングメールはChatGPTがリリースされてから1265%増加したが、フィッシングメールによる利益が増加したわけではなく、手書きのメールよりもクリック率が低くなっているとしている。このような状況下でフィッシングメールを大量送信する方を選択するのか、それともこの機能を別のものに活用するのかは、AIを活用する者の判断により大きく異なることになるだろう。
 ・サイバーセキュリティとAIの関係性が深まるにつれ、国家のサイバーセキュリティ戦略はAIの取り込み方を十分に考慮したものに改正される必要がある。最近発出されたAIに関する大統領令は歓迎すべき第一歩であり、AIサイバー選手権やAIセキュリティセンターの創設は、国家レベルの運用面における中心的な役割を果たすことになるだろう。今後も新たな試みを実践していく必要があるが、新しい状況に適切に対応していくためには、「攻撃側対防衛側」といった二律背反の議論から脱却し、AIを望ましい方向に活用する政策的インセンティブを与えることである。技術が与える広範囲な影響を全て検証することは不可能であることから、政治家がAIの脅威を軽減するための手段を最優先とする政策を打ち出すことで、攻撃側の意思を挫き、防衛側を支援していくことが重要なのである。 

2.本記事読後の感想
  今回の記事は個別具体的な話がそこまで出てきているわけではないが、それでもAIの安全保障上の影響や今後の議論の在り方についてある程度の方向性を示している。こういった情報は日本語の貧しい言論空間の中ではまず見られないものであり、将来を見越した議論というものがなされていない現状が浮き彫りになるのだ。
  日本のマスメディアの悲惨さは言を俟たないが、それは国民意識の反映でもあり、必ずしもマスメディアだけが悪いわけではない。売れない話は誰も見ないのであり、結果として利益が得られなくなるため仕方ない側面はある。ただそれでも有益な情報を根気強く発信している人々が評価される向きもあり、新聞の購読者数の減少もこのことを裏付けている。
  テレビ、新聞、週刊誌を読んでいてはバカになるだけである。こういった有害な情報源から離れて有益な情報源を自分で見つけることが、いい情報を得るための唯一の手段である。

 英文を読んでわからないという方は、メールにて解説情報をご提供させていただきます。なにぶん素人の理解ですので、一部ご期待に沿えないかもしれませんので、その場合はご容赦願います。当方から提供した情報については、以下の条件を守ったうえで、ご利用いただきますようよろしくお願いいたします。

(1) 営利目的で利用しないこと。
(2) 個人の学習などの目的の範囲で利用し、集団での学習などで配布しないこと。
(3) 一部であっても不特定多数の者が閲覧可能な場所で掲載・公開する場合には、出典を明示すること。(リンク先及び提供者のサイト名)
(4) 著作元から著作権侵害という指摘があった場合、削除すること。
(5) 当方から提供した情報を用いて行う一切の行為(情報を編集・加工等した情報を利用することを含む。)について何ら責任を負わない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?